杜牧『江南春』書き下し文・現代語訳・解説|テスト予想問題

目次
  1. 書き下し文・現代語訳・解説
  2. テストで問われるポイント
  3. テスト予想問題

杜牧(とぼく)の『江南春(こうなんのはる)』の書き下し文・現代語訳・解説です。

前半は、鶯が鳴き花が咲き、酒屋の旗が風にひるがえる明るい春の江南。後半は、かつて数多くの寺院が建てられた南朝を思い、霧雨にけむる寺々を見つめます。晴れの景色と雨の景色を対比させた、色彩豊かな詩です。

書き下し文・現代語訳・解説

江南春 杜牧(訓読文)

白文千里鶯啼緑映紅

書き下し千里(せんり)鶯(うぐひす)啼(な)いて緑(みどり)紅(くれなゐ)に映(えい)ず

現代語訳千里四方、どこでもうぐいすが鳴いて、木々の緑が花の赤に美しく照り映えている。

千里
広々と広がるあたり一面。実際の距離ではない。
緑映紅
「緑」は新緑の草木、「紅」は赤い花。「映」は、色が鮮やかに照り映える、の意。
起句は、「鶯啼」が聴覚、「緑映紅」が視覚に訴える表現。

白文水村山郭酒旗風

書き下し水村(すいそん)山郭(さんくわく)酒旗(しゆき)の風(かぜ)

現代語訳水辺の村にも山すその町にも、酒屋の旗が風にひるがえっている。

水村
川沿いの村。江南は水の豊かな地方。
山郭
山沿いの町(郭は城壁で囲まれた町)。
酒旗
酒屋が目印として店先にかかげた旗。
名詞だけで作られた句。「水村」と「山郭」が対になっている。

白文南朝四百八十寺

書き下し南朝(なんてう)四百八十寺(しひやくはつしんじ)

現代語訳昔、南朝のころには、この地に四百八十もの寺があったという。

南朝
三〜六世紀ごろ、江南に都をおいた王朝(宋・斉・梁・陳)。仏教が盛んだった。
四百八十寺
数多くの寺。正確な数ではない。「十」は「しん」と読む習慣がある。

白文多少楼台煙雨中

書き下し多少(たせう)の楼台(ろうだい)煙雨(えんう)の中(うち)

現代語訳今も、たくさんの寺の高い建物が、霧雨の中にけぶって見える。

多少
ここでは「多くの」の意味。(「どれほど」と数量をたずねる意味で使うこともある。)
楼台
高い建物。ここでは寺院の塔や建物をさす。
煙雨
けむるように降る細かい雨。霧雨。

テストで問われるポイント

  • 作者=杜牧。詩形=七言絶句。押韻=紅・風・中。
  • 「緑映紅」=木々の緑が花の赤に照り映える。
  • 「水村山郭酒旗風」=名詞だけの句。川沿いの村にも山沿いの町にも酒屋の旗が風にひるがえる。
  • 「南朝」=三〜六世紀ごろ。仏教が盛ん。
  • 主題=春ののどかさと南朝への懐古。

テスト予想問題

A 詩の形式・語句

  1. この詩の形式と、押韻している字を答えよ。

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    形式:七言絶句 押韻:紅・風・中

  2. 意味の上で対になっている語を、第一句・第二句から二組抜き出せ。

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    緑と紅、水村と山郭

  3. 「水村」「山郭」の意味を答えよ。

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    水村:川沿いの村 山郭:山沿いの町

  4. 「楼台」「煙雨」の意味を答えよ。

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    楼台:(寺院の)高い建物 煙雨:霧雨

B 書き下し文・現代語訳

  1. 第一句を書き下し文にし、現代語訳せよ。

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    書き下し文:千里鶯啼いて緑紅に映ず
    現代語訳:千里四方、どこでもうぐいすが鳴いて、木々の緑が花の赤に照り映えている。

  2. 第二句は名詞だけで作られている。言葉を補って現代語訳せよ。

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    水辺の村にも山沿いの町にも、酒屋の旗が風にひるがえっている。

C 内容の読み取り

  1. 「緑映紅」はどのような情景か。「緑」「紅」が何をさすかを明らかにして説明せよ。

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    草木の緑が、花の赤に美しく照り映えている情景。

  2. 「南朝」はいつごろか。また、そのころ盛んだった宗教は何か。

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    三〜六世紀ごろ。仏教。

  3. 前半と後半では、景色がどのように対照的に描かれているか。

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    前半は明るく色あざやかな晴天の春景色、後半は霧雨にけむるぼんやりとした景色。

  4. この詩の主題を答えよ。

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    春ののどかさと、南朝への懐古の情。