古文学習において、最重要ともいえる助動詞。
古文嫌いを増やす原因でもあります。
でも、ちょっと面倒くさいだけで、難しくはありません。
助動詞を難しく感じるのは、覚えるべきことを覚えきっていないことが原因です。
数学でたとえると、九九を覚えていないのに、因数分解にいどむようなことをしているからです。
ここでは、①まず初めに理解しておくべきこと ②まず覚えるべきこと をお伝えします。
まず 理解しておくこと。
助動詞については「意味・接続・活用」がすべてです。
意味…助動詞それぞれ意味、働きを持っている。
▽昔、男あり けり。 (訳)昔、男がいた。 「けり」は過去の意味
▽雪、降ら む。 (訳)雪が降るだろう。 「む」は推量の意味
助動詞とは、現代語でいえば 「言わない」「言わせる」「言った」「言うようだ」「言われる」なのように動詞などの下について 打消(~ない)、使役(~させる)、過去(~た)、推定(~ようだ)、受身(~られる)などの意味を付け加える語と 考えてください。
接続…それぞれの助動詞が何形の下につくか
・「ず」は未然形接続 〇「あら ず」 ×「あり ず」
・「けり」は連用形接続 〇「あり けり」 ×「あら けり」
助動詞にはそれぞれ接続が決まっています。
接続とはその語が、どんな形にくっつくかということです。
たとえば
助動詞「ず」は未然形の後にくっつく
助動詞「けり」は連用形の後にくっつく
などの決まりがあります。
活用…助動詞も下につく語によって変化する。
助動詞は動詞と同じように「未然・連用・終止・連体・已然・命令」と形を変えます。
ちょっとややこしいけれど、ここが大事です。
たとえば「許されなかった」という意味の古文はどのようにつくられるでしょうか。
・「許す」という動詞
・受身(~される)の意味がある助動詞「る」
・打消(ない)の意味がある助動詞「ず」
・過去(~た)の意味がある助動詞「けり」
を組み合わせることでできます。
「許す」+「る」+「ず」+「けり」
これを組み合わせるときに以下のように「接続」「活用」を使います。
①助動詞「る」は未然形接続なので、
「る」の上の「許す」は未然形「許さ」になります。
②助動詞「ず」は未然形接続なので、
「ず」の上の「る」は未然形「れ」になります。
③助動詞「けり」は連用形接続なので、
「けり」の上の「ず」は連用形「ざり」になります。
④「けり」文が終わるので
「けり」は終止形(基本形)「けり」のままです。
以上まとめて「許さ れ ざり けり。」と文の完成です。
ちょっと長くなりましたが、理解できていますか?
ここまでわかれば第一段階クリア!
次は必要な知識をとにかく覚えましょう。
覚えること!
覚えることは、それぞれの助動詞の意味・接続・活用です。
ここはとにかく丸暗記してください。
古文の先生には助動詞はすべて覚える必要はないという先生もいますが(それも一理あります)、
私としては初めにすべて丸暗記してしまった方が楽だと思います。
何回も声にだして、一週間で覚えましょう。
例えば「助動詞」「る」「らる」であれば
意味…受身・尊敬・自発・可能
接続…未然形接続
活用…
未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 |
れ | れ | る | るる | るれ | れよ |
られ | られ | らる | らるる | らるれ | られよ |
を覚えます。
これを
『る』『らる』、
『受身・尊敬・自発・可能』、
『未然形接続』、
『れ・れ・る・るる・るれ・れよ』
『られ・られ・らる・らるる・らるれ・られよ』
と声に何回も出しましょう。
学校の古典文法書の最初のページ表があると思いますので、そこを何回も音読してください。
接続については
未然形接続…「る」「らる」「す」「さす」「しむ」「む」「むず」「ず」「じ」「まし」「まほし」
連用形接続…「き」「けり」「つ」「ぬ」「たり」「たし」「けむ」
終止形接続…「らむ」「らし」「べし」「まじ」「めり」「なり(伝聞推定)」
「なり(断定存在)」…連体形・体言接続
「り」…サ変の未然形・四段の已然形
とグループごとに覚えたほうが、覚えやすいかもしれません。
それぞれの助動詞の詳しい説明を別ページでやっていますのでぜひご覧ください。