李白(りはく)の『送友人(友人を送る)』の書き下し文・現代語訳・解説です。
青い山と白く光る川に囲まれた町はずれで、作者の李白は、遠くへ旅立つ友人を見送ります。風に転がる一本の蓬(よもぎ)、空に浮かぶ雲、沈んでいく夕日、そして別れていく馬のいななき。目に映るものや耳に聞こえるものに、別れの気持ちを重ねた詩です。
同じ李白の送別の詩に、『黄鶴楼送孟浩然之広陵』があります。
書き下し文・現代語訳・解説
白文送友人
書き下し友人を送る
現代語訳旅立つ友人を見送る。
白文青山横北郭
書き下し青山北郭に横たはり
現代語訳青々とした山が、町の北のほうに横たわり、
- 青山
- 青々とした山々。
- 北郭
- 町の北側。「郭」は、もとは町を囲む城壁のことで、そこから町そのものも表す。
- 横
- 横に長く連なっている。
白文白水遶東城
書き下し白水東城を遶る
現代語訳白く光る川が、町の東側をめぐって流れている。
- 白水
- 日の光を受けて白く輝いている川。
- 東城
- 町の東側。「城」も「郭」と同じく町のこと。
- 遶
- 「めぐル」。まわりを取り巻くように流れる。
白文此地一為別
書き下し此の地一たび別れを為し
現代語訳この地で、いったん別れてしまったら、
- 此地
- この場所。作者と友人が別れる、この町はずれ。
- 一
- 「ひとタビ」。いったん(〜したら)。
- 為別
- 別れる。「別れを為す」と読む。
白文孤蓬万里征
書き下し孤蓬万里に征く
現代語訳(君は)風に転がる一本の蓬のように、はるか万里のかなたへ一人で旅立っていくのだ。
- 孤蓬
- 一本だけの蓬。秋になって枯れると、根から抜けて、風に吹かれるままに転がっていく。旅立つ友人をたとえている。
- 万里
- はるかに遠いところ。
- 征
- 「ゆク」。遠くへ行く。
白文浮雲遊子意
書き下し浮雲遊子の意
現代語訳空に浮かんで流れていく雲は、旅に出る君の心のようであり、
- 浮雲
- 空に浮かび、行方も定まらずに流れていく雲。
- 遊子
- 旅人。ここでは旅立つ友人をさす。
- 意
- 心。気持ち。
白文落日故人情
書き下し落日故人の情
現代語訳沈んでいく夕日は、君を見送る古くからの友人(である私)の、別れを惜しむ心のようだ。
- 落日
- 沈んでいく夕日。
- 故人
- 古くからの友人。ここでは作者自身をさす。日本語の「亡くなった人」の意味はない。
- 情
- 気持ち。
白文揮手自茲去
書き下し手を揮ひて茲より去れば
現代語訳(君が)手を振って、ここから去っていくと、
- 揮手
- 手を振る。別れのしぐさ。「揮」は「ふるフ」と読む。
- 自茲
- ここから。「自」は「より」と読み、起点を表す。「茲」は「此」と同じで、「ここ」。
- 去
- 去っていくのは、旅立つ友人。「去れば」は、次の句に「〜すると」とつながる。
白文蕭蕭班馬鳴
書き下し蕭蕭として班馬鳴く
現代語訳別れていく馬までが、もの寂しげにいなないている。
- 蕭蕭
- もの寂しい声や音のようす。ここでは、馬のいななく声。
- 班馬
- 群れから離れて別れていく馬。友人を乗せた馬。「班」は、別れるの意。
- 鳴
- いななく。
テスト予想問題
A 詩の形式・語句
この詩の作者と詩の形式を答えよ。また、押韻している字をすべて抜き出せ。
解答を見る
作者:李白 詩の形式:五言律詩 押韻:城・征・情・鳴
対句をなしている句の組み合わせを、句の番号ですべて挙げよ。
解答を見る
第一句と第二句(首聯)、第五句と第六句(頸聯)
次の漢字の、詩の中での読みを現代仮名遣いで書け(送り仮名も含む)。
①此地
②一為別
③自茲
④蕭蕭解答を見る
①このち
②ひとたびわかれをなし
③ここより
④しょうしょうとして次の語の意味を答えよ。
①北郭
②白水
③遊子
④班馬解答を見る
①町の北側
②日の光を受けて白く輝く川
③旅人
④(友人を乗せて)別れていく馬「落日故人情」の「故人」の意味を答えよ。また、ここでは誰をさしているか。
解答を見る
意味:古くからの友人 さしている人物:作者(李白)
B 書き下し文・現代語訳
「揮手自茲去」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
解答を見る
書き下し文:手を揮ひて茲より去れば
現代語訳:(君が)手を振って、ここから去っていくと、「此地一為別」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
解答を見る
書き下し文:此の地一たび別れを為し
現代語訳:この地で、いったん別れてしまったら、
C 内容の読み取り
「孤蓬」は何をたとえたものか。また、どのような点がたとえられているか。
解答を見る
旅立つ友人。根が抜けて風に転がっていく一本の蓬のように、行き先も定まらず、ただ一人で遠くへ行ってしまう点。
「浮雲」と「落日」は、それぞれ誰のどのような心を表しているか。
解答を見る
浮雲:旅に出る友人の、行方の定まらない心。
落日:見送る作者の、別れを惜しむ心。「揮手自茲去」で、ここから去っていくのは誰か。
解答を見る
旅立つ友人。
最後の句「蕭蕭班馬鳴」には、どのような効果があるか。また、この詩にこめられた作者の気持ちを答えよ。
解答を見る
別れていく馬までがもの寂しくいななく声で、別れの寂しさをいっそう強めている。作者の気持ち:友人との別れを惜しむ気持ち(惜別の情)。