『徒然草(つれづれぐさ)』序段「つれづれなるままに」の現代語訳・品詞分解・解説です。
序段は「つれづれなるままに、日暮らし、硯に向かひて……」で始まる、わずか一文の短い文章です。することもなく退屈なのにまかせて、心に浮かぶとりとめもないことを書きつけていくと、不思議なほど気持ちが高ぶってくる――作者が『徒然草』をどのように書いたかを示した、作品全体の序文にあたります。「つれづれなるままに」がどこにかかるか、執筆の動機・対象・態度にあたる部分、係り結び「こそ〜けれ」、「ものぐるほし」の心境がよく問われます。
『徒然草』とは(作者・成立・内容)
原文の読み方
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現代語訳・品詞分解・解説
つれづれなるままに
- つれづれなり
- することがなく、手持ちぶさただ。所在ない。
- 日暮らし
- 一日中。「ひくらし」と読む本もある。
- 硯に向かふ
- 硯の置いてある机の前に座る。筆をとって書こうとすること。
「つれづれなるままに」は、すぐあとの「日暮らし」「硯に向かひて」ではなく、「書きつくれば」にかかる。書き始めたきっかけ(執筆の動機)を示している。
「つれづれ」は、することがなく単調な状態だが、仕事やつきあいから離れて心にゆとりのある自由な状態でもある。
現代語訳次々に心に浮かんでは消えていく、とりとめのないことを、何という順序もなく書きつけていくと、
- うつりゆく
- (心に)次々と浮かんでは消えていく。
- よしなしごと
- とりとめもないこと。つまらないこと。
- そこはかとなし
- これといった順序や目当てもない。とりとめがない。
- 書きつく
- 書きつける。
「心にうつりゆくよしなしごと」が書く対象、「そこはかとなく」が書き方(態度)にあたる。
自分の書くものを「よしなしごと」「そこはかとなく」と、価値の低いもののように言っており、謙遜の気持ちが表れている。
- あやし
- 不思議だ。妙だ。
- ものぐるほし
- 何かにとりつかれたようで、気持ちが普通でなくなる。
「ものぐるほしけれ」で一語の形容詞(已然形)。「けれ」を過去の助動詞「けり」と見誤らないようにする。
書き進めるうちに、書きたいことが次々に浮かんできて、何かにとりつかれたように気持ちが高ぶってくる心境。書きつけたものを見て我ながらおかしな気持ちになる、と解する説もある。
『徒然草』のほかの段:ある人、弓射ることを習ふに / 九月二十日のころ / 花は盛りに / 世に語り伝ふること / 丹波に出雲といふ所あり / 今日はそのことをなさんと思へど
テスト予想問題
A 読み・語句
次の語の読みを現代仮名遣いで答えよ。
①徒然草
②日暮らし
③硯
④ものぐるほしけれ解答を見る
①つれづれぐさ
②ひぐらし(ひくらし)
③すずり
④ものぐるおしけれ本文中で使われている意味を、次の語それぞれについて答えよ。
①つれづれなり
②日暮らし
③うつりゆく
④よしなしごと
⑤そこはかとなし
⑥あやし
⑦ものぐるほし解答を見る
①することがなく手持ちぶさただ
②一日中
③次々と浮かんでは消えていく
④とりとめもないこと
⑤これといった順序や目当てもない
⑥不思議だ
⑦何かにとりつかれたように気持ちが高ぶる
B 文法
次の語の品詞名を答えよ。
①つれづれなる
②日暮らし解答を見る
①形容動詞
②副詞「あやしうこそものぐるほしけれ。」について、①係り結びになっている係助詞と、その結びの語を抜き出せ。②①の係助詞がなかったとすると、文末の語はどのような形になるか。
解答を見る
①係助詞=こそ 結び=ものぐるほしけれ(已然形)
②ものぐるほし
C 現代語訳・内容
「つれづれなるままに」は、どの語句にかかっているか。本文から抜き出せ。
解答を見る
書きつくれば
「つれづれなる」とは、作者のどのような状態を表しているか。説明せよ。
解答を見る
これといってすることがなく手持ちぶさただが、そのぶん心にゆとりがあり自由でいられる状態。
「硯に向かひて」とは、どうすることか。簡潔に答えよ。
解答を見る
机の前に座って、筆をとること。
この序段で、①執筆の動機
②書く対象
③書き方(態度)にあたる部分を、それぞれ本文から抜き出せ。解答を見る
①つれづれなるままに
②心にうつりゆくよしなしごと
③そこはかとなく自分の書くものを「よしなしごと」「そこはかとなく」と表現していることから、作者のどのような気持ちが読み取れるか。
解答を見る
自分の書くものを取るに足りないものとして控えめに言う、謙遜の気持ち。
「あやしうこそものぐるほしけれ。」について、①現代語訳せよ。②どのような心境を表しているか。説明せよ。
解答を見る
①我ながら不思議なほど、何かにとりつかれたように気持ちが高ぶってくることだ。
②書いていくうちに書きたいことが次々に浮かんできて、普通ではいられないほど気持ちが高ぶっている心境。『徒然草』について、①作者
②成立した時代
③ジャンルを答えよ。また、④『徒然草』とともに三大随筆と呼ばれる二つの作品名と、その作者を答えよ。解答を見る
①兼好法師
②鎌倉時代(末期)
③随筆
④『枕草子』(清少納言)・『方丈記』(鴨長明)