意味・接続・活用
意味…推量・意志・適当・勧誘・仮定・婉曲
接続…未然形接続
活用
未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 |
---|---|---|---|---|---|
○ | ○ | む | む | め | ○ |
○ | ○ | むず | むずる | むずれ | ○ |
「む」の用法
「む」は文中にあるか、文末にあるかで大きく2つに分かれます・
①文中の「―む―」は婉曲か仮定
文中の「む」、つまりその「む」で文が終わらないときは、婉曲、もしくは仮定でとりましょう。
この場合の「む」は必ず連体形になります。
婉曲…はっきりいわず遠回しに表現する。基本的には「~ような」と訳します。
しかし、現代語にあてはまる語がないので、無理に訳そうとすると不自然になってしまう場合があります。訳そうとすると不自然になる場合は訳さなくてもよいです。
仮定…「~なら」「~としたら」と訳す。
婉曲か仮定かは文脈に応じて選びます、以下のパターンが多いです。
「む+体言」の形のときは 婉曲(~ような)
「む+助詞」の形のときは仮定(~としたら)
どちらでもよい場合もあります。
例文
世の中になほいと心憂きものは、人ににくまれむことこそあるべけれ
(世の中でやはりたいそうつらいことは、人に憎まれるようなことであるはずだろう)
「む」の下が「こと」という体言になっていますね。
ありのままに言はむはをこがまし
(ありのままに言ったとしたら、ばかげている)
「む+助詞(は)」の形ですね。
「むに」「むは」の形は仮定で訳すとよいことが多いです。
※この例文の場合は婉曲で「 ありのままに言うようなことは」と訳してもよいです。
②文末の「―む。」は推量・意志・勧誘・適当。
文末の「む」、つまり、その「む」で文が終わる場合は推量・意志・勧誘・適当のどれかになります。
文脈に応じて適切な訳を選べばよいですが、主語で判断できることが多いです。
一人称主語、つまり自分が主語の場合は意志「~よう」
二人称主語、つまり主語が相手(あなた)の場合は適当・勧誘「~てください、~のがよい」
三人称主語、つまり主語が他の人、物の場合は推量「~だろう」
「む」は未来に起こるだろうことを述べる意味ですが、
自分が未来にするだろうことは、意志「~しよう」という表現になりますよね。
また、話し相手が未来にするだろう・した方がよいことは適当・勧誘「~てください、するのがよい」という表現になりますね。
⑴「一人称―む」… 意志
我も見に行かむ。
(私も見に行こう)
⑵「三人称―む」… 推量
雪降らむ。
(雪が降るだろう)
⑶「二人称―む」… 適当・勧誘 「こそ―め。」の形が多い
(アナタハ)花を見てこそ帰り給はめ。
((あなたは)花を見てお帰りなさいませんか。)