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『和泉式部日記』夢よりもはかなき世の中を・薫る香に③現代語訳・テスト対策

 まだ端におはしまし尊敬 作者→帥宮けるに、この童隠れの方に気色ばみけるけはひを御覧じつけ尊敬 作者→帥宮て、「いかに。」と問は尊敬「す」用 給ふ尊敬 作者→帥宮に、

(帥の宮は)まだ縁先にいらっしゃる時に、この童が、物陰から合図をする様子をするのを見つけなさって、「どうだったか。」とお尋ねになると、

御文をさし出でたれば、御覧じ尊敬 作者→帥宮て、

  同じ枝に鳴きつつをりし時鳥声は変はらぬものと知らずや

と書かせ給ひ尊敬 作者→帥宮て、

とお書きになって、

〇同じ枝…亡き宮と帥の宮は、同じ母から生まれた兄弟であること。

〇変はらぬもの…私(帥の宮)と亡き宮は同じ声で鳴いている、つまり私があなたを想う気持ちは亡き宮とかわりません、ということを示している。

・知らずや…知らないのか。お分かりになりませんか。

賜ふ尊敬 作者→帥宮とて、「かかること、ゆめ人に言ふな。好きがましきやうなり。」とて入ら尊敬「す」用 給ひ尊敬 作者→帥宮ぬ。

(帥の宮は童に)お渡しになろうとして「こういうことは、決して人に言うな。好色めいているように見える。」と言って、お入りになった。

〇かかること…亡くなった兄宮の恋人とやりとりをしていること。

〇な…禁止(~するな)。「ゆめ~な」…決して~するな。

・好きがまし…色好みらしい、好色らしい。

持て来たれば、をかしと見れど、常はとて、御返り聞こえさせ謙譲 作者→帥宮ず。

(童が作者のもとへ手紙を)持ってきたので、興味深いと思ってみるが、いつも返事をするのは(よくない)と思って、お返事を差し上げない。

和泉式部の日記とされているが、知るはずのない帥の宮側の様子が書かれている。また、今回の場面にはないが、作者自身のことを「女」と表現している。このように、物語のように第三者的な視点から表現しているのが『和泉式部日記』の特徴。

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