『枕草子』宮に初めて参りたるころ② 現代語訳・品詞分解・敬語・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. 明け方、下がろうとする作者
  4. 格子を上げさせない中宮
  5. 外は雪
  6. 昼のお召し
  7. テスト予想問題

『枕草子(まくらのそうし)』「宮に初めて参りたるころ」②の現代語訳・品詞分解・敬語・解説です。

夜だけ出仕していた清少納言は、明け方になると早く自分の部屋に下がろうとします。中宮定子はそんな作者を「葛城の神」にたとえて引き止め、格子を上げようとする女房を止めて気づかいます。翌日の昼には、中宮から何度もお召しがあり、同じ部屋の先輩女房にせきたてられて参上します。中宮の心づかいと、作者の緊張がよく問われます。

前の場面:『枕草子』宮に初めて参りたるころ①

原文の読み方

原文の一語一語に、活用や助動詞・助詞の意味を示しています。緑の下線は敬語です。下のボタンで、用言・助動詞・助詞などのラベルを別々に出したり消したりできます。ラベルを押すと古典文法一覧の説明に飛びます。

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現代語訳・品詞分解・解説

明け方、下がろうとする作者

原文
暁あかつきに格助時間は係助区別疾く副下りラ上二連用な強意未然む意志終止と格助引用急がガ四未然るる自発連体。

現代語訳夜明け前には、早く(自分の部屋に)下がってしまおうと、自然と気持ちがせく。

暁(あかつき)
夜明け前のまだ暗いころ。
下る
中宮の御前から自分の部屋(局)に下がる。
解説

明るくなって姿を見られる前に、早く自分の局に戻りたいと思っている。

「下りなむ」の「なむ」は、連用形「下り」に付いているので、強意の助動詞「ぬ」の未然形+意志の助動詞「む」(きっと〜しよう、〜してしまおう)。

原文
「葛城かづらきの格助体修神も係助添加しばし副。」など副助引用仰せサ下二未然尊→中宮らるる尊敬連体を接助逆接確定、

現代語訳「葛城の神も、もうしばらく(ここにいなさい)。」などとおっしゃるが、

しばし
しばらく。
解説

中宮の言葉。夜にしか出仕しない作者を葛城の神(上の解説)にたとえてからかいながら、もう少しここにいてほしいと引き止めている。

「しばし」のあとに「いなさい」などの言葉が省略されている。

原文
いかで副かは係助反語筋かひハ四連用御覧ぜサ変未然尊→中宮られ受身未然む意志連体と格助引用て接助単純接続、なほ副伏しサ四連用たれ存続已然ば接助順接確定、御格子みかうしも係助強意参らラ四未然謙→中宮ず打消終止。

現代語訳どうして斜めからでも(顔を)お見せできようか、お見せせずにすませたいと思って、やはりうつ伏していたので、御格子もお上げしない。

筋かふ
斜めになる。
御覧ぜらる
ご覧に入れる、お目にかける。
御格子参る
格子をお上げする。
解説

「いかでかは〜む」は反語。どうして斜めからでも顔をお見せできようか、いや、お見せせずにすませたい、という作者の気持ち。

作者がうつ伏したままなので、(明るくならないよう)御格子もまだ上げずにある。

格子を上げさせない中宮

原文
女官にようくわんども参りラ四連用謙→中宮て接助単純接続、「これ代名、放たタ四未然せ尊敬連用給へ補・ハ四命令尊→中宮。」など副助引用言ふハ四連体を格助対象聞きカ四連用て接助単純接続、

現代語訳女官たちがやって来て、「この御格子を、お開けくださいませ。」などと言う。それを聞いて、

女官(にようくわん)
宮中に仕える女性で、女房よりも身分の低い者。
放つ
(格子を)開ける。
解説

「これ、放たせ給へ」は女官たちの言葉。朝になったので、格子を開けるように言っている。

※「せ給へ」の敬意を、中宮に向けたものとみる説と、格子を開ける女房に向けたものとみる説がある。

原文
女房の格助主格放つタ四連体を格助対象、「まな感。」と格助引用仰せサ下二未然尊→中宮らるれ尊敬已然ば接助順接確定、笑ひハ四連用て接助単純接続帰りラ四連用ぬ完了終止。

現代語訳女房が(格子を)開けようとするのを、(中宮様が)「だめです。」とおっしゃったので、(女官たちは)笑いながら戻っていった。

まな
いけません(禁止の言葉)。
解説

「まな」は中宮の言葉。格子が上がって明るくなると、作者がいっそう恥ずかしがるだろうと気づかって止めた。

「笑ひて帰りぬ」の主語は女官たち。中宮が作者を気づかっていることを察して、ほほえましく思いながら引き下がった。

現代語訳(中宮様が)あれこれお尋ねになったり、お話しになったりするうちに、長い時間がたったので、

解説

「問はせ給ひ」「のたまはする」の主語は中宮。中宮は自分からあれこれと作者に話しかけ、心を配っている。

原文
「下りラ上二未然まほしう希望連用・音なりラ四連用に強意連用たら存続未然む推量終止。さらば接、はや副。夜さりは係助区別とく副。」と格助引用仰せサ下二未然尊→中宮らる尊敬終止。

現代語訳「(部屋に)下がりたくなっているのでしょう。それなら、早く(お下がりなさい)。夜になったら、すぐに(来るのですよ)。」と(中宮様は)おっしゃる。

夜さり
夜になるころ。
解説

中宮の言葉。「さらば、はや」のあとに「下がりなさい」、「夜さりはとく」のあとに「参上しなさい」が省略されている。退出を許しながら、夜には早く来るようにと言っている。

外は雪

原文
ゐざりラ四連用隠るるラ下二連体や係助疑問遅きク連体と格助引用上げ散らしサ四連用たる完了連体に接助単純接続、雪降りラ四連用に完了連用けり詠嘆終止。

現代語訳(私が)膝をついて奥へ下がるとすぐに、(女房たちが)格子をばたばたと上げると、雪が降っていたのだった。

ゐざる
膝をついて進む、膝行する。
〜や遅きと
〜するとすぐに。
上げ散らす
(格子を)あわただしく次々と上げる。
解説

「上げ散らしたる」は、女房たちが、それまで止められていた中宮の部屋の格子を、作者が下がるやいなや、あわただしく上げたこと。

「けり」は、格子が上がって初めて雪に気づいた詠嘆。

原文
登花殿とうくわでんの格助体修御前おまへは係助区別立蔀たてじとみ近くク連用て接助単純接続せばしク終止。雪、いと副をかしシク終止。

現代語訳登花殿の前の庭は、立蔀がすぐそばにあって狭い。雪がとても趣深い。

登花殿(とうくわでん)
後宮の建物の一つ。
御前(おまへ)
ここでは建物の前の庭。
立蔀(たてじとみ)
格子の裏に板を張った衝立。目隠しや仕切りに使う。

昼のお召し

原文
昼つかた、「今日は係助区別なほ副参れラ四命令謙→中宮。雪に格助原因曇りラ四連用て接助単純接続あらはにナリ連用も係助強意ある補・ラ変連体まじ打消推量終止。」など副助引用たびたび副召せサ四已然尊→中宮ば接助順接確定、

現代語訳昼ごろ、「今日は(昼だが)やはり参上しなさい。雪で空が曇っていて、姿がまる見えになることもないでしょう。」などと、(中宮様が)何度もお呼びになるので、

召す
お呼びになる(尊敬語)。
解説

「今日はなほ…あるまじ」は中宮の言葉。明け方の「夜さりはとく」をふまえ、今日は昼だがやはり参上しなさい、と言っている。

「雪に曇りてあらはにもあるまじ」は、雪で空が暗いから姿がまる見えにはならないだろう、と作者を安心させる言葉。

※「参れ」は作者の動作だが、中宮が自分への敬意を表す謙譲語を使っている(自敬表現)。

原文
こ代名の格助体修局つぼねの格助体修主あるじも係助同趣、「見苦しシク終止。さ副のみ副助限定やは係助反語籠もりラ四連用たら存続未然む意志終止と格助引用するサ変連体。

現代語訳この部屋の主(である先輩の女房)も、「みっともない。そんなに(部屋に)こもってばかりいようとしてよいものか。

局(つぼね)
宮中で女房に与えられた部屋。
主(あるじ)
ここでは、作者が同じ部屋に住まわせてもらっている先輩の女房。
見苦し
みっともない。
解説

「さのみやは籠もりたらむとする」は反語。そんなに部屋にこもってばかりいようとしてよいものか、いや、よくない、という意。お召しを受けながら出仕をためらうのはみっともない、と局の主は思っている。

原文
あへなきク連体まで副助程度御前おまへ許さサ四未然れ受身連用たる完了連体は係助区別、さ副思し召すサ四連体尊→中宮やうこそ係助強意あらラ変未然め推量已然。思ふハ四連体に格助対象たがふハ四連体は係助区別憎きク連体ものぞ係助強意。」と格助引用、

現代語訳こんなにあっけなく御前への出仕をお許しいただけたのは、(中宮様の側に)そのようにお考えになる理由があるからでしょう。人の好意にそむくのは感心しないことですよ。」と言って、

あへなし
あっけない。
思し召す
お思いになる(尊敬語)。
解説

「あへなきまで御前許されたる」は、新参なのに、あっけないほど早く中宮の御前に出ることを許されたこと。作者が中宮に特別に目をかけられていることがわかる。

「さ思し召すやう」は、中宮が作者をそのように大切にお思いになるわけ。

「思ふにたがふ」は、中宮の好意にそむくこと。ここでは、お召しがあるのに局にこもって参上をしぶること。

原文
ただ副急がしサ四連用に格助状態出だしたつれタ下二已然ば接助順接確定、あれにもあらぬ心地すれサ変已然ど接助逆接確定、参るラ四連体謙→中宮ぞ係助強意いと副苦しきシク連体。

現代語訳ひたすらせきたてて送り出すので、我を忘れたような心地のまま参上するのは、とてもつらい。

急がしに
せきたてて。
出だしたつ
送り出す。
あれにもあらず
我を忘れたようだ、無我夢中だ。
解説

「出だしたつれ」の主語は局の主。作者をせきたてて、中宮のもとへ送り出した。

「参るぞいと苦しき」は、中宮の好意はありがたいが、まだ慣れない作者にとって、人前に出るのはつらいという気持ち。

『枕草子』のほかの章段:雪のいと高う降りたるを / 九月ばかり

テスト予想問題

A 読み・語句

  1. 次の語の読みを現代仮名遣いで答えよ。
    ①暁
    ②女官
    ③立蔀
    ④局

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    ①あかつき
    ②にょうかん
    ③たてじとみ
    ④つぼね

  2. 次の語の本文中での意味を答えよ。
    ①まな
    ②夜さり
    ③ゐざる
    ④あへなし
    ⑤あれにもあらず

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    ①いけません(禁止)
    ②夜になるころ
    ③膝をついて進む
    ④あっけない
    ⑤我を忘れたようだ・無我夢中だ

B 敬語・文法

  1. 「暁には疾く下りなむと急がるる」から助動詞をすべて抜き出し、それぞれ文法的に説明せよ。

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    な=強意の助動詞「ぬ」の未然形 む=意志の助動詞「む」の終止形 るる=自発の助動詞「る」の連体形

  2. 「いかでかは筋かひ御覧ぜられむ」について、①「られ」「む」の意味と活用形を答えよ。②現代語訳せよ。

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    ①られ=受身・未然形 む=意志・連体形(「かは」の結び)
    ②どうして斜めからでも(顔を)お見せできようか、いや、お見せせずにすませたい。

  3. 次の傍線部の助動詞の意味を答えよ。
    ①下り【まほしう】なりにたらむ
    ②下りまほしうなり【に】たらむ
    ③あらはにもある【まじ】
    ④御前許さ【れ】たるは

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    ①希望
    ②強意
    ③打消推量
    ④受身

  4. 次の傍線部の敬語の種類と、誰への敬意かを答えよ。また、③の意味を答えよ。
    ①など【仰せ】らるるを
    ②御格子も【参ら】ず
    ③たびたび【召せ】ば

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    ①尊敬語・中宮への敬意
    ②謙譲語・中宮への敬意(意味=お上げする)
    ③尊敬語・中宮への敬意(意味=お呼びになる)

C 内容

  1. 「葛城の神もしばし」について、①誰が誰を「葛城の神」にたとえたのか。②なぜそのようにたとえたのか。③「しばし」のあとに省略されている言葉を現代語で補え。

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    ①中宮が作者(清少納言)を
    ②顔を恥じて夜しか働かなかったという葛城の神のように、作者が夜だけ出仕して、明け方には急いで下がろうとするから。
    ③(もうしばらく)いなさい

  2. 「まな」は誰の言葉か。また、なぜそう言ったのか。

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    中宮の言葉。格子が上がって明るくなると、作者がいっそう恥ずかしがるだろうと気づかったから。

  3. 「さらば、はや。夜さりはとく」を、省略されている言葉を補って現代語訳せよ。

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    それなら、早く(局に下がりなさい)。夜になったら早く(参上しなさい)。

  4. 「上げ散らしたるに」とあるが、誰が、何を、どうしたのか。

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    女房たちが、中宮の部屋の格子を、作者が下がるとすぐに、あわただしく次々と上げた。

  5. 「あへなきまで御前許されたる」から、作者についてどのようなことがわかるか。また、局の主が「見苦し」と言ったのは、作者のどのような態度か。

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    作者が新参ながら、中宮に特別に目をかけられていること。局の主は、たびたびお召しがあるのに、作者が局にこもって参上をしぶる態度をみっともないと思った。