送元二使安西   王維

渭城朝雨浥軽塵

客舎青青柳色新

勧君更尽一杯酒

西出陽関無故人

元二の安西に使ひするを送る

使…使者として派遣されて任地に赴く

 

渭城の朝雨 軽塵を浥す

渭城の朝の雨は軽い塵をもしっとりとしめらせ、

〇渭城…もと秦の都の咸陽であったところ。西域へ旅立つ人の見送りの地であった。

朝雨…朝方に降る雨。夜通し送別の宴をして、朝の雨がいよいよ別れの舞台となった。

浥…「うるほス」しめらせる。

軽塵…軽く細かい土埃。華北の黄土は粒子が細かく、乾燥すると浮遊飛散しやすい。

客舎 青青 柳色 新たなり

旅館のあたりには青々とした柳の色が鮮やかである。

客舎…旅館。「客」は「旅人」の意味。

青青…「緑」にちかいニュアンス。

柳色新…朝の雨で砂塵が洗い流されて、鮮やかな色をしている。

〇旅立つ人に柳の枝を折って贈る風習があった。

君に勧む 更に尽くせ 一杯の酒

さあ、君よ、どうかもう一杯飲みほしたまえ。

勧君…別れゆく元二に酒を勧める。「君」は元二を指す。

更…もう一杯

尽…飲み干す、飲み尽くす

西のかた陽関を出づれば 故人無からん

(ここから)西へ進んで、陽関を出たならば、もう、酒を酌み交わす親しい友人もなくなるであろうから。

陽関…中国と西域の境界となる関所。中国の人々には西の果てという感覚があった。

故人…古くからの友人。「亡くなった人」の意味はない。

詩形…七言絶句

押韻…「塵」「新」「人」

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