『詩経』『桃夭』書き下し文・現代語訳・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 書き下し文・現代語訳・解説
  2. 第一章 花
  3. 第二章 実
  4. 第三章 葉
  5. テスト予想問題

『詩経(しきょう)』の『桃夭(とうよう)』の書き下し文・現代語訳・解説です。

若々しい桃の木が、花を咲かせ、実をつけ、葉を茂らせる。その桃の木のように若く美しい娘が、いま嫁いでいく。嫁ぎ先でもきっとうまくやっていくだろう――と、結婚を祝って歌われた詩です。同じ形の句を三回くり返し、少しずつ言葉を変えて歌っています。

書き下し文・現代語訳・解説

第一章 花

桃夭 詩経(訓読文)

白文桃之夭夭

書き下し桃(もも)の夭夭(えうえう)たる

現代語訳桃の若木は、みずみずしく若々しい。

夭夭
若々しいさま。「夭」は、若いという意味。嫁いでいく娘の若々しさを、それとなくたとえている。
之
ここでは「の」と読む。

白文灼灼其華

書き下し灼灼(しやくしやく)たり其(そ)の華(はな)

現代語訳その花は、燃え立つように明るく咲いている。

灼灼
花が明るく盛んに咲いているさま。「灼」は、火が赤々と燃えること。
華
花。嫁いでいく娘の美しさをたとえる。

白文之子于帰

書き下し之(こ)の子(こ)于(ゆ)き帰(とつ)ぐ

現代語訳(その桃のように若く美しい)この娘が、いま嫁いでいく。

之子
この娘。嫁いでいく娘をさす。「之」は「こノ」と読む。
于帰
嫁いでいく。「于」は「ゆク」(行く)、「帰」は「とつグ」(嫁ぐ)。

白文宜其室家

書き下し其(そ)の室家(しつか)に宜(よろ)しからん

現代語訳きっと嫁ぎ先の家庭と、うまくやっていくことだろう。

宜
「よろシ」。(嫁ぎ先に)ふさわしい。うまく調和する。ここは「よろしからん」と読む形容詞で、再読文字「宜」(よろしく〜べし)の用法ではない。
室家
嫁ぎ先の家庭。
宜しからん
「ん」は推量。「きっと〜だろう」と、娘の幸せを願う気持ちがこもる。

第二章 実

本文(訓読文)

白文桃之夭夭

書き下し桃(もも)の夭夭(えうえう)たる

現代語訳桃の若木は、みずみずしく若々しい。

白文有蕡其実

書き下し蕡(ふん)たる有(あ)り其(そ)の実(み)

現代語訳その実は、ふっくらとたくさん実っている。

蕡
実が大きく、たくさんなっているさま。
実
桃の実。嫁いだ娘が子宝に恵まれることをたとえる。

白文之子于帰

書き下し之(こ)の子(こ)于(ゆ)き帰(とつ)ぐ

現代語訳この娘が、いま嫁いでいく。

白文宜其家室

書き下し其(そ)の家室(かしつ)に宜(よろ)しからん

現代語訳きっと嫁ぎ先の家庭と、うまくやっていくことだろう。

家室
「室家」と同じ意味。第二章では「実」と韻をそろえるために、「室」を後ろに置いて「家室」としている。

第三章 葉

本文(訓読文)

白文桃之夭夭

書き下し桃(もも)の夭夭(えうえう)たる

現代語訳桃の若木は、みずみずしく若々しい。

白文其葉蓁蓁

書き下し其(そ)の葉(は)蓁蓁(しんしん)たり

現代語訳その葉は、青々と盛んに茂っている。

蓁蓁
葉が盛んに茂っているさま。
葉
葉が茂ることで、嫁ぎ先の家が栄えることをたとえる。

白文之子于帰

書き下し之(こ)の子(こ)于(ゆ)き帰(とつ)ぐ

現代語訳この娘が、いま嫁いでいく。

白文宜其家人

書き下し其(そ)の家人(かじん)に宜(よろ)しからん

現代語訳きっと嫁ぎ先の家の人々と、仲よくやっていくことだろう。

家人
嫁ぎ先の家の人々。

テスト予想問題

A 詩の形式・語句

  1. この詩が収められている、中国最古の詩集の名を答えよ。また、この詩の形式を答えよ。

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    詩集:『詩経』 形式:四言古詩

  2. この詩の押韻している字を、章ごとにすべて抜き出せ。

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    第一章:華・家 第二章:実・室 第三章:蓁・人

  3. 次の語は何と読むか。送り仮名も含め、現代仮名遣いのひらがなで書け。
    ①夭夭
    ②灼灼
    ③之子
    ④于帰

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    ①ようよう
    ②しゃくしゃく
    ③このこ
    ④ゆきとつぐ

  4. 次の語の意味を答えよ。
    ①夭夭
    ②灼灼
    ③蓁蓁
    ④室家

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    ①若々しいさま
    ②花が明るく盛んに咲いているさま
    ③葉が盛んに茂っているさま
    ④嫁ぎ先の家庭

B 書き下し文・現代語訳

  1. 「之子于帰 宜其室家」を書き下し文にし、現代語訳せよ。

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    書き下し文:之の子于き帰ぐ 其の室家に宜しからん
    現代語訳:この娘が嫁いでいく。きっと嫁ぎ先の家庭と、うまくやっていくことだろう。

  2. 「有蕡其実」を書き下し文にし、現代語訳せよ。

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    書き下し文:蕡たる有り其の実
    現代語訳:その実は、ふっくらとたくさん実っている。

C 内容の読み取り

  1. 各章の第一句「桃之夭夭」は、何の、どのような様子をたとえているか。

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    嫁いでいく娘の、若々しく美しい様子。

  2. 「華」「実」「葉」は、それぞれ何をたとえているか。

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    華:嫁いでいく娘の美しさ 実:娘が子宝に恵まれること 葉:嫁ぎ先の家が栄えること

  3. 第一章の「室家」と第二章の「家室」は同じ意味だが、第二章で語順を入れかえているのはなぜか。

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    第二章の「実」と韻をそろえる(押韻する)ため。

  4. この詩は、どのようなときに歌われ、どのような願いがこめられているか。

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    嫁入り(結婚)を祝うときに歌われた。嫁いでいく娘の嫁ぎ先での幸せと、子孫や一家の繁栄への願いがこめられている。