岡本かの子『仏教読本』
岡本かの子は大正・昭和期を生きた小説家です。芸術家・岡本太郎の母として知られています。
様々な人生上の悩みに苦しみましたが、仏教に救いを得ました。この『仏教読本』は仏教を研究する中で得たものをわかりやすく説明しています。
いろいろ学びがあってとても面白いのですが、特に高校生に読んでいただきたい文章がありますので引用します。
※ハイライトは作成者のもの。
第三十一課 性欲
性欲は人間の三大本能(食欲、睡眠欲、性欲)の一つであります。そして他の二欲と違って、年齢により著しき消長があります。青年期から壮年期にかけて強く、少年期はまだ現れず、老齢になるに及んで減退するものであります。この性欲の根本使命は、種の保存、子孫繁栄にあるようですから、これを今さら取り立てて説明研究する必要はありません。ただ注意としてそれが非常に惑溺性を帯びておりますが故に、少くとも人間である以上、理性を以てこれを調整して行かねばならないと言うにとどまるのであります。
が、ここに性欲の別の見方、重大な活用法があるのでありますから、性欲もなかなか放置して置けません。
最近医学の進歩につれて、この性欲なるものは、人体内の諸所より血液中へ分泌される内分泌物、すなわちホルモンの司る作用であって、そのホルモンが血液に混じて体内をめぐり、一方性欲を惹起させ、他方また精神、肉体を強靱ならしめていることが実証されて来ました。そして性欲を濫費する時は、ホルモンの減少を来し、従って肉体精神の衰弱を来すことになり、これに反して、性欲を矯めて、ホルモンを適当に保存する時は、ちょうど、草の尖端をつめて、幹を太らせるように、精神力、体力を充実させ、それによって偉大な事業、絶大な忍耐、神聖な生活道程をなし遂げ得るのであります。
仏教では、この性欲などを三毒(貪・瞋・痴)のうち、貪(むさぼる本能欲)の中に入れて餓鬼の性質にしていますが、この貪を転向浄化せしむる時は、一切の善を求めて止まざる性質となりまして、遂には完全無欠の人格者すなわち仏陀の位にまで達せられると言うのであります。すなわち、この貪の性欲があればこそ、これを利用すれば人格完成の最後の幸福境に達せられるのですから、性欲の取扱い方もここにおいて非常に大切になって参ります。
ここに書いてあることは私の人生を振り返っても本当に正しい。このサイトを見ている方は高校生が多いでしょう。特に男子の諸君、いろいろ日々思うことがあるでしょうが、「性欲を無駄に使わない」つまり、自慰行為を少なくすることは、今の時代非常に重要です。
まったくするなとは言いませんが、スマホで毎日Hな画像や動画を見るということは本当にやめたほうが良いです。これまで多かった人は1週間やめるだけでも、身体と心によい影響があります。
より知りたい人はネットでいろいろ調べてみてください。