燕という国で、噲王が政権を宰相の子之に譲ったことがきっかけで内乱が起きた。内乱につけこんで、隣国の斉が燕を攻撃し、噲と子之は殺された。
燕人立太子平為君。是為昭王。
燕人 太子平を立てて君と為す。是れを昭王と為す。
燕の人々は太子の平を立てて君主とした。これを昭王といった。
・平(昭王)は亡くなった噲王の子。
弔死問生、卑辞厚幣以招賢者。
死を弔ひ生を問ひ、辞を卑くし幣を厚くして、以つて賢者を招く。
(昭王は)戦死者を弔い、生存者を見舞い、言葉遣いをへりくだったものにし、多くの礼物を用意して、賢者を招こうとした。
〇昭王はぼろぼろになった燕の再建を目指した。
・辞…言葉。(※辞書・辞典など熟語がある)
問郭隗曰、「斉因孤之国乱、而襲破燕。
郭隗に問ひて曰はく、「斉 孤の国の乱るるに因りて、襲ひて燕を破る。
(昭王が)郭隗に質問することには「斉はわが国の混乱につけこんで、燕を攻め破った。
・孤…私。※王が自分をへりくだって呼ぶ表現。
・因…「よリテ」よって、それが原因で。
・而…置き字。接続詞のはたらき。
孤極知燕小不足以報。
孤 極めて燕の小にして以つて報ずるに足らざるを知る。
私は燕が小国で、報復する力が足りないことをよく分かっています。
・不足…十分でない。
・報…報復、復讐。
誠得賢士与共国、以雪先王之恥、孤之願也。
誠に賢士を得て与に国を共にし、以つて先王の恥を雪ぐは、孤の願ひなり。
ぜひとも賢者を得て、その人物と共に国の政治を行うことで、(国力をつけて)先代の王の恥をすすぐたいというのが、私の願いである。
・誠…ぜひとも、本当に。
・先王之恥…先代の王である噲が国内の混乱につけこれまて斉に殺されたこと。
・雪…恥をすすぐ、除く。
先生視可者。得身事之。」
先生 可なる者を視せ。身 之に事ふるを得ん。」と。
先生、ふさわしい者を推薦していただきたい。私は身をもってその人物を師としてお仕えしたい。」と。
・得…「~を得ん」~たい。
・事…仕える。