王維(おうい)の『鹿柴(ろくさい)』の書き下し文・現代語訳・解説です。
人の姿の見えない、ひっそりとした山。どこからか人の話し声だけが聞こえてきます。やがて夕日の光が林の奥深くまで差し込み、苔の上を照らします。前半は耳で、後半は目でとらえた山の静けさを、わずか二十字で描いた詩です。
書き下し文・現代語訳・解説
白文空山不見人
書き下し空山人を見ず
現代語訳人けのないひっそりとした山には、人の姿は見えない。
- 空山
- 人けのない、ひっそりとした山。
- 不見人
- 人の姿が見えない。「不」は返読文字で、「ず」と読む。
- 見
- 意識して見るのではなく、自然に目に入ること。
白文但聞人語響
書き下し但だ人語の響きを聞くのみ
現代語訳ただ、どこからか人の話し声が響いてくるのが聞こえるだけである。
- 但
- 「たダ」。「〜のみ」と結んで限定を表す。
- 人語
- 人の話し声。
- 聞
- 自然に聞こえてくること。
白文返景入深林
書き下し返景深林に入り
現代語訳夕日の光が、林の奥深くまで差し込んで、
- 返景
- 夕日の光。夕日の照り返し。「景」は日の光の意。
- 深林
- 奥深い林。
白文復照青苔上
書き下し復た照らす青苔の上
現代語訳そして、緑の苔の上を照らしている。
- 復
- 「まタ」。ここでは「そして・さらに」くらいの軽い意味。
- 照
- 主語は「返景」(夕日の光)。
- 青苔
- 青々とした(緑の)苔。
テスト予想問題
A 詩の形式・語句
この詩の作者と詩の形式を答えよ。また、押韻している字をすべて抜き出せ。
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作者:王維 詩の形式:五言絶句 押韻:響・上
次の字の読みを、送り仮名も含めて現代仮名遣いで答えよ。
①但
②復
③返景
④青苔解答を見る
①ただ
②また
③へんけい
④せいたい次の語の意味を答えよ。
①空山
②返景
③深林解答を見る
①人けのない、ひっそりとした山
②夕日の光
③奥深い林作者の王維は、その詩風から何と呼ばれたか。漢字二字で答えよ。
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詩仏
B 書き下し文・現代語訳
「但聞人語響」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
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書き下し文:但だ人語の響きを聞くのみ
現代語訳:ただ、人の話し声が響いてくるのが聞こえるだけである。「返景入深林」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
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書き下し文:返景深林に入り
現代語訳:夕日の光が、林の奥深くまで差し込んで
C 内容の読み取り
結句「復照青苔上」は、何が何を照らしているのか。
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夕日の光(返景)が、青い苔を照らしている。
人の姿が見えない「空山」で、人の声だけが聞こえることは、山の様子をどのように感じさせるか。
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かえって山の静けさをいっそう際立たせる。
前半(起句・承句)と後半(転句・結句)は、それぞれどの感覚で山の様子をとらえているか。
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前半:聴覚(人の声) 後半:視覚(夕日の光と苔の色)
この詩の主題を答えよ。
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奥深い林の静けさと、その深い趣。