蘇軾(そしょく)の『春夜(しゅんや)』の書き下し文・現代語訳・解説です。
「春宵一刻直千金(春の夜は、ほんのひとときが千金に値する)」という有名な一句で始まる詩です。花の香り、おぼろにかすむ月、遠くからかすかに聞こえる歌や笛の音、人のいない中庭のぶらんこ。春の夜の美しさと静けさが、短い四句の中に描かれています。
書き下し文・現代語訳・解説
白文春宵一刻直千金
書き下し春宵一刻直千金
現代語訳春の夜は、ほんのわずかな時間でも、千金に値するほどすばらしい。
- 春宵
- 春の夜。「宵」は夜のこと。
- 一刻
- ほんの短い時間。もとは水時計の時間の単位で、一昼夜を百に分けた長さ(約十五分)。
- 直
- 「あたひ」。値打ち。「値」と同じ。
- 千金
- 非常に高い値打ちのたとえ。
白文花有清香月有陰
書き下し花に清香有り月に陰有り
現代語訳花は清らかな香りをただよわせ、月は薄い雲にかすんで、おぼろに見える。
- 清香
- 清らかな香り。
- 陰
- 「かげ」。月に薄い雲がかかって、ぼんやりかすんでいる様子(おぼろ月)。
白文歌管楼台声細細
書き下し歌管楼台声細細
現代語訳高殿の宴の歌声や笛の音も、今ではかすかに聞こえてくるだけである。
- 歌管
- 歌声と、笛などの管楽器の音。
- 楼台
- 高い建物。高殿。宴会の場として詩によく出てくる。
- 細細
- 音が細く、かすかに聞こえる様子。「声寂寂」(ひっそりと静まりかえる)とする本もある。
白文鞦韆院落夜沈沈
書き下し鞦韆院落夜沈沈
現代語訳ぶらんこのある中庭はひっそりとして、夜は静かにふけていく。
- 鞦韆
- ぶらんこ。春の寒食・清明のころに行われた、女性の遊び。
- 院落
- 中庭。建物に囲まれた庭。
- 沈沈
- 夜が静かにふけていく様子。
テスト予想問題
A 詩の形式・語句
この詩の作者と、作者が活躍した時代、詩の形式を答えよ。また、押韻している字をすべて抜き出せ。
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作者:蘇軾 時代:北宋 詩の形式:七言絶句 押韻:金・陰・沈
次の語の読みを、現代仮名遣いのひらがなで答えよ。
①春宵
②直
③陰
④鞦韆解答を見る
①しゅんしょう
②あたい
③かげ
④しゅうせん次の語の意味を答えよ。
①一刻
②歌管
③楼台
④院落解答を見る
①ほんのわずかな時間
②歌声と笛(管楽器)の音
③高い建物(高殿)
④中庭対句になっているのは、どの句とどの句か。
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第三句(転句)と第四句(結句)
B 書き下し文・現代語訳
「花有清香月有陰」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
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書き下し文:花に清香有り月に陰有り
現代語訳:花は清らかな香りをただよわせ、月は薄い雲にかすんで、おぼろに見える。「春宵一刻直千金」の読みを現代仮名遣いのひらがなで書き、現代語訳せよ。
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読み:しゅんしょういっこくあたいせんきん
現代語訳:春の夜は、ほんのわずかな時間でも、千金に値するほどすばらしい。
C 内容の読み取り
作者が春の夜を「直千金」と言うのはなぜか。第二句の内容をもとに説明せよ。
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花が清らかな香りをただよわせ、月がおぼろにかすんでいて、春の夜の趣がすばらしいから。
「声細細」とは、どのような様子か。
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高殿の宴の歌声や笛の音が、細く、かすかに聞こえてくる様子。
第三句・第四句には、春の夜のどのような雰囲気が描かれているか。
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にぎやかだった宴や遊びが終わり、夜が静かにふけていく、ひっそりとした雰囲気。
第一句から生まれた成語を四字で答え、その意味を説明せよ。
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一刻千金。楽しい時やすばらしい時は、ほんのわずかな時間でも、非常に大きな値打ちがあるということ。