『方丈記』ゆく河の流れ 現代語訳・品詞分解・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. 川の流れと水の泡
  4. 都の住まいと人
  5. 人と住まいのはかなさ
  6. テスト予想問題

『方丈記(ほうじょうき)』「ゆく河の流れ」の現代語訳・品詞分解・解説です。

『方丈記』の冒頭の部分です。流れ続ける川の水や、消えては生まれる水の泡、朝顔の花とその上の露にたとえて、人と住まいのはかなさを語ります。何が何のたとえになっているか、指示語の内容、対句・倒置、係り結びがよく問われます。

原文の読み方

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現代語訳・品詞分解・解説

川の流れと水の泡

原文
ゆくカ四連体河かはの格助体修流れは係助区別絶えヤ下二未然ず打消連用して接助単純接続、しかも接、もとの格助体修水に断定連用あら補・ラ変未然ず打消終止。

現代語訳川は絶えることなく流れ続けていて、しかも、その水はもとの水ではない。

しかも
それでいて
解説

川の流れは絶えることなく続いているように見えるが、そこを流れる水は、いつも新しい水に入れかわっている。変わらないように見えて、実は常に移り変わっている、ということ。

原文
淀よどみに格助場所浮かぶバ四連体うたかたは係助区別、かつ副消えヤ下二連用、かつ副結びバ四連用て接助単純接続、久しくシク連用とどまりラ四連用たる存続連体例ためしなしク終止。

現代語訳よどみに浮かぶ泡は、消えたかと思うとまたでき、長くそのまま残っているためしはない。

うたかた
水の上に浮かぶ泡
かつ
「かつ〜かつ…」で、一方では〜し、一方では…する
結ぶ
(泡が)できる
解説

「ゆく河の流れ」と「淀みに浮かぶうたかた」が対になっている。

「うたかた」は、すぐに消えてしまうはかないもののたとえ。後に出てくる「水の泡」と同じ意味。

原文
世の中に格助場所あるラ変連体人と格助並列栖すみかと格助並列、また副かく副の格助体修ごとし比況終止。

現代語訳この世に生きる人とその住まいも、ちょうどこれと同じである。

栖
住まい
解説

「かくのごとし」は、前の二文を受けて、この世の人と住まいも、川の流れや水の泡のように、常に移り変わってとどまることがない、ということ。

たとえの関係:「ゆく河の流れ」は栖(住まい)、「淀みに浮かぶうたかた」は人にあたる。

都の住まいと人

原文
たましきの格助体修都みやこの格助体修うちに格助場所、棟むねを格助対象並べバ下二連用、甍いらかを格助対象争へハ四已然る存続連体、高きク連体いやしきシク連体人の格助体修住まひは係助区別、

現代語訳玉を敷いたようにきれいな都に、棟を連ね、屋根の立派さを張り合っている、身分の上下さまざまな人の住まいは、

たましき
玉を敷きつめたように美しいこと
甍
屋根の瓦。また、瓦ぶきの屋根
いやし
身分が低い
棟
屋根のいちばん高いところ。
解説

「棟を並べ甍を争へる」は、家々が高さや立派さを競い合うように立ち並んでいる様子。

「高きいやしき人」は、身分の高い人も低い人も、ということ。

原文
世々よよを格助対象経へハ下二連用て接助単純接続尽きせサ変未然ぬ打消連体ものなれ断定已然ど接助逆接確定、これ代名を格助対象まことか係助疑問と格助引用尋たづぬれナ下二已然ば接助順接確定、昔ありラ変連用し過去連体家は係助区別まれなりナリ終止。

現代語訳何代たってもなくならないもののように思えるが、それが本当かと調べてみると、昔からあった家はほとんどない。

世々
何代も。代々。
解説

「これ」は、都の住まいは何代たってもなくならないものだ、ということを指す。

原文
あるいは去年こぞ焼けカ下二連用て接助単純接続今年ことし作れラ四已然り完了終止。あるいは大家おほいへ滅びバ上二連用て接助単純接続小家こいへと格助結果なるラ四終止。住むマ四連体人も係助添加これ代名に格助比較同じシク終止。

現代語訳ある家は去年焼けて今年建て直したものである。ある家は大きな家がつぶれて小さな家になっている。住んでいる人もこれと同じである。

あるいは
ある場合は
解説

「これ」は、焼けて建て直されたり、大きな家が小さな家になったりする、住まいの移り変わりを指す。住む人も住まいと同じように入れかわっている。

原文
所も係助並列変はらラ四未然ず打消連用、人も係助並列多かれク已然ど接助逆接確定、古いにしへ見マ上一連用し過去連体人は係助区別、二、三十人が格助体修中なかに格助範囲、わづかにナリ連用一人ひとり二人ふたりなり断定終止。

現代語訳場所も同じで、人も大勢いるけれども、以前に見知った人は、二、三十人のうち、ほんの一人か二人にすぎない。

解説

場所も人の数も昔と変わらないのに、昔から知っている人はほとんど残っていない。人も絶えず入れかわっているということ。

原文
朝あしたに格助時間死にナ変連用、夕ゆふべに格助時間生まるるラ下二連体ならひ、ただ副水の格助体修泡あわに格助対象ぞ係助強意似ナ上一連用たり存続連用ける詠嘆連体。

現代語訳朝に死ぬ人があれば、夕方に生まれる人もあるという世のならわしは、まったく水の泡にそっくりなことだ。

朝
朝
ならひ
世の常。ならわし
解説

朝にだれかが死に、夕方にはだれかが生まれる人の世のありさまが、一方では消え、一方ではできる水の泡に似ている、ということ。

「ぞ」の結びは「ける」(連体形)。

人と住まいのはかなさ

原文
知らラ四未然ず打消終止、生まれラ下二連用死ぬるナ変連体人、いづ方かた代名より格助起点来きたりラ四連用て接助単純接続、いづ方かた代名へ格助方向か係助疑問去るラ四連体。

現代語訳わからないことだ、生まれたり死んだりする人が、いったいどこから来て、どこへ去っていくのかは。

解説

倒置法。ふつうの順序なら「生まれ死ぬる人、いづ方より来たりて、いづ方へか去る(か)、知らず」となる。

「いづ方より来たりて」と「いづ方へか去る」、「生まれ」と「死ぬる」が対句になっている。

「か」の結びは「去る」(連体形)。

原文
また接知らラ四未然ず打消終止、仮かりの格助体修宿り、誰た代名が格助体修ために格助目的か係助疑問心を格助対象悩ましサ四連用、何なに代名に格助対象よりラ四連用て接助単純接続か係助疑問目を格助対象喜ばバ四未然しむる使役連体。

現代語訳これもまたわからない、(この世での)一時の住まいなのに、だれのために心を苦しめ、何をもって目を喜ばせようとするのかは。

宿り
住まい。「仮の宿り」は、この世での一時の住まい
解説

「また知らず」も、前の文と同じく倒置になっている。

「仮の宿り」は、無常のこの世での一時の住まい。人がこの世に生きるのはわずかな間なので、住まいも仮のものにすぎない、という考え方による。

「誰がためにか」の「か」は、結びにあたる「悩まし」で文が終わらずに続くため、結びが流れている。「何によりてか」の「か」の結びは「しむる」(連体形)。

原文
そ代名の格助体修主あるじと格助並列栖すみかと格助並列、無常むじやうを格助対象争ふハ四連体さま、いはば副朝顔あさがほの格助体修露つゆに格助比較異ことならナリ未然ず打消終止。

現代語訳その主人と住まいとが、競い合うようにはかなく消えていく様子は、たとえて言えば、朝顔の花とそこに置いた露(の関係)と変わらない。

無常
すべてのものは移り変わり、とどまることがないということ
いはば
たとえて言えば
解説

「無常を争ふ」は、主人と住まいが、どちらが先に滅びるかを争うように、はかなく消えていくこと。

たとえの関係:露は主(人)、花(朝顔)は栖(住まい)にあたる。

原文
あるいは露つゆ落ちタ上二連用て接助単純接続花残れラ四已然り存続終止。残るラ四終止と格助引用いへハ四已然ども接助逆接確定朝日あさひに格助原因枯れラ下二連用ぬ完了終止。

現代語訳あるときは露が先に落ちて、花はあとに残る。けれども、残ったところで朝日を受けて枯れてしまう。

解説

主人が先に死んで住まいが残っても、その住まいもやがて滅びてしまう、ということ。

「ぬ」の識別:「枯れぬ」の「ぬ」は、連用形に付いた完了「ぬ」の終止形。「尽きせぬ」の「ぬ」は、未然形に付いた打消「ず」の連体形。

原文
あるいは花しぼみマ四連用て接助単純接続露つゆなほ副消えヤ下二未然ず打消終止。消えヤ下二未然ず打消終止と格助引用いへハ四已然ども接助逆接確定夕ゆふべを格助対象待つタ四連体ことなしク終止。

現代語訳あるときは花がしぼんで露がまだ消えずにいる。消えずにいるといっても、夕方まで残ることはない。

なほ
やはり。まだ
解説

住まいが先に滅びて主人が残っても、その人も長くは生きられない、ということ。「露」が「夕べを待つことなし」と、露を人のように言っている。

テスト予想問題

A 読み・語句

  1. 次の語の読みを現代仮名遣いで答えよ。
    ①例
    ②栖
    ③棟
    ④甍
    ⑤世々
    ⑥去年
    ⑦古
    ⑧朝

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    ①ためし
    ②すみか
    ③むね
    ④いらか
    ⑤よよ
    ⑥こぞ
    ⑦いにしえ
    ⑧あした

  2. 本文で使われている意味を答えよ。
    ①うたかた
    ②かつ〜かつ…
    ③たましき
    ④いやし
    ⑤ならひ
    ⑥無常
    ⑦異なり

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    ①水面に浮かぶ泡
    ②一方では〜し、一方では…する
    ③玉を敷きつめたように美しいこと
    ④身分が低い
    ⑤世の常・ならわし
    ⑥すべてのものが移り変わって、とどまることがないこと
    ⑦違っている

B 文法

  1. 次の助動詞の意味と活用形を答えよ。
    ①甍を争へる
    ②尽きせぬもの
    ③昔ありし家
    ④今年作れり
    ⑤目を喜ばしむる
    ⑥朝日に枯れぬ

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    ①存続・連体形
    ②打消・連体形
    ③過去・連体形
    ④完了・終止形
    ⑤使役・連体形
    ⑥完了・終止形

  2. 次の係助詞の結びの語を抜き出せ。結びがないものは、その理由を説明せよ。
    ①水の泡にぞ
    ②いづ方へか
    ③誰がためにか
    ④何によりてか

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    ①ける
    ②去る
    ③結びにあたる「悩まし」が連用形で、文が下に続いているため、結びが流れている(結びの消滅)。
    ④しむる

C 現代語訳・内容

  1. 「世の中にある人と栖と、またかくのごとし」について、①現代語訳せよ。②「かくのごとし」とはどういうことか、説明せよ。③「人」「栖」は、それぞれ前の文の何にたとえられているか。

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    ①この世に生きる人とその住まいも、またこれと同じである。②人や住まいも、川の流れや淀みの泡のように、変わらないように見えて常に移り変わり、長くとどまることがないということ。③人=淀みに浮かぶうたかた、栖=ゆく河の流れ

  2. ①「棟を並べ甍を争へる」とは、どのような様子か。②「これをまことかと尋ぬれば」の「これ」の指す内容を答えよ。

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    ①家々が高さや立派さを競い合うように立ち並んでいる様子。②都の身分の高い人や低い人の住まいは、何代たってもなくならないものだということ。

  3. 「住む人もこれに同じ」の「これ」は何を指すか。また、「朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける」とは、何が、どのような点で水の泡に似ているというのか。

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    「これ」=住まい(が焼けたり小さくなったりして移り変わること)。人の世のありさまが、だれかが死ぬ一方でだれかが生まれる点で、一方では消え一方ではできる水の泡に似ている。

  4. 「知らず、生まれ死ぬる人、いづ方より来たりて、いづ方へか去る」について、①用いられている修辞法を二つ答えよ。②現代語訳せよ。

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    ①倒置法・対句
    ②わからないことだ、生まれたり死んだりする人が、いったいどこから来て、どこへ去っていくのかは。

  5. 「その主と栖と、無常を争ふさま、いはば朝顔の露に異ならず」について、①「無常を争ふ」とはどういうことか。②「露」と「花(朝顔)」は何のたとえか。本文から一字ずつ抜き出せ。

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    ①主人と住まいが、どちらが先に滅びるかを争うように、はかなく消えていくこと。②露=主、花=栖

  6. ①この文章に述べられている思想を漢字三字で答えよ。②『方丈記』の作者名と、成立した時代を答えよ。③『方丈記』とともに三大随筆と呼ばれる作品を二つ、作者名とともに答えよ。

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    ①無常観
    ②鴨長明、鎌倉時代(初期)
    ③清少納言『枕草子』、兼好法師『徒然草』