『助長(じょちょう)』の書き下し文・現代語訳・故事成語の意味を解説します。出典は、儒家の思想書『孟子』(公孫丑上)です。
書き下し文・現代語訳・解説
苗を引っ張る
白文宋人有閔其苗之不長而揠之者。
書き下し宋の人に、其の苗の長ぜざるを閔へて之を揠く者有り。
現代語訳宋の国の人に、自分の苗が伸びないのを心配して、苗を引き抜く(引っ張り上げる)者がいた。
- 宋
- 春秋・戦国時代の国の名。
- 閔
- 「うれフ」。心配する。
- 長
- 「ちゃうズ」。成長する。
- 揠
- 「ぬク」。引き抜く。引っ張り上げる。
- 之
- 苗を指す。
- 有~者
- 「~者有り」。~する者がいた。
疲れて帰る
白文芒芒然帰、謂其人曰、
書き下し芒芒然として帰り、其の人に謂ひて曰はく、
現代語訳疲れてぼんやりした様子で帰り、その家の者に言うことには、
- 芒芒然
- 疲れてぼんやりしているさま。「茫茫然」とも書く。
- 謂
- 「いフ」。話しかける。
- 其人
- その家の者。家族。
白文「今日病矣。
書き下し「今日病れたり。
現代語訳「今日は疲れたよ。
- 病
- 「つかル」。疲れる。
- 矣
- 置き字。ここは断定・完了の気持ちを表す。
白文予助苗長矣。」
書き下し予、苗を助けて長ぜしむ。」と。
現代語訳私は苗を助けて、成長させてやったのだ。」と。
- 予
- 私。
- 助苗
- 苗を助ける。
- 長ぜしむ
- 成長させる。「しむ」は使役の助動詞で「~させる」の意味。
苗は枯れていた
白文其子趨而往視之、苗則槁矣。
書き下し其の子趨りて往きて之を視れば、苗は則ち槁れたり。
現代語訳その子が走って行って苗を見ると、苗はすっかり枯れていた。
- 趨
- 「はしル」。走る。小走りに行く。
- 往
- 行く。
- 視
- 見る。
- 則
- 「すなはチ」。そこで、(見ると)なんと。
- 槁
- 「かル」。枯れる。
世の中への嘆き
白文天下之不助苗長者、寡矣。
書き下し天下の苗を助けて長ぜしめざる者、寡なし。
現代語訳世の中に、苗を助けて成長させようとしない(よけいなことをしない)者は少ない。
- 天下
- 世の中。
- 不助苗長者
- 「苗を助けて長ぜしめざる者」。苗を助けて伸ばそうとしない者。
- 寡
- 「すくなシ」。少ない。
テストで問われるポイント
- 出典=『孟子』。儒家の思想書。
- 「閔」=うれふ(心配する)。「揠」=ぬく。「芒芒然」=ぼうぼうぜんとして(疲れてぼんやりして)。
- 「謂」=いふ(話しかける)。「病」=つかる(疲れる)。「趨」=はしる。「則」=すなはち。
- 「矣」=置き字。
- 「予助苗長矣」=予、苗を助けて長ぜしむ。「しむ」は使役。
- 「天下之不助苗長者、寡矣」=よけいなことをしない人は少ない。
- 「助長」=よけいな手出しをして、かえって害を与えること。
テスト予想問題
A 語句
次の語の読み(送り仮名を含め、現代仮名遣いのひらがな)を答えよ。
①芒芒然
②謂
③病
④趨
⑤則槁解答を見る
①ぼうぼうぜんとして
②いいて
③つかれたり
④はしりて
⑤すなわちかれたり「病」と「閔」は、ここではそれぞれどのような意味か。
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病=疲れる 閔=心配する
B 書き下し文・現代語訳
「予助苗長矣」を書き下し文にし、現代語訳せよ。また、書き下し文の「しむ」はどのような意味を表すか。
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書き下し文:予、苗を助けて長ぜしむ。
現代語訳:私は苗を助けて、成長させてやった。
「しむ」=使役(~させる)「天下之不助苗長者、寡矣」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
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書き下し文:天下の苗を助けて長ぜしめざる者、寡なし。
現代語訳:世の中に、苗を助けて成長させようとしない(よけいなことをしない)者は少ない。
C 内容の読み取り
宋の人が苗を引き抜いた(引っ張り上げた)のはなぜか。
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苗がなかなか伸びないのを心配したから。
「其子趨而往視之」とあるが、その結果、苗はどうなっていたか。
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枯れていた。
「天下之不助苗長者、寡矣」は、どのようなことを述べているか。
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世の中には、よかれと思ってよけいな手出しをし、かえって害を与えてしまう人が多いということ。
故事成語「助長」は、本来どのような意味か。
解答を見る
よけいな手出しをして、かえって害を与えること。