まぎらわしい語の識別
ここでは「らむ」の識別方法を説明します。
次の文を使って考えてみましょう。
①心知れらむ人に見せばや。
②人のいふらむことをまねぶらむよ。
③心あてに折らばや折らむ
「らむ」の識別は 接続、つまりどんな形の下についているかを見るとできます。
大きく3つに分かれます。
目次
①「エ段 + らむ」の場合
「らむ」=存続完了の助動詞「り」の未然形 + 推量の助動詞「む」
助動詞「り」はサ変未然形・四段已然形接続ですから、「エ段」につきます。
助動詞「む」は未然形接続ですので、「り」の未然形「ら」につくことができます。
心知れらむ人に見せばや。
心を知っているようなひとに見せたい。
この文では「ら」…存続「り」、「む」…婉曲「む」で「~ている ような」と訳します。
②「ウ段 + らむ」
「らむ」=現在推量の助動詞「らむ」
助動詞「らむ」は終止形接続ですので「ウ段」につきます。(ラ変型には連体形「る」ですが、結局「ウ段」にくっつきます。)
人のいふらむことをまねぶらむよ
(その鳥は)人が言っているようなことをまねるそうだよ
この文では「らむ」は現在の伝聞の意味ですね。
③他の語の一部+「む」
動詞や、打消「ず」の未然形「ざら」、形容詞の未然形「~から」などに「む」がくっつく形。
たまにひっかけで出されますが、こういう場合もあると知っておけば、見抜くのは難しくないはずです。
心あてに折らばや折らむ
あて推量に追ったならば、折れるだろうか。
※「折ら」+推量「む」の形です。