「つ」「ぬ」の意味と違い|完了・強意(確述)・並列の見分け方(接続・活用・例文・練習問題)

目次
  1. 意味・接続・活用
  2. 活用表
  3. 成り立ち
  4. 意味ごとの説明
  5. 1 完了(〜た・〜てしまった・〜てしまう)
  6. 2 強意(確述)(きっと〜・確かに〜・〜てしまう)
  7. 3 並列(〜たり〜たり)
  8. 「つ」と「ぬ」の違い(目安)
  9. 完了か強意かの見分け方
  10. よくある間違い・入試で問われるポイント
  11. 練習問題
  12. おすすめの本
  13. 関連ページ

助動詞「つ」「ぬ」は、どの文章にも出てくる頻出の助動詞で、文法問題でもよく問われます。

このページでは、「つ」「ぬ」の意味・接続・活用と、完了と強意の見分け方を、よく出る形(てむ・ぬべし・にけり など)と教科書の例文で確認します。

意味・接続・活用

活用表

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用の型
つ て て つ つる つれ てよ 下二段型
ぬ な に ぬ ぬる ぬれ ね ナ変型

「つ」は下二段動詞「捨つ(て・て・つ・つる・つれ・てよ)」と同じ型、「ぬ」はナ変動詞「死ぬ・往(い)ぬ」と同じ型です。

どちらも連用形に付きます。打消「ず」の連体形「ぬ」・已然形「ね」は未然形に付くので、この点で見分けます(「ぬ」「ね」の識別)。

成り立ち

「ぬ」は「行ってしまう」という意味の動詞「往(い)ぬ」から、「つ」は「捨てる」という意味の動詞「棄(う)つ」からできたと考えられています。もとの動詞の意味から、「ぬ」は物事が自然に移り変わってしまうこと、「つ」は動作をし終えてしまうことを表しやすい、と説明されます。

意味ごとの説明

1 完了(〜た・〜てしまった・〜てしまう)

動作や作用が終わったこと、実現したことを表します。

  • なよ竹のかぐや姫とつけつ。(竹取物語)
     なよ竹のかぐや姫と名づけた。
  • 古き墳(つか)はすかれて田となりぬ。(徒然草)
     古い墓は鋤(す)き返されて田になってしまう。
  • 今日は日暮れぬ。勝負を決すべからず。(平家物語)
     今日は日が暮れてしまった。勝負をつけることはできない。

過去の助動詞「き」「けり」が続く形(てき・てけり・にき・にけり)は、すでに起こったことなので完了です。「〜てしまった」と訳します。

  • 一夜のうちに塵灰(ちりはひ)となりにき。(方丈記)
     (都の大部分が)一晩のうちに灰になってしまった。
  • この男、垣間見(かいまみ)てけり。(伊勢物語)
     この男は、(姉妹の姿を)物のすき間からのぞき見てしまった。

「にき・にけり」の「に」は完了「ぬ」の連用形、「てき・てけり」の「て」は完了「つ」の連用形です。接続助詞「て」や格助詞「に」とまちがえないようにします(「に」の識別・「て」の識別)。

2 強意(確述)(きっと〜・確かに〜・〜てしまう)

まだ起こっていないことについて、「必ずそうなる」「確かにそうする」と強めていう用法です。下に推量の助動詞が付く形で出てきます。推量(〜だろう)はまだ確定していないことを表すので、「つ」「ぬ」は「完了した」ではなく「きっと」と強める意味になります。

「む」「まし」は未然形に付くので「て・な+む」、「べし」は終止形に付くので「つ・ぬ+べし」の形になります。

  • この事かの事、怠らず成じてむ。(徒然草・第二百四十一段)
     あのこともこのことも、怠けずにきっと成し遂げよう。(「て」は強意、「む」は意志)
  • 黒き雲にはかに出で来ぬ。風吹きぬべし。(土佐日記)
     黒い雲が急に出てきた。風がきっと吹くにちがいない。(はじめの「ぬ」は完了、「ぬべし」の「ぬ」は強意)
  • かばかりになりては、飛び降るとも降りなん。(徒然草)
     これくらい(の高さ)になってからは、飛び降りてもきっと降りられるだろう。(「な」は強意、「ん」は推量)
  • 清見が関の浪も高くなりぬべし。(更級日記)
     清見が関の波もきっと高くなるにちがいない。

「つらむ・ぬらむ」「てけむ・にけむ」のように「らむ」「けむ」が続く形は、完了ととる説明と強意ととる説明があり、扱いが分かれます。すでに起こったことや、今起こっていることを推量することが多いので、「〜てしまっているだろう」「〜てしまったのだろう」と訳すと自然です。

3 並列(〜たり〜たり)

「〜つ〜つ」「〜ぬ〜ぬ」と二つの動作を並べて、「〜たり〜たり」の意味になります。

  • 白波の上にただよひ、浮きぬ沈みぬ揺られければ、(平家物語)
     (扇は)白波の上に漂って、浮いたり沈んだり揺られていたので、
  • 組んづ組まれつ、討ちつ討たれつ、(源平盛衰記)
     組みついたり組みつかれたり、討ったり討たれたりして、

「つ」と「ぬ」の違い(目安)

つ ぬ
付きやすい語 人が意志をもってする動作(つく・捨つ・書く など他動詞が多い) 自然に起こる変化(暮る・散る・なる など自動詞が多い)
例 かぐや姫とつけつ 日暮れぬ・田となりぬ

これは目安で、例外もたくさんあります。試験では、どちらの語かと意味(完了・強意・並列)を答えられれば十分です。

完了か強意かの見分け方

  1. 「つ」「ぬ」の下の語を見る。
  2. 下にむ(ん)・むず・べし・ましが付いていれば → 強意(きっと〜)。
  3. 下にき・けりが付いていたり、文末で言い切ったり、体言が続いたりしていれば → 完了(〜た・〜てしまった)。
  4. 「〜つ〜つ」「〜ぬ〜ぬ」と二つ並んでいれば → 並列。
  5. 「らむ」「けむ」が続くときは、完了・強意のどちらとも説明されるので、「〜てしまっているだろう」「〜てしまったのだろう」と訳して文脈に合うかを確かめる。

「なむ」に注意 「なむ」は、①完了(強意)「ぬ」の未然形+推量「む」、②願望の終助詞「なむ」(未然形に付く)、③係助詞「なむ」、④ナ変動詞の未然形の語尾+「む」(死なむ・往なむ)の四つがあります。連用形に付く「なむ」が①の強意+推量です(「なむ」の識別)。

よくある間違い・入試で問われるポイント

  • 「ぬべし」「てむ」の訳:「〜てしまうだろう」でもよいが、「きっと〜だろう」「〜にちがいない」と強めて訳すと意味がはっきりする。
  • 「ぬべし」は「〜てしまいそうだ」(今にもそうなりそう)の意味になることも多い。
  • 文法的説明では「強意の助動詞『ぬ』の終止形+推量の助動詞『べし』の終止形」のように、二語に分けて書く。
  • 完了「ぬ」の終止形「ぬ」・命令形「ね」と、打消「ず」の連体形「ぬ」・已然形「ね」は、接続で見分ける。
  • 「て」が完了「つ」か接続助詞「て」かは、下に助動詞が続くかどうかで見る。

練習問題

「つ」「ぬ」の意味

  1. 助動詞「つ」「ぬ」の意味を三つ答えよ。また、接続を答えよ。

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    完了・強意(確述)・並列。接続はどちらも連用形。

  2. 「つ」「ぬ」の活用を、未然形から命令形まで答えよ。また、それぞれ何型の活用か答えよ。

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    つ=て・て・つ・つる・つれ・てよ(下二段型)。ぬ=な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね(ナ変型)。

  3. 「つ」「ぬ」の下に推量の助動詞「む」「べし」などが付くと、「つ」「ぬ」は何の意味になるか。また、そのときの訳し方を答えよ。

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    強意。「きっと〜」「確かに〜」と訳す。(てむ=きっと〜しよう・きっと〜だろう、ぬべし=きっと〜にちがいない)

  4. 「一夜のうちに塵灰となりにき。」(方丈記)の「に」を文法的に説明し、文全体を現代語訳せよ。

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    完了の助動詞「ぬ」の連用形。訳:一晩のうちに灰になってしまった。(下に過去「き」が続くので完了)

  5. 「この事かの事、怠らず成じてむ。」(徒然草)の「て」「む」の意味を答え、現代語訳せよ。

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    「て」=強意(「つ」の未然形)、「む」=意志。訳:あのこともこのことも、怠けずにきっと成し遂げよう。

  6. 「黒き雲にはかに出で来ぬ。風吹きぬべし。」(土佐日記)の二つの「ぬ」の意味を、それぞれ答えよ。

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    はじめの「ぬ」(出で来ぬ)=完了の終止形。あとの「ぬ」(吹きぬべし)=強意の終止形。(下に推量の「べし」が付く)

  7. 「かばかりになりては、飛び降るとも降りなん。」(徒然草)の「なん」を文法的に説明し、現代語訳せよ。

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    「な」=強意の助動詞「ぬ」の未然形、「ん」=推量の助動詞「む(ん)」の終止形。訳:これくらいの高さになってからは、飛び降りてもきっと降りられるだろう。

  8. 「白波の上にただよひ、浮きぬ沈みぬ揺られければ、」(平家物語)の「ぬ」の意味を答え、現代語訳せよ。

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    並列。訳:白波の上に漂って、浮いたり沈んだり揺られていたので、

  9. 「なよ竹のかぐや姫とつけつ。」(竹取物語)の「つ」の意味と活用形を答えよ。

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    完了・終止形。(名づけた)

  10. 「清見が関の浪も高くなりぬべし。」(更級日記)を現代語訳せよ。

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    清見が関の波もきっと高くなるにちがいない。(「ぬ」は強意、「べし」は推量)

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