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『大鏡』花山天皇の出家③現代語訳・テスト対策

花山寺におはしまし(尊 →花山)着きて、御髪おろさ(尊敬「す」用) 給ひ(尊 →花山)てのちに

(花山天皇が)花山寺にご到着なさって、御髪をお剃りになった後に

御髪みぐし下ろす…髪を剃って出家なさる。

粟田殿は、「まかり出で(謙 粟田→花山)て、大臣にも、変はら(打消「ず」体)姿いま一度見え、かくと案内申し(謙 粟田→大臣)て、必ず参り謙譲 →花山 侍ら丁寧 →花山 (意志「む」終)。」と申し(謙 →花山)  給ひ(尊 →粟田)けれ

粟田殿は「退出いたしまして、父の大臣(兼家)にも、出家する前の変わらない姿をもう一度見せ、こうこうと事情を申し上げて、必ず(ここに帰って)参りましょう。」と申し上げなさったので、

・大臣…粟田殿(藤原道兼)の父、藤原兼家。

・変わらぬ姿…出家する前の姿。

※粟田殿は本当は自分は出家をするつもりがないので、言い訳をしてこの場から去ろうとしている。

・案内…事情。

「朕をば謀るなり(断定「なり」用  ) けり (詠嘆「けり」終)。」とてこそ泣か(尊敬「す」用) 給ひ(尊 →花山)けれ。

「私をだましたのだなあ。」とおっしゃってお泣きになった。

・粟田殿が自分をだまして退位させようとしていたことに気づいた。

あはれに悲しきことなり(断定「なり」終)な。日ごろ、よく、御弟子にて候は(謙 →花山) (意志「む」終)と契りて、すかし申し(謙 →花山)  給ひ(尊 →粟田) けむ(過去伝聞「けむ」体)が恐ろしさよ。

気の毒で悲しいことですなあ。日ごろ、(粟田殿が)よく、(花山天皇が出家なさったときには)御弟子としてお仕え申し上げようと約束して、だまし申し上げなさったとかいうことの恐ろしいことですよ。

・契る…約束する。

・すかす…だます。

東三条殿は、もしさること疑問給ふ(尊 →粟田)と危ふさに、さるべく(当然「べし」用)おとなしき人々、なにがしかがしといふいみじき源氏の武者たちをこそ、御送りに添へられ(尊敬「らる」用) たり(完了「たり」用)けれ。

東三条殿(父大臣・兼家)は、もしや粟田殿も出家なさるのではないかと危惧して、適当な思慮分別を持った人々や、だれそれという立派な源氏の武者たちを、護衛として添えられていた。

・さること…粟田殿も花山天皇と一緒に出家してしまうこと。

・さるべし…適当だ、ふさわしい。

京のほどは隠れて、堤の辺よりぞうち出で参り(謙 →花山)ける。寺などにては、もし、おして人など(疑問)なし奉る(謙 →粟田)とて、一尺ばかりの刀どもを抜きかけてまもり申し(謙→粟田)ける。

京の町中の間は隠れ、(賀茂川の)堤の辺りから姿を現してお供いたしたそうです。寺などでは、もしかして無理に誰かが粟田殿を出家させ申し上げはしないかと用心して、一尺ほどの刀を抜きかけてお守り申し上げたということです。

・おして…無理に、しいて。

・人などやなし奉る…誰かが無理に粟田殿を出家させ申し上げる。

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