『源氏物語』桐壺④「はじめよりおしなべて」現代語訳・品詞分解・敬語・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. いつもそばに置かれる更衣
  4. 一の皇子の女御の心配
  5. 更衣の物思い
  6. テスト予想問題

『源氏物語』桐壺の巻、「はじめよりおしなべての上宮仕へ」から「御局は桐壺なり」までの現代語訳・品詞分解・敬語・解説です。桐壺③「光源氏の誕生」の続きです。

帝は更衣をいつもそばに置き、更衣は身分の軽い女房のようにも見られます。皇子の誕生後は、第一皇子の母である弘徽殿の女御が皇太子の座を心配し始めます。使役と尊敬の「せ」の見分けと、敬語の向きが特によく問われる場面です。

原文の読み方

原文の一語一語に、活用や助動詞・助詞の意味を示しています。緑の下線は敬語です。下のボタンで、用言・助動詞・助詞などのラベルを別々に出したり消したりできます。ラベルを押すと古典文法一覧の説明に飛びます。

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現代語訳・品詞分解・解説

いつもそばに置かれる更衣

原文
はじめより格助起点おしなべて副の格助体修上宮仕へうへみやづかへしサ変連用たまふ補・ハ四終止尊→桐壺更衣べき当然連体きはに断定連用は係助強意あらラ変未然ざり打消連用き過去終止。

現代語訳更衣はもともと、並ひととおりの、帝のおそば仕えをなさるような(軽い)身分ではなかった。

おしなべて
並一通り、ごく普通の
際
身分
解説

普段から帝のそばに身の回りの世話をするのは、身分の低い女官の役目であった。

女御・更衣は普段は自分の部屋にいて、呼ばれたときに帝のところへ向かう。普段からずっと帝のそばにいるわけではなかった。

この文の主語は桐壺更衣。もともと、帝の身の回りの世話(上宮仕へ)をするような低い身分ではなかった、ということ。

原文
おぼえいと副やむごとなくク連用、上衆めかしけれじやうずめかしけれシク已然ど接助逆接確定、わりなくク連用まつはさサ四未然せ尊敬連用たまふ補・ハ四連体尊→帝あまりに格助原因、

現代語訳世の評判も高く、高貴な人らしく見えたのだが、帝が度を越しておそばに置きなさるあまり、

覚え
評判
やむごとなし
この上ない
上衆
身分の高い人
わりなし
むやみやたらだ
解説

「まつはさせたまふ」の「せ」は尊敬(最高敬語)。

「上衆めかしけれど」までは桐壺更衣の様子で、「まつはさせたまふ」の主語は帝。

「わりなくまつはさせたまふあまりに」は、間の「さるべき御遊び〜もてなさせたまひしほどに」をはさんで、「おのづから軽き方にも見えしを」へ続く。

原文
さるラ変連体べき適当連体御遊びおほんあそびの格助体修をりをり、何事に格助場合も係助強意ゆゑあるラ変連体ことの格助体修ふしぶしに格助時間は係助区別、まづ副参う上らまうのぼらラ四未然謙→帝せ使役連用たまふ補・ハ四終止尊→帝。

現代語訳〈帝は〉しかるべき管弦のお遊びの折々や、何事でも由緒ある催しの折ごとには、まず第一にこの更衣をお召しになる。

さるべき
しかるべき、適当な
遊び
詩歌管弦の遊び
参う上らせたまふ
(帝が桐壺更衣を)参上させなさる→お召し寄せになる
解説

帝は桐壺更衣を愛するあまり、いつでもそばにいさせようとした。

「参う上らせたまふ」の「せ」は使役(帝が更衣を参上させる)。

原文
ある連体時に格助時間は係助区別、大殿籠り過ぐしおほとのごもりすぐしサ四連用尊→帝て接助単純接続、やがて副さぶらはハ四未然謙→帝せ使役連用たまひ補・ハ四連用尊→帝など副助例示、あながちにナリ連用御前おまへ去らラ四未然ず打消連用もてなさサ四未然せ尊敬連用たまひ補・ハ四連用尊→帝し過去連体ほどに格助時間、

現代語訳あるときはお寝過ごしになって、そのまま更衣をおそばにお仕えさせなさるなど、無理やりおそばから離さずお扱いになったうちに、

大殿籠る
「寝」「寝ぬ」の尊敬語
やがて
そのまま
解説

「さぶらはせたまひ」の「せ」は使役、「もてなさせたまひ」の「せ」は尊敬。

「やがてさぶらはせたまひ」は、帝が(夜に召した更衣とともに)寝過ごして、そのまま昼も更衣をおそばにお置きになること。

「あながちに御前去らずもてなさせたまひ」の具体的な様子は、「さるべき御遊びの〜やがてさぶらはせたまひ」の部分に書かれている。

原文
おのづから副軽きク連体方に格助資格も係助強意見えヤ下二連用し過去連体を接助逆接確定、

現代語訳更衣は自然と身分の軽い方のようにも見えたのだが、

おのづから
自然と
軽き方
身分の低い者
解説

桐壺更衣があまりに帝のそばにいつもいるので、帝の身の回りの世話をする身分の低い者のように見えた。

一の皇子の女御の心配

原文
こ代名の格助体修皇子みこ生まれラ下二連用たまひ補・ハ四連用尊→皇子て接助単純接続後のちは係助区別、いと副心ことにナリ連用思ほしおきてタ下二連用尊→帝たれ完了已然ば接助順接確定、

現代語訳この皇子がお生まれになって後は、帝が(更衣の扱いを)格別にしようとお心づもりなさっていたので、

ことなり
格別だ、特別だ
思ほしおきつ
「思ひおく(心に決める、計画を立てる)」の尊敬語
解説

「いと心ことに思ほしおきて」の主語は帝。皇子が生まれてからは、桐壺更衣を、軽く見られるような扱いではなく、皇子の母として格別に大切に取り扱おうと心づもりなさった。

原文
「坊ばうに格助資格も係助添加、ようク連用・音せサ変未然ず打消連用は係助強意、こ代名の格助体修皇子の格助主格ゐワ上一連用たまふ補・ハ四終止尊→皇子べき当然連体な断定連体めり婉曲終止。」と格助引用、一の皇子いちのみこの格助体修女御にようごは係助区別おぼし疑へハ四已然尊→一の皇子の女御り存続終止。

現代語訳「皇太子の位にも、ことによるとこの皇子がお就きになるはずのようだ」と、一の皇子の母の女御は疑っておられる。

坊
皇太子。
ようせずは
悪くすると。「よくせずは」のウ音便(直訳すると…よくしないならば)
この皇子
光源氏のこと
ゐる
(位に)つく
解説

この(皇子)光源氏は第二皇子。第一皇子をさしおいて皇太子になるのではないかと、第一皇子の母(弘徽殿女御)は心配している。

「なめり」は「なんめり」と読む。断定の助動詞「なり」の連体形「なる」が撥音便「なん」になって「ん」が表記されない形に、婉曲の助動詞「めり」の終止形がついたもの。

女御がこう疑ったのは、皇子が生まれてから、帝の桐壺更衣への扱いが格別なものに変わったから。

原文
人より格助比較先に格助時間参りラ四連用謙→帝たまひ補・ハ四連用尊→一の皇子の女御て接助単純接続、やむごとなきク連体御思ひなべて副なら断定未然ず打消連用、皇女たちみこたちなど副助例示も係助添加おはしませサ四已然尊→皇女たちば接助順接確定、

現代語訳この女御はほかの方より先に入内なさって、帝が大切に思うお気持ちも並ひととおりではなく、皇女たちもいらっしゃるので、

なべてならず
並一通りではない
皇女たち
一の皇子の母女御との間には第一皇子の他にも娘たちがいた。
解説

「人より先に参りたまひて」の主語は一の皇子の女御で、ほかの方々より先に入内したということ。「やむごとなき御思ひ」は、帝がこの女御を大切に思う気持ち。

原文
こ代名の格助体修御方の格助体修御いさめを格助対象のみ副助限定ぞ係助強意、なほ副わづらはしうシク連用・音、心苦しうシク連用・音思ひハ四連用きこえ補・ヤ下二未然謙→一の皇子の女御させ尊敬連用たまひ補・ハ四連用尊→帝ける過去連体。

現代語訳帝はこの方のおいさめだけは、やはりうるさく、つらいものとお思い申し上げていらっしゃるのだった。

この御方
一の皇子の女御
解説

「きこえ」は一の皇子の女御への謙譲、「させたまひ」は帝への尊敬(最高敬語)。

「この御方の御いさめ」は、一の皇子の女御が帝に、桐壺更衣への格別な扱いを改めて身分相応にするよう忠告すること。帝はそれを、うっとうしくも、気の毒にも思う。

更衣の物思い

原文
かしこきク連体御蔭みかげを格助対象ば係助強意頼みマ四連用きこえ補・ヤ下二連用謙→帝ながら接助逆接確定、おとしめマ下二連用疵きずを格助対象求めマ下二連用たまふ補・ハ四連体尊→人人は係助区別多くク連用、

現代語訳更衣は恐れ多い帝のご庇護をお頼み申し上げてはいるものの、見下して欠点を探そうとなさる方は多く、

かしこし
恐れ多い
御蔭
帝の御庇護
解説

「頼みきこえながら」の主語は桐壺更衣で、頼みにする相手は帝。一方で、更衣をさげすみ欠点を探す方々は多い。

原文
わ代名が格助体修身は係助区別か弱くク連用ものはかなきク連体ありさまに断定連用て接助単純接続、なかなかなるナリ連体もの思ひを格助対象ぞ係助強意しサ変連用たまふ補・ハ四連体尊→桐壺更衣。

現代語訳自分の身はか弱く頼りないありさまなので、かえって(帝のご寵愛などなかったほうがよいという)物思いをなさる。

なかなかなり
中途半端だ、かえってよくない
解説

「なかなかなるもの思ひ」は、帝の寵愛のせいで周囲からいじめられつらい思いをするので、かえって寵愛を受けないほうがよいと思うほどの、桐壺更衣の気苦労。

原文
御局みつぼねは係助区別桐壺なり断定終止。

現代語訳更衣のお部屋は桐壺である。

御局
後宮の、仕切りをした部屋。曹司ともいう。
解説

「桐壺」は、桐壺という名前がついた部屋。中庭に桐を植えたので、こう呼ばれる。帝の居所である清涼殿から最も遠い東北の隅にある。ここから帝のところへ行くためには、たくさんの他の女御・更衣の前を通らなくてはならず、いじめられることになる。

テスト予想問題

A 読み・語句

  1. 「おのづから軽き方にも見えしを」を現代語訳せよ。

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    自然と身分の軽い者のようにも見えたのだが

  2. 「なかなかなるもの思ひ」とは、どういうことか。

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    帝に深く愛されているために、かえって周りから憎まれて苦しみ、いっそ寵愛など受けないほうがよかったと思うほどの物思い。

B 文法・敬語

  1. 次の【 】内の「せ」を、それぞれ文法的に説明せよ。
    ①まつはさ【せ】たまふ
    ②参う上ら【せ】たまふ
    ③さぶらは【せ】たまひ
    ④もてなさ【せ】たまひし

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    ①尊敬の助動詞「す」の連用形(帝の動作。「せたまふ」で最高敬語)
    ②使役の助動詞「す」の連用形(帝が更衣を参上させる)
    ③使役の助動詞「す」の連用形(帝が更衣をそばに控えさせる)
    ④尊敬の助動詞「す」の連用形(帝の動作)

  2. 「この皇子のゐたまふべきなめり」の「なめり」を文法的に説明せよ。

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    断定の助動詞「なり」の連体形「なる」が撥音便「なん」になり、「ん」を表記しない形に、婉曲の助動詞「めり」の終止形が付いたもの。

  3. 次の【 】内の語を、それぞれ文法的に説明せよ。
    ①御思ひなべて【なら】ず
    ②御局は桐壺【なり】
    ③心こと【に】思ほしおきて

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    ①断定の助動詞「なり」の未然形
    ②断定の助動詞「なり」の終止形
    ③ナリ活用の形容動詞「心ことなり」の連用形の活用語尾

  4. 「思ひきこえさせたまひける」の敬語について、「きこえ」「させたまひ」はそれぞれ誰の誰に対する敬意を表すか。

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    「きこえ」=語り手(作者)の、一の皇子の女御に対する敬意(謙譲の補助動詞)。「させたまひ」=語り手の、帝に対する敬意(尊敬の助動詞+尊敬の補助動詞)。

  5. 「この御方の御いさめをのみぞ、……思ひきこえさせたまひける」と「なかなかなるもの思ひをぞしたまふ」について、係助詞「ぞ」の結びの語をそれぞれ抜き出せ。

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    「ける」(連体形)/「たまふ」(連体形)

C 現代語訳・内容

  1. 「はじめよりおしなべての上宮仕へしたまふべききはにはあらざりき」を現代語訳せよ。

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    更衣はもともと、並ひととおりの、帝のおそば仕えをなさるような(低い)身分ではなかった。

  2. 「わりなくまつはさせたまふあまりに」を、「まつはす」のが誰で、相手が誰かを補って現代語訳せよ。

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    帝が更衣をむやみにおそばに置きなさるあまりに

  3. 「坊にも、ようせずは、この皇子のゐたまふべきなめり」と疑ったのは誰か。また、「この皇子」とは誰か。

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    一の皇子の女御(弘徽殿の女御)。「この皇子」=若宮(光源氏、第二皇子)。

  4. 一の皇子の女御のいさめを、帝が「わづらはしう、心苦しう」思うのはなぜか。

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    この女御はほかの方より先に入内し、帝も大切に思っており、皇女たちも生まれているので、その忠告を無視できないから。

  5. 「かしこき御蔭をば頼みきこえながら」を現代語訳せよ。

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    恐れ多い帝のご庇護をお頼み申し上げているものの