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健康な心身こそ学力の基盤

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勉強法より先に見直したい「生活習慣」

多くの生徒を見ていて感じるのは、学力を伸ばすためには、勉強法だけでなく生活習慣も重要だということです。

同じ1時間勉強するにしても、十分に眠って集中できている状態と、睡眠不足でぼんやりしている状態とでは同じではありません。

勉強時間を増やすことだけを考えて、睡眠を削ったり、運動をまったくしなかったり、スマートフォンを触りながら勉強したりしていては、せっかくの勉強時間を十分に生かせない可能性があります。

これは単なる経験則だけではありません。睡眠、運動、スマートフォンなどの生活習慣と、認知機能・学業成績との関係については多くの研究が行われています。

学力を伸ばすには「何時間勉強したか」だけでなく、「集中して学習できる心身の状態を作れているか」も重要です。

① 睡眠時間を削って勉強しない

まず見直してほしいのが睡眠です。

テスト前になると、「あと2時間勉強したいから睡眠を2時間削ろう」と考える人がいます。

しかし、睡眠は単なる休憩ではありません。学習した内容の記憶や、翌日の注意力・認知機能にも関係します。

つまり、睡眠時間を削れば「勉強時間」という数字は増えますが、翌日の集中力まで含めれば必ずしも得をしているとは限りません。

睡眠を削って勉強時間を増やすのではなく、起きている時間の勉強効率を上げる。

特に「毎日眠い」「授業中に眠くなる」「休日になると昼まで寝てしまう」という人は、勉強法を探す前に、普段の睡眠時間を見直してみるとよいでしょう。

② スマートフォンの使い方を変える

高校生の生活習慣の中で、特に注意してほしいのがスマートフォンです。

もちろん、スマートフォンそのものが悪いわけではありません。調べ物、学習動画、英単語アプリなど、使い方によっては非常に便利な学習道具になります。

問題なのは、SNS、動画、ゲームなどを長時間利用したり、勉強中に何度もスマートフォンを確認したりして、スマートフォンに自分の注意と時間を奪われることです。

スマホの問題的使用と学業成績には負の関連がある

この点については研究もあります。

2024年に発表されたシステマティックレビュー・メタ分析では、29研究、合計48,490人のデータから、スマートフォンの問題的使用と学業成績との関係が分析されました。

その結果、スマートフォン使用が多いほど、学業成績が低いという負の関連が確認されています。

スマホは触らなくても集中を妨げる?

さらに興味深い研究があります。

2017年に発表された「Brain Drain」と呼ばれる研究では、自分のスマートフォンを机の上、ポケットやカバンの中、別の部屋などに置いた状態で認知課題を行わせました。

その結果、スマートフォンを実際に操作していなくても、スマートフォンが身近にあること自体が、利用できる認知資源を減らす可能性が示されました。

特にスマートフォンへの依存度が高い人ほど、この影響が大きい傾向が確認されています。

スマートフォンを触っていなくても、「通知が来ていないか」「LINEを確認したい」「少しだけSNSを見たい」という誘惑を抑えること自体に、認知資源を使っている可能性があります。

勉強するときは、スマートフォンを机の上に置かない。

できればカバンの中ではなく、別の部屋など簡単には手に取れない場所に置くことをおすすめします。

寝る前のスマホは睡眠にも影響する

さらに注意したいのが、夜のスマートフォンです。

寝る直前までSNS、動画、ゲームなどを続ければ、その時間だけ就寝時刻が遅くなります。スクリーンメディアの過剰使用は、睡眠時間の短さや睡眠の質の悪さとも関連することが報告されています。

睡眠不足になれば、翌日の集中や学習にも影響します。

スマートフォンが勉強を妨げる可能性のある3つの経路

① SNS・動画などによって勉強時間が減る

② 勉強中に確認することで集中が中断される

③ 夜間利用によって睡眠が妨げられる

そのため、スマートフォンを完全に禁止する必要はありませんが、勉強中と就寝前だけでもスマートフォンから離れることをおすすめします。

③ 適度に運動する

勉強というと「机に向かっている時間が長いほどよい」と考えがちですが、運動も大切です。

身体活動については、子どもや青少年の認知機能との関連について多くの研究が行われています。

だからといって、「筋トレをすれば偏差値が上がる」「毎日走れば成績が上がる」といった単純な話ではありません。

しかし、勉強のために一日中座り続ける必要もありません。健康維持も兼ねて、日常生活の中に適度な運動を取り入れるとよいでしょう。

ウォーキング、ジョギング、自転車、部活動、軽い筋トレなど、続けられるもので十分です。

勉強するから運動しないのではなく、長期間勉強を続けられる心身を作るために適度に運動する。

④ エナジードリンクに頼って勉強しない

眠気を飛ばすためにエナジードリンクを飲んで勉強する高校生もいます。

しかし、カフェインには覚醒作用があり、摂取する時間や量によっては睡眠を妨げます。

特に避けたいのが、

夜遅くまで勉強する

眠いのでエナジードリンクを飲む

寝つきが悪くなる

翌日も眠い

またカフェインに頼る

という悪循環です。

強い眠気を感じるのであれば、「カフェインが足りない」と考える前に、そもそも睡眠時間が足りているかを確認してください。

⑤ 食べすぎ・極端な食生活を避ける

食事については、「これを食べれば頭が良くなる」という特別な食品を探す必要はありません。

勉強中のお菓子や夜食を食べすぎたり、甘い飲料やエナジードリンクを習慣的に大量摂取したりするより、まず普通の食事を整えることを考えましょう。

また、「健康にいい」と聞いた食品だけを大量に食べるような極端な食生活もおすすめしません。

主食・主菜・副菜などを組み合わせ、必要な栄養を普段の食事からとることを基本にすれば十分です。

⑥ 「早起き」よりも睡眠・起床のリズムを整える

「朝5時に起きて勉強する」「朝型にすれば成績が上がる」といった話もありますが、単純に早く起きればよいわけではありません。

睡眠時間を削ってまで早起きするのでは本末転倒です。

大切なのは、必要な睡眠時間を確保したうえで、就寝・起床時刻を大きく乱さないことです。

平日は睡眠不足、休日は昼まで寝るという生活より、できる範囲で一定の生活リズムを作ることをおすすめします。

勉強時間を増やす前に「勉強できる状態」を作ろう

成績が伸びないと、「もっと勉強時間を増やそう」「参考書を変えよう」「新しい勉強法を試そう」と考えがちです。

もちろん、それらも重要です。

しかし、睡眠不足のまま、スマートフォンを机に置き、何度もSNSを確認しながら3時間勉強するのと、十分に眠った状態でスマートフォンを別の部屋に置き、集中して勉強するのとでは、同じ「3時間」でも中身は違います。

① 睡眠時間を削らない

② 勉強中はスマートフォンを遠ざける

③ 寝る前はスマートフォンを見ない

④ 適度に運動する

⑤ エナジードリンクに頼らない

⑥ 極端な食生活を避ける

⑦ 睡眠・起床のリズムを整える

全部を一度に変える必要はありません。

特に高校生なら、まずは「睡眠時間を確保する」「勉強中はスマホを別の場所に置く」という二つから始めることをおすすめします。

勉強時間を増やすだけでなく、その時間にしっかり集中できる生活を作ることも、長期的に学力を伸ばしていくための大切な土台です。

勉強や生活について少し違った視点から考えたい人は、こちらの記事もどうぞ。

まじめな話・岡本かの子『仏教読本』より

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