『塞翁馬(塞翁が馬)』書き下し文・現代語訳・意味・解説|人間万事塞翁が馬・テスト予想問題付き

目次
  1. 書き下し文・現代語訳・解説
  2. 馬が逃げる
  3. 馬が戻る
  4. 息子が骨を折る
  5. 戦争が起こる
  6. まとめ
  7. テストで問われるポイント
  8. テスト予想問題

『塞翁馬(さいおうがうま)』(塞翁が馬)の書き下し文・現代語訳・句法・故事成語の意味を解説します。出典は、前漢の淮南王劉安らの編んだ『淮南子(えなんじ)』(人間訓)です。

書き下し文・現代語訳・解説

馬が逃げる

本文(訓読文)

白文近塞上之人、有善術者。

書き下し塞上(さいじやう)に近きの人に、術を善くする者有り。

現代語訳国境のとりでの近くに、占いなどの術にすぐれた人が住んでいた。

塞上
国境のとりでのあたり。
近
近い。「塞上に近き人」で、とりでの近くに住む人。
術
占いなどの術。
善
「よクス」。上手にする。得意とする。

白文馬無故亡而入胡。

書き下し馬故(ゆゑ)無くして亡げて胡に入る。

現代語訳(その人の)馬が、理由もなく逃げて、胡の地に入ってしまった。

故
「ゆゑ」。理由。
亡
「にグ」。逃げる。
胡
北方・西方の異民族の地。
而
置き字。「~て」と読む順接。

白文人皆弔之。

書き下し人皆之を弔(てう)す。

現代語訳人々は皆これを気の毒に思い、慰めた。

弔
なぐさめる。不幸にあった人を悲しんで見舞う。
之
馬が逃げたことを指す。

白文其父曰、「此何遽不為福乎。」

書き下し其の父曰はく、「此れ何遽ぞ福と為らざらんや。」と。

現代語訳その老人が言うことには、「これがどうして福とならないことがあろうか、いや、きっと福となるだろう。」と。

其父
その老人。占いの術を得意とする者。
此
馬が逃げたこと。
何遽ゾ~乎
「何ぞ~んや」。どうして~だろうか、いや~ない。
為
ここは「なル」。

馬が戻る

本文(訓読文)

白文居数月、其馬将胡駿馬而帰。

書き下し居ること数月、其の馬胡(こ)の駿馬(しゆんめ)を将(ひき)ゐて帰る。

現代語訳数か月たって、その馬が胡の駿馬(足の速いすぐれた馬)を連れて帰ってきた。

居数月
「居ること数月」。数か月が過ぎて。
将
「ひきゐル」。連れる。ここは再読文字ではない。
駿馬
足の速い優れた馬。

白文人皆賀之。

書き下し人皆之を賀す。

現代語訳人々は皆これを祝った。

賀
祝う。「弔」の反対の意味。

白文其父曰、「此何遽不能為禍乎。」

書き下し其の父曰はく、「此れ何遽ぞ禍と為る能はざらんや。」と。

現代語訳その老人が言うことには、「これがどうして禍とならないことがあろうか、いや、禍となるだろう。」と。

能
「よク」。ここは「~できる」の意味。「為る能はず」で、「なることができない」。
不能為禍
禍となることができない。
何遽不能為禍乎
禍にならないはずがない、きっと禍になる、という強い言い方。

息子が骨を折る

本文(訓読文)

白文家富良馬。

書き下し家良馬(りやうば)に富む。

現代語訳家は、良い馬が多くなった。

富
「とム」。豊かである。たくさん持つ。
良馬
すぐれた馬。

白文其子好騎、堕而折其髀。

書き下し其の子騎を好み、堕ちて其の髀(もも)を折る。

現代語訳その子は馬に乗ることを好み、(馬から)落ちて、足の骨を折ってしまった。

騎
馬に乗ること。
堕
「おツ」。落ちる。
髀
もも。大腿部。

白文人皆弔之。

書き下し人皆之を弔す。

現代語訳人々は皆これを気の毒に思い、慰めた。

白文其父曰、「此何遽不為福乎。」

書き下し其の父曰はく、「此れ何遽ぞ福と為らざらんや。」と。

現代語訳その老人が言うことには、「これがどうして福とならないことがあろうか、いや、きっと福となるだろう。」と。

戦争が起こる

本文(訓読文)

白文居一年、胡人大入塞。

書き下し居ること一年、胡人大いに塞に入る。

現代語訳一年が過ぎ、胡の人々が大軍で国境のとりでに攻め入ってきた。

胡人
胡の人。異民族。
大
「おほイニ」。大規模に。

白文丁壮者引弦而戦、近塞之人、死者十九。

書き下し丁壮(ていさう)なる者、弦を引きて戦ひ、塞に近きの人、死する者十に九なり。

現代語訳働き盛りの男たちは、弓を引いて戦い、とりでの近くの人は、死んだ者が十人のうち九人だった。

丁壮
働き盛りの若い男。
引弦
弓の弦を引く。弓を取って戦う。
十九
十のうち九。
死者十九
戦死した者は十人に九人。

白文此独以跛之故、父子相保。

書き下し此れ独り跛(は)の故を以つて、父子相保てり。

現代語訳この家だけは、(息子の)足が不自由だったために、父も子も無事でいられた。

独
「ひとリ」。ただ~だけ。
跛
足が不自由なこと。
以
「もつテ」。理由を表す。「~のために」。
相
お互いに。
保
無事でいる。

まとめ

本文(訓読文)

白文故福之為禍、禍之為福、化不可極、深不可測也。

書き下し故に福の禍と為り、禍の福と為る、化極むべからず、深測るべからざるなり。

現代語訳だから、福が禍となり、禍が福となる、その変化は見きわめ尽くすことができず、その奥深さは推し量ることができないのだ。

故
「ゆゑニ」。だから。
化
変化。
不可極
「極むべからず」。極め尽くすことができない。
深
奥深さ。
不可測
「測るべからず」。測ることができない。

テストで問われるポイント

  • 出典=『淮南子』。「人間万事塞翁が馬」の由来。
  • 「故」=ゆゑ(理由)。「亡」=にぐ。「将」=ひきゐる。「弔」「賀」=反対の意味。
  • 「何遽不為福乎」「何遽不能為禍乎」=反語。
  • 「能」=(できる)。「不能為禍」=禍となることができない。
  • 「独」=ひとり(ただ~だけ)。「以」=理由。「相」=お互いに。
  • 「死者十九」=十人のうち九人が死んだ。
  • 「父子相保」=息子が足が不自由で兵役を免れたため、父子ともに無事だった。
  • 「福之為禍、禍之為福」=福と禍は入れ替わり、予測できない。

テスト予想問題

A 語句

  1. 次の語の読み(送り仮名を含め、現代仮名遣いのひらがな)と意味を答えよ。
    ①故
    ②亡
    ③将

    解答を見る

    ①ゆえ/理由
    ②にげて/逃げる
    ③ひきいて/連れる

  2. 「弔」と「賀」は、それぞれどのような意味か。

    解答を見る

    弔=気の毒に思って慰める 賀=祝う

B 書き下し文・現代語訳

  1. 「此何遽不為福乎」を書き下し文にし、現代語訳せよ。

    解答を見る

    書き下し文:此れ何遽ぞ福と為らざらんや。
    現代語訳:これがどうして福とならないことがあろうか、いや、きっと福となるだろう。

  2. 「此何遽不能為禍乎」を書き下し文にし、現代語訳せよ。

    解答を見る

    書き下し文:此れ何遽ぞ禍と為る能はざらんや。
    現代語訳:これがどうして禍とならないことがあろうか、いや、禍となるだろう。

  3. 「化不可極、深不可測也」を書き下し文にし、現代語訳せよ。

    解答を見る

    書き下し文:化極むべからず、深測るべからざるなり。
    現代語訳:その変化は見きわめ尽くすことができず、その奥深さは推し量ることができない。

C 内容の読み取り

  1. 父と子がともに無事だったのはなぜか。それぞれの理由を答えよ。

    解答を見る

    子=足が不自由だったので、兵役を免れて戦に行かなかったから。
    父=年を取っていたので、戦に出なかったから。

  2. 「家富良馬」とあるが、この家に良馬が増えたのはなぜか。

    解答を見る

    逃げた馬が、胡の駿馬を連れて帰ってきたから。

  3. 「塞翁」の身に起こったできごとから、どのようなことが言えるか。

    解答を見る

    幸いと思えたことが不幸のもとになり、不幸と思えたことが幸いのもとになるというように、人生の幸・不幸は予測できないということ。

  4. この話から生まれた故事成語を答え、その意味を説明せよ。

    解答を見る

    人間万事塞翁が馬。人生の幸・不幸は変化が激しく予測できないので、目の前の幸不幸に一喜一憂するべきではないということ。