『徒然草』家居のつきづきしく 現代語訳・品詞分解・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. 住まいへの関心
  4. 好ましい住まい
  5. 好ましくない住まい
  6. 屋根に縄を張った二つの例
  7. テスト予想問題

『徒然草(つれづれぐさ)』第十段「家居のつきづきしく」の現代語訳・品詞分解・解説です。

住まいには、そこに住む人の人柄が表れる――。兼好は、教養のある人の自然で落ち着いた住まいと、職人に飾り立てさせた住まいを比べます。後半では、屋根に縄を張った後徳大寺の大臣と綾小路の宮の話を挙げ、外見だけでは決めつけられないことにもふれます。反対の意味の語句、主語と敬語、「こそ」の結びの省略がよく問われます。

原文の読み方

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現代語訳・品詞分解・解説

住まいへの関心

原文
家居いへゐの格助主格つきづきしくシク連用あらまほしきシク連体こそ係助強意、仮の格助体修宿りと格助引用は係助強調思へハ四已然ど接助逆接確定、興きようあるラ変連体ものなれ断定已然。

現代語訳住まいが(住む人に)似つかわしく、好ましい様子であるのは、(この世の)一時の仮の住まいだとは思うけれど、興味深いものだ。

家居(いへゐ)
住まい。住居。
つきづきし
似つかわしい。調和がとれている。
あらまほし
好ましい。理想的だ。
興
おもしろみ。
解説

「仮の宿り」は、無常のこの世での一時の住まいのこと。住まいはしょせん仮のものだと思いながらも、やはり関心をひかれる、ということ。

「こそ」の結びで、断定の助動詞「なり」が已然形「なれ」になっている。

好ましい住まい

原文
よきク連体人の格助主格、のどやかにナリ連用住みなしサ四連用たる存続連体所は係助主題、差し入りラ四連用たる存続連体月の格助体修色も係助添加、ひときは副しみじみと副見ゆるヤ下二連体ぞ係助強意かし終助念押し。

現代語訳身分が高く教養もある人が、ゆったりと落ち着いて住んでいる所は、さしこんでくる月の光も、ひときわしみじみと心にしみて見えるものだよ。

よき人
身分が高く、教養のある人。
のどやかなり
ゆったりと落ち着いている。
解説

よき人の住まいは、さしこむ月の光までひときわしみじみと感じられる、ということ。

原文
今めかしくシク連用きららかならナリ未然ね打消已然ど接助逆接確定、木立こだちもの古りラ上二連用て接助状態、わざと副なら断定未然ぬ打消連体庭の格助体修草も係助添加心あるラ変連体さまに断定連用、

現代語訳当世風で華やかというわけではないが、木立がどことなく古びていて、わざわざ手を加えたのでもない庭の草も趣のある様子で、

今めかし
当世風だ。現代風だ。
きららかなり
きらびやかだ。
もの古る
なんとなく古びる。
わざとならぬ
わざわざ手を入れたのではない。
解説

「今めかしく」と反対の内容を表すのは、次の句の「昔おぼえて」。

「わざとならぬ」と反対の内容を表すのは、後の段落の「心のままならず作りなせる」。

原文
簀子すのこ・透垣すいがいの格助体修便りをかしくシク連用、うちあるラ変連体調度てうども係助添加昔おぼえヤ下二連用て接助状態やすらかなるナリ連体こそ係助強意、心憎しク終止と格助引用見ゆれヤ下二已然。

現代語訳簀子や透垣の作り具合にも趣があり、無造作に置かれた道具も古めかしく落ち着いた感じがするのは、奥ゆかしく見える。

簀子(すのこ)
建物の外側に張り出した板敷きの縁。
透垣(すいがい)
板や竹で、間をすかして作った垣。
便り
配置。具合。
うちあり
何気なく置いてある。
調度(てうど)
身の回りの道具や家具。
心憎し
奥ゆかしい。
解説

「こそ」の結びで、「見ゆ」が已然形「見ゆれ」になっている。

好ましくない住まい

原文
多くク連用の格助体修匠たくみの格助主格、心を格助対象尽くしサ四連用て接助状態磨きたてタ下二連用、唐からの格助準体、大和やまとの格助準体、めづらしくシク連用、えならぬ調度てうどども並べ置きカ四連用、

現代語訳多くの大工が心をこめて磨き上げ、中国のものや日本のもので、珍しく、なんともいえずすばらしい道具類を並べて置き、

匠(たくみ)
大工。職人。
唐(から)
中国。
えならぬ
なんともいえないほどすばらしい。
解説

「唐の、大和の」は、「中国のもの、日本のもの」という意味で、「調度ども」にかかる。

原文
前栽せんざいの格助体修草木まで副助添加心のままなら断定未然ず打消連用作りなせサ四已然る存続連体は係助対比、見る目も係助強意苦しくシク連用、いと副わびしシク終止。

現代語訳庭の植え込みの草木まで自然のままにせず、人の手で作り立てているのは、見た目にも不快で、まったくやりきれない。

前栽(せんざい)
庭の植え込み。
心のままならず
自然のままでなく。
わびし
やりきれない。不快だ。
解説

職人に飾り立てさせ、庭の草木まで人工的に作った住まいを、作者は見苦しいと批判している。

原文
さても副やは係助反語長らへ住むマ四終止べき可能連体。また接、時の間の格助体修煙けぶりと格助結果も係助強意なりラ四連用な強意未然ん推量終止と格助引用ぞ係助強意、うち見るマ上一連体より格助即時思はハ四未然るる自発連体。

現代語訳そのようにしても、いつまでも生きながらえて住んでいられようか、いや、いられはしない。また、(火事にでもなれば)ほんの短い間に煙となってしまうだろうと、ちょっと見ただけで自然と思われる。

時の間
ほんの短い間。
うち見る
ちょっと見る。
解説

「さてもやは長らへ住むべき」は、「そのようにしても、いつまでも生きながらえて住めるだろうか、いや、住めはしない」。「やは」は反語で、結びの「べき」は連体形。

人の命も住まいもはかないものだという考えが、冒頭の「仮の宿り」と通じている。

「ぞ」の結びで、自発の助動詞「る」が連体形「るる」になっている。

原文
おほかた副は係助強調、家居いへゐに格助原因こそ係助強意、ことざまは係助対比推し量らラ四未然るれ可能已然。

現代語訳だいたいは、住まい(の様子)によって、(住む人の)人柄はおしはかられるものだ。

おほかた
だいたい。
ことざま
人柄。様子。
解説

「ことざま」は、住む人の人柄のこと。住まいを見れば、住む人の人柄がおしはかられる、というのが前半のまとめ。

「こそ」の結びで、可能の助動詞「る」が已然形「るれ」になっている。

屋根に縄を張った二つの例

原文
後徳大寺の大臣ごとくだいじのおとどの格助主格、寝殿に格助場所、鳶とび居ワ上一未然させ使役未然じ打消意志終止と格助引用て接助単純接続縄を格助対象張らラ四未然れ尊敬連用尊→後徳大寺の大臣たり完了連用ける過去連体を格助対象、西行さいぎやうが格助主格見マ上一連用て接助単純接続、

現代語訳後徳大寺の大臣が、寝殿に、鳶をとまらせないようにと縄を張っておられたのを、西行が見て、

大臣(おとど)
大臣。
寝殿
貴族の屋敷の中心になる建物。
解説

「張られ」の「れ」は尊敬で、作者から後徳大寺の大臣への敬意。縄を張らせたのは後徳大寺の大臣。

ここから、「家居にこそ、ことざまは推し量らるれ」の例として、屋根に縄を張った話が始まる。

原文
「鳶の格助主格居ワ上一連用たら存続未然ん婉曲連体は係助主題、何かは係助反語苦しかるシク連体べき推量連体。この殿の格助体修御心、さばかり副に断定連用こそ係助強意。」

現代語訳「鳶がとまっているようなことが、どうして不都合なことがあろうか、いや、何も困りはしない。この殿のお心は、その程度のものなのだろう。」

さばかり
その程度。
解説

西行の言葉。「何かは苦しかるべき」は「どうして不都合なことがあろうか、いや、ない」という反語。

「さばかりにこそ」は、下に「あらめ」などが省略されている(結びの省略)。

鳶がとまるくらいのことを嫌う大臣を、心の狭い人だと非難している。

原文
と格助引用て接助単純接続、その後は係助対比参らラ四未然謙→後徳大寺の大臣ざり打消連用ける過去連体と格助引用聞きカ四連用侍る補・ラ変連体丁→読み手に接助単純接続、

現代語訳と言って、その後は(大臣の屋敷へ)参上しなかったと聞いておりますが、

解説

「参ら」は謙譲語で、作者から後徳大寺の大臣への敬意。参上しなくなったのは西行。

「聞き侍る」の主語は作者。「侍る」は丁寧語で、作者から読み手への敬意。

原文
綾小路の宮あやのこうじのみやの格助主格おはしますサ四連体尊→綾小路の宮小坂殿こさかどのの格助体修棟に格助場所、いつ代名ぞ係助強意や係助疑問縄を格助対象引かカ四未然れ尊敬連用尊→綾小路の宮たり完了連用しか過去已然ば接助順接確定、かのためし思ひ出でダ下二未然られ自発連用侍り補・ラ変連用丁→読み手し過去連体に格助時間、

現代語訳綾小路の宮のお住まいの小坂殿の棟に、いつだったか(宮が)縄をお引きになったことがあったので、あの例(後徳大寺の大臣の話)が自然と思い出されましたが、

おはします
いらっしゃる。「あり」の尊敬語。
ためし
例。前例。
解説

「かのためし」は、後徳大寺の大臣が寝殿に縄を張り、西行がそれを見て参上しなくなった話を指す。

「思ひ出でられ」の主語は作者。「られ」は自発で、「侍り」は作者から読み手への敬意を表す丁寧語。

原文
まことや感、「烏からすの格助主格群れ居ワ上一連用て接助単純接続池の格助体修蛙かへるを格助対象取りラ四連用けれ過去已然ば接助順接確定、御覧じサ変連用尊→綾小路の宮悲しまマ四未然せ尊敬連用尊→綾小路の宮給ひ補・ハ四連用尊→綾小路の宮て接助原因なん係助強意。」と格助引用、人の格助主格語りラ四連用し過去連体こそ係助強意、

現代語訳そういえば、「烏が群れてとまり、池の蛙をつかまえていたので、(宮が)それをご覧になり、蛙をふびんにお思いになって(縄を張らせたのです)。」と、ある人が話したのは、

まことや
そういえば。(話を思い出したときの言葉)
解説

「御覧じ」「せ給ひ」は尊敬語で、話をした人から綾小路の宮への敬意。蛙をかわいそうに思ったのは綾小路の宮。

「なん」の下には、「(縄を)お張りになったのです」という意味の言葉が省略されている(結びの省略)。烏が池の蛙を取るのを防ぐために縄を張った、ということ。

原文
さては副いみじくシク連用こそ係助強意と格助引用おぼえヤ下二連用しか過去已然。

現代語訳それなら、すばらしいお心だと感じられた。

いみじ
すばらしい。
解説

作者は、蛙を思いやって縄を張った綾小路の宮を、立派な心の持ち主だと感心している。

「いみじくこそ」の下にも、「あれ」などの言葉が省略されている。

原文
徳大寺に格助場合も係助添加、いかなるナリ連体ゆゑか係助疑問侍りラ変連用丁→読み手けん過去推量連体。

現代語訳あの徳大寺の大臣にも、どんなわけがあったのでございましょうか。

解説

「徳大寺」は、後徳大寺の大臣のこと。作者の感想で、「侍り」は丁寧語。

綾小路の宮の例のように、縄を張るのにも何か事情があったのかもしれない。大臣を一方的に非難した西行の判断に疑問を投げかけ、大臣の側に立って考えている。

テスト予想問題

A 読み・語句

  1. 次の語の読みを現代仮名遣いで答えよ。
    ①家居
    ②簀子
    ③透垣
    ④調度
    ⑤前栽
    ⑥大臣(おとどと読む)
    ⑦西行

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    ①いえい
    ②すのこ
    ③すいがい
    ④ちょうど
    ⑤せんざい
    ⑥おとど
    ⑦さいぎょう

  2. 本文中で使われている意味を、次の語それぞれについて答えよ。
    ①つきづきし
    ②あらまほし
    ③よき人
    ④今めかし
    ⑤心憎し
    ⑥えならぬ
    ⑦わびし
    ⑧ことざま
    ⑨まことや

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    ①似つかわしい・調和がとれている
    ②好ましい・理想的だ
    ③身分が高く教養のある人
    ④当世風だ
    ⑤奥ゆかしい
    ⑥なんともいえないほどすばらしい
    ⑦やりきれない
    ⑧人柄
    ⑨そういえば

B 文法

  1. 次の各文について、係助詞と、それを受ける結びの語を示し、結びの活用形も答えよ。
    ①やすらかなるこそ、心憎しと見ゆれ。
    ②さてもやは長らへ住むべき。
    ③何かは苦しかるべき。

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    ①こそ・見ゆれ(已然形)
    ②やは・べき(連体形)
    ③かは・べき(連体形)

  2. 次の【 】内の助動詞の意味を答えよ。
    ①興あるもの【なれ】
    ②住みなし【たる】所
    ③きららかなら【ね】ど
    ④うち見るより思は【るる】
    ⑤縄を張ら【れ】たりける
    ⑥いかなるゆゑか侍り【けん】

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    ①断定
    ②存続
    ③打消
    ④自発
    ⑤尊敬
    ⑥過去推量

  3. 次の部分の敬語の種類と、敬意の方向(誰から誰へ)を答えよ。
    ①その後は参らざりける
    ②聞き侍るに
    ③御覧じ悲しませ給ひて

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    ①謙譲語・作者から後徳大寺の大臣へ
    ②丁寧語・作者から読み手へ
    ③尊敬語・(話をした)人から綾小路の宮へ

C 現代語訳・内容

  1. 「家居のつきづきしくあらまほしきこそ、仮の宿りとは思へど、興あるものなれ。」を現代語訳せよ。

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    住まいが(住む人に)似つかわしく、好ましい様子であるのは、この世の一時の住まいだとは思うけれど、興味深いものだ。

  2. ①「今めかしく」②「心のままならず作りなせる」と反対の内容を表す部分を、本文中からそれぞれ抜き出せ。

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    ①昔おぼえて
    ②わざとならぬ

  3. 「おほかたは、家居にこそ、ことざまは推し量らるれ。」を現代語訳せよ。また、「ことざま」とは何のことか。

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    訳=だいたいは、住まい(の様子)によって、(住む人の)人柄はおしはかられるものだ。
    ことざま=住む人の人柄

  4. 「この殿の御心、さばかりにこそ。」について、①「こそ」の下に省略されている言葉を補え。②この言葉にこめられた西行の思いを説明せよ。

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    ①あらめ(侍らめ)
    ②鳶がとまるくらいのことを嫌う大臣は、心の狭い人だと非難する気持ち。

  5. 次の動作の主語を答えよ。
    ①縄を張られたりける
    ②その後は参らざりける
    ③かのためし思ひ出でられ侍りし
    ④御覧じ悲しませ給ひて

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    ①後徳大寺の大臣
    ②西行
    ③作者
    ④綾小路の宮

  6. 「さてはいみじくこそとおぼえしか」とあるが、作者は何をすばらしいと思ったのか、説明せよ。

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    綾小路の宮が、烏に池の蛙を取られるのをかわいそうに思って縄を張らせた、その思いやりのある心。

  7. 「徳大寺にも、いかなるゆゑか侍りけん。」を現代語訳せよ。また、この一文にはどのような作者の考えがこめられているか、西行の態度と比べて説明せよ。

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    訳=あの徳大寺の大臣にも、どんなわけがあったのでございましょうか。
    考え=綾小路の宮の例のように、縄を張ったのにも何か事情があったかもしれないので、外見だけで大臣を非難した西行の判断には疑問があり、大臣の側にも理由を考えてみるべきだということ。