『狐借虎威(虎の威を借る狐)』書き下し文・現代語訳・意味・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 書き下し文・現代語訳・解説
  2. 虎が狐をつかまえる
  3. 狐の言い分
  4. 狐の提案
  5. その結果
  6. テストで問われるポイント
  7. テスト予想問題

『狐借虎威(こしゃくいこ)』(虎の威を借る狐)の書き下し文・現代語訳・句法・故事成語の意味を解説します。出典は、戦国時代の遊説家の策略を集めた『戦国策』(楚策)です。

書き下し文・現代語訳・解説

虎が狐をつかまえる

本文(訓読文)

白文虎求百獣而食之、得狐。

書き下し虎、百獣(ひゃくじゅう)を求めて之を食らひ、狐を得たり。

現代語訳虎は獣たちを探し求めて食べていたが、(あるとき)狐をつかまえた。

百獣
すべての獣。
求
探し求める。
而
置き字。「~て」と読む順接を表す。
之
百獣を指す。
得
つかまえる。

狐の言い分

本文(訓読文)

白文狐曰、「子無敢食我也。

書き下し狐曰(い)はく、「子(し)、敢へて我を食らふこと無かれ。

現代語訳狐は言った。「あなたは決して、私を食べようとしてはいけません。

子
あなた。相手に対する敬意をこめた呼び方。
敢
「あヘテ」。決して、進んで。
無~
「~(する)こと無かれ」。禁止。
也
ここでは置き字。

白文天帝使我長百獣。

書き下し天帝、我をして百獣に長たらしむ。

現代語訳天の神は、私を百獣の王にさせているのです。

天帝
天の神。
使A~
「Aをして~しむ」。使役。
長
ここは「長たり」。長(かしら)となる。

白文今子食我、是逆天帝命也。

書き下し今子(し)我を食らはば、是(こ)れ天帝(てんてい)の命に逆らふなり。

現代語訳今あなたが私を食べるなら、それは天の神の命令に逆らうことになります。

食らはば
「食らふ」の未然形+「ば」。仮定(もし~ならば)を表す。
是
これ。狐を食べること。
命
命令。
也
断定を表す。

狐の提案

本文(訓読文)

白文子以我為不信、吾為子先行。

書き下し子、我を以つて信(しん)ならずと為さば、吾、子の為に先づ行かん。

現代語訳あなたが、私の言うことをうそ(信じられない)だと思うなら、私があなたのために先に歩いて行きましょう。

以A為B
「Aを以つてBと為す」。AをBと思う。
不信
うそである。信じられない。
為
ここは「ために」と読み、「~のために」の意味。
先
「まヅ」。先に。

白文子随我後観。

書き下し子、我が後に随ひて観よ。

現代語訳あなたは私の後ろについてきて、ご覧なさい。

随
したがう。ついていく。
観
見る。

白文百獣之見我、而敢不走乎。」

書き下し百獣の我を見て、敢へて走げざらんや。」と。

現代語訳獣たちは私を見て、どうして逃げないことがありましょうか、いや、きっと逃げます。」と。

之
「の」。主語を示す。
走
ここは「にグ」と読み、逃げる。「はしル」と読む教科書もある。
敢不~乎
「敢へて~ざらんや」。反語。

その結果

本文(訓読文)

白文虎以為然。

書き下し虎、以つて然(しか)りと為す。

現代語訳虎は、狐の言うとおりだと思った。

然
その通り。狐の「子以我為不信~観」という提案を指す。
以為然
「以つて然りと為す」。そうだと思う。

白文故遂与之行。

書き下し故に遂に之と行く。

現代語訳そこでそのまま、狐と連れ立って歩いて行った。

故
「ゆゑニ」。そこで、だから。
遂
「つひニ」。そのまま。とうとう。
与之行
「之と行く」。「之」は狐を指す。「与」は「と」と読み、一緒に。

白文獣見之皆走。

書き下し獣、之を見て皆走ぐ。

現代語訳獣たちは、これを見てみな逃げた。

之
虎を指す。(見たのは虎と狐の二つだが、獣たちが逃げた原因は虎)
皆
みな。

白文虎不知獣畏己而走也。

書き下し虎、獣の己を畏れて走ぐるを知らざるなり。

現代語訳虎は、獣たちが自分をおそれて逃げたのだとは気づかなかった。

畏
おそれる。
己
虎自身を指す。
不知~
「~を知らず」。気づかない。

白文以為畏狐也。

書き下し以つて狐を畏ると為すなり。

現代語訳(虎は)狐をおそれているのだと思ったのである。

以為~
「以つて~と為す」。~と思う。
畏狐
狐をおそれる。

テストで問われるポイント

  • 出典=『戦国策』(楚策)。江乙が楚の宣王に語ったたとえ話。
  • 「子」=あなた。「敢」=あへて(決して)。「無敢食我」=決して私を食べてはいけない。
  • 「天帝使我長百獣」=天の神が私を百獣の王にした(使役)。
  • 「天帝命」=天帝が狐を百獣の王に任命したこと。
  • 「以我為不信」=私をうそだと思うなら。
  • 「敢不走乎」=どうして逃げないことがあろうか、いや、逃げる(反語)。
  • 「然」=狐が示した、後ろについて来て見よという提案。
  • 「獣見之」の「之」=虎。獣が逃げたのは、虎をおそれたから。
  • 虎=宣王、狐=昭奚恤、百獣=北方の国々。
  • 「虎の威を借る狐」=弱い者が強い者の威光をかさに着ていばること。

テスト予想問題

A 語句

  1. 次の語の本文での意味を答えよ。
    ①子
    ②走
    ③遂

    解答を見る

    ①あなた
    ②逃げる
    ③そのまま(とうとう)

  2. 「獣見之皆走」の「之」は何を指すか。

    解答を見る

    虎

B 書き下し文・現代語訳

  1. 「子無敢食我也」を書き下し文にし、現代語訳せよ。

    解答を見る

    書き下し文:子、敢へて我を食らふこと無かれ。
    現代語訳:あなたは、決して私を食べてはいけない。

  2. 「天帝使我長百獣」を書き下し文にし、現代語訳せよ。

    解答を見る

    書き下し文:天帝、我をして百獣に長たらしむ。
    現代語訳:天の神は、私を百獣の王にさせている。

  3. 「百獣之見我、而敢不走乎」を書き下し文にし、現代語訳せよ。

    解答を見る

    書き下し文:百獣の我を見て、敢へて走げざらんや。
    現代語訳:獣たちは私を見て、どうして逃げないことがあろうか、いや、きっと逃げる。

C 内容の読み取り

  1. 「是逆天帝命也」とあるが、「天帝命」とはどのようなことか。

    解答を見る

    天帝が狐を百獣の王に任命したこと。

  2. 虎が「以為然」とした「然」は、何の内容を指すか。

    解答を見る

    狐の「私の後について来て見なさい。獣たちは私を見ればきっと逃げる」という提案。

  3. 獣たちが逃げたのは、本当は何をおそれたからか。また、虎はそれをどう思い込んだか。

    解答を見る

    本当は虎をおそれたから。虎は、狐をおそれているのだと思い込んだ。

  4. 本文の「虎」「狐」「百獣」は、それぞれ何をたとえたものか。

    解答を見る

    虎=楚の宣王 狐=昭奚恤 百獣=北方の国々

  5. 故事成語「虎の威を借る狐」の意味を説明せよ。

    解答を見る

    弱い者が、強い者の権力や威光をかさに着ていばること。