杜牧(とぼく)の『山行(さんこう)』の書き下し文・現代語訳・解説です。
晩秋のさびしい山を、石の多い小道をたどって上っていくと、白い雲のわくあたりに人の家が見えます。夕暮れ、作者は車を停めて、楓(かえで)の林の紅葉に見入ります。霜にあたって色づいた葉は、春の盛りの花よりも紅い――最後の一句が名句として知られる詩です。
書き下し文・現代語訳・解説
白文遠上寒山石径斜
書き下し遠く寒山に上れば石径斜めなり
現代語訳ものさびしい晩秋の山を遠く上っていくと、石の多い小道が斜めに続いている。
- 遠
- はるかに。「上」にかかる語で、山までの道のりが遠いという意味ではない。
- 寒山
- 秋から冬にかけての、人けのないものさびしい山。
- 石径
- 石ころの多い小道。
- 斜
- 斜めに続いている。山の中腹を上っていく小道の様子。
白文白雲生処有人家
書き下し白雲生ずる処人家有り
現代語訳白い雲がわき出ている山の高いあたりに、なんと人の住む家がある。
- 白雲生処
- 白い雲がわき起こるところ。山の高い所をいう。
- 人家
- 人の住む家。こんな山奥に人家があることへの驚きがこめられている。
白文停車坐愛楓林晩
書き下し車を停めて坐ろに愛す楓林の晩
現代語訳車を停めて、なんとなく心ひかれるままに、夕暮れの楓の林をめでる。
- 停車
- 車を停めて。「車」がどのような乗り物かは説が分かれる(山かご、軽い車など)。
- 坐
- 「そぞロニ」と読む。なんとなく。気の向くままに。
- 愛
- めでる。美しさを楽しむ。
- 楓林晩
- 夕暮れの楓の林。紅葉した楓が夕日を浴びて、いっそう鮮やかに見える。
白文霜葉紅於二月花
書き下し霜葉は二月の花よりも紅なり
現代語訳霜にあたって色づいた楓の葉は、春の盛りの二月に咲く花よりも、いっそう鮮やかに紅い。
- 霜葉
- 霜にあたって赤く色づいた葉。ここでは楓の紅葉。
- 紅
- 「くれなゐナリ」。鮮やかに赤い。
- 於
- 置き字(読まない)。ここでは比較を表し、「〜よりも」と訳す。
- 二月
- 陰暦の二月。今の三月から四月ごろにあたる、春の盛り。
テスト予想問題
A 詩の形式・語句
この詩の作者と詩の形式を答えよ。また、押韻している字をすべて抜き出せ。
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作者:杜牧 詩の形式:七言絶句 押韻:斜・家・花
次の字の読みを、送り仮名も含めて現代仮名遣いで答えよ。
①坐(坐愛)
②晩(楓林晩)
③紅(紅於二月花)解答を見る
①そぞろに
②くれ
③くれないなり次の語の意味を答えよ。
①寒山
②石径
③霜葉解答を見る
①秋から冬にかけての、人けのないものさびしい山
②石の多い小道
③霜にあたって赤く色づいた葉(紅葉)この詩の季節はいつか。また、それがわかる語を詩の中から二つ抜き出せ。
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季節:晩秋 語:寒山・霜葉
B 書き下し文・現代語訳
「霜葉紅於二月花」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
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書き下し文:霜葉は二月の花よりも紅なり
現代語訳:霜にあたって色づいた葉は、春の盛りの二月に咲く花よりもいっそう紅い。「停車坐愛楓林晩」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
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書き下し文:車を停めて坐ろに愛す楓林の晩
現代語訳:車を停めて、なんとなく心ひかれるままに夕暮れの楓の林をめでる。「白雲生処有人家」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
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書き下し文:白雲生ずる処人家有り
現代語訳:白い雲がわき出ている山の高いあたりに、人の住む家がある。
C 句法・内容の読み取り
「紅於二月花」の「於」のように、書き下し文では読まない字を何というか。また、ここでの「於」はどのような意味を添えているか。
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置き字。「〜よりも」という比較の意味。
「二月花」とはどのような花か。また、作者はそれと比べることで、何を言おうとしているか。
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陰暦二月の、春の盛りに咲く花。霜で色づいた楓の葉が、春の花よりもさらに鮮やかに紅いということ。
この詩で、作者が最も心を動かされているものは何か。また、それが最もよく表れているのはどの句か。
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夕暮れの楓の紅葉の、鮮やかな美しさ。第四句(結句)。