『和泉式部日記』夢よりもはかなき世の中を・薫る香に③ 現代語訳・品詞分解・敬語・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. 帥宮、童を迎える
  4. 帥宮の返歌
  5. 帥宮の口止め
  6. 作者のようす
  7. テスト予想問題

『和泉式部日記(いずみしきぶにっき)』「夢よりもはかなき世の中を」③の現代語訳・品詞分解・解説です。教科書によっては「薫る香に」の題でも載っています。

②では、作者が帥宮(そちのみや)の贈った橘の花に応えて、「ほととぎす」にたとえた帥宮の声が聞きたいという歌を返しました。③では、その歌を受け取った帥宮が返歌を書いて童に託します。「同じ枝」の歌に込められた思い、「かかること」の指す内容、帥宮が口止めした理由がよく問われます。

原文の読み方

原文の一語一語に、活用や助動詞・助詞の意味を示しています。緑の下線は敬語です。下のボタンで、用言・助動詞・助詞などのラベルを別々に出したり消したりできます。ラベルを押すと古典文法一覧の説明に飛びます。

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現代語訳・品詞分解・解説

帥宮、童を迎える

原文
まだ副端に格助場所おはしましサ四連用尊→帥宮ける過去連体に接助単純接続、こ代名の格助体修童わらは隠れの格助体修方に格助場所気色ばみマ四連用ける過去連体けはひを格助対象御覧じつけカ下二連用尊→帥宮て接助単純接続、「いかに副。」と格助引用問はハ四未然せ尊敬連用尊→帥宮給ふ補・ハ四連体尊→帥宮に接助順接確定、

現代語訳(帥宮は)まだ縁先にいらっしゃったところ、この童が物陰でそれとなく合図をする様子をお見つけになって、「どうだったか。」とお尋ねになると、

端
縁先。建物の外側に近い部分。
気色ばむ
それとなく様子に出す。ここでは、物陰から(戻ったことを)それとなく知らせる。
解説

「おはしましける」の主語は帥宮。

「いかに」は、橘の花を届けた作者の反応はどうであったかという問い。

※作者のいない場所での帥宮のようすが書かれている。和泉式部の日記とされているが、このように物語のように第三者の視点で書かれているのが『和泉式部日記』の特徴。また、今回の場面にはないが、作者自身のことを「女」と表現している。

帥宮の返歌

原文
御文おほんふみを格助対象さし出でダ下二連用たれ完了已然ば接助順接確定、御覧じサ変連用尊→帥宮て接助単純接続、

現代語訳(童が)お手紙を差し出したところ、(帥宮は)ご覧になって、

御文(おほんふみ)
お手紙。ここでは作者の和歌を書いた手紙。
原文
同じシク連体枝に格助場所鳴きカ四連用つつ接助並行をりラ変連用し過去連体ほととぎす声は係助区別変はらラ四未然ぬ打消連体ものと格助引用知らラ四未然ず打消終止や係助疑問

現代語訳同じ枝に鳴きながらとまっていたほととぎす(亡き兄と私)です。その声(心)が兄と変わらないことを、ご存じないのですか。

知らずや
知らないのか。お分かりになりませんか。
解説

同じ枝…亡き宮と帥宮は、同じ母から生まれた兄弟であること。

変はらぬもの…私(帥宮)と亡き宮は同じ声で鳴いている、つまり私があなたを想う気持ちは亡き宮と変わりません、ということを示している。

「ほととぎす」は故宮と帥宮の二人をたとえている。

原文
と格助引用書かカ四未然せ尊敬連用尊→帥宮給ひ補・ハ四連用尊→帥宮て接助単純接続、

現代語訳とお書きになって、

帥宮の口止め

原文
賜ふハ四終止尊→帥宮と格助引用て接助単純接続、「かかる連体こと、ゆめ副人に格助対象言ふハ四終止な終助禁止。好きがましきシク連体やうなり比況終止。」と格助引用て接助単純接続入らラ四未然せ尊敬連用尊→帥宮給ひ補・ハ四連用尊→帥宮ぬ完了終止。

現代語訳(童に)お与えになろうとして、「こうしたことは、決して人に言ってはならない。好色めいているように思われるから。」と言って、奥へお入りになった。

賜ふ
「与ふ」の尊敬語。お与えになる。
好きがまし
色好みらしい、好色らしい。
解説

「かかること」は、亡くなった兄宮の恋人だった作者と、歌のやりとりをしていること。

「ゆめ〜な」は「決して〜するな」。

帥宮が口止めするのは、兄の恋人と歌をやりとりしていると知られると、自分が好色な人に見えてしまうからである。

作者のようす

原文
もて来カ変連用たれ完了已然ば接助順接確定、をかしシク終止と格助引用見れマ上一已然ど接助逆接確定、常は係助区別と格助引用て接助単純接続御返り聞こえさせサ下二未然謙→帥宮ず打消終止。

現代語訳(童が手紙を)持ってきたので、(作者は)興味深いと思って見るが、いつも(返事をするの)はどうかと思って、お返事を差し上げない。

をかし
興味深い、おもしろい。
解説

「持て来たれば」は、小舎人童が帥宮の手紙を作者のところへ持ってきたということ。

「常はとて」は、いつも(返事をするの)はどうかと思っての意。「と」の下に「思ひて」などが省略されている。

前の部分:『和泉式部日記』夢よりもはかなき世の中を・薫る香に②

テスト予想問題

A 語句

  1. 次の語句の意味を答えよ。
    ①気色ばむ(ここでは)
    ②好きがまし
    ③をかし
    ④端

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    ①それとなく様子に出す・合図をする
    ②好色めいている・浮気っぽい
    ③興味深い・おもしろい
    ④縁先

B 文法・敬語

  1. 「『いかに。』と問はせ給ふに」の「せ」「給ふ」を文法的に説明し、敬意の方向も答えよ。

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    せ=尊敬の助動詞「す」の連用形。給ふ=尊敬の補助動詞「給ふ」の連体形。二つで最高敬語(二重敬語)となり、作者から帥宮への敬意を表す。

  2. 「同じ枝に鳴きつつをりしほととぎす声は変はらぬものと知らずや」の「つつ」「し」「や」を、それぞれ文法的に説明せよ。

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    つつ=動作の並行を表す接続助詞。し=過去の助動詞「き」の連体形。や=疑問の係助詞(文末に用いられている。反語ととることもある)。

  3. 「御返り聞こえさせず」の「聞こえさせ」の敬語の種類と、敬意の方向を答えよ。

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    謙譲語。作者から帥宮へ。

C 内容

  1. 「まだ端におはしましけるに」の主語はだれか。また、作者のいない場面をこのように描いていることから、『和泉式部日記』のどのような特徴がわかるか。

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    主語=帥宮。物語のように、第三者の立場から書かれているという特徴。

  2. 「『いかに。』と問はせ給ふ」とあるが、帥宮は何について尋ねているのか。

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    小舎人童に託して橘の花を作者のもとへ届けさせたとき、作者の反応はどうであったか、ということ。

  3. 「同じ枝に〜」の歌について、①「同じ枝」と②「ほととぎす」は、それぞれ何をたとえているか。③この歌で帥宮が伝えたいことは何か。

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    ①同じ母から生まれた兄弟であること。②故宮(為尊親王)と帥宮。③兄と同じように、自分も作者を思っているということ。

  4. 「かかること、ゆめ人に言ふな。好きがましきやうなり。」を、「かかること」の内容がわかるように現代語訳せよ。また、帥宮がこのように言ったのはなぜか。

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    訳=(亡き兄宮の恋人だった作者と歌をやりとりした)このようなことを、決して人に言うな。好色めいているように見える(から)。理由=兄の恋人と歌をやりとりしたと知られると、自分が好色な人と思われるから。

  5. 作者が帥宮の手紙を受け取ってもすぐに返事をしなかったのは、なぜか。

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    歌をおもしろいとは思ったが、いつも返事をするのはどうかと思ったから。