高校の漢文で出てくる重要な句法(句形)を、グループごとにまとめました。それぞれ、返り点つきの句形(縦書き)、読み方、意味、教科書によく出る文章からの例文の順に並べています。記事の中の句法ボックスからも、ここへ飛んで確認できます。
「A・B」には語句が入ります。基本は多くの教科書の句形一覧に載っている句形です。まずはここから覚えましょう。
否定形
「〜ない」と打ち消す形。否定の字は下から返って読むので、まず否定の字を見つけ、その下のどこから返るかを確かめるのが基本です。
基本
読みAせず
意味Aしない。Aではない。
「不」は助動詞「ず」にあたり、書き下し文では平仮名「ず」にする。後ろに続く語によって「ざる」「ざれ(ば)」などと活用する。
同じ働きの字:弗
己の欲せざる所は、人に施すこと勿かれ。
自分がしてほしくないことは、他人にもしてはならない。
『論語』衛霊公
基本
読みAにあらず
意味Aではない。
名詞(体言)を打ち消すときに使う。「非」は書き下し文でも漢字のまま「非ず」と書く。
同じ働きの字:匪
子は魚に非ず、安くんぞ魚の楽しみを知らん。
あなたは魚ではない。どうして魚の楽しみがわかるだろうか(わかるはずがない)。
『荘子』秋水
基本
読みAなし
意味Aがない。
物や事がないことを表す。「無」は書き下し文でも漢字のまま「無し」と書く。「莫」も「なし」と読み、主語が人のときは「A(する)ものなし(だれもAしない)」の意味になることが多い。「毋・勿」は主に禁止(なかれ)に使う。
同じ働きの字:莫・罔
天に二日無く、民に二王無し。
空に太陽が二つないように、民に王が二人いることはない。
『孟子』万章上
基本
読みA(する)なかれ
意味Aしてはならない。(禁止)
「勿・毋」はほとんどが禁止。「無・莫」は「なし」(存在の否定)が基本で、禁止の文脈では「なかれ」と読む。どちらで読むかは、命令・戒めの文かどうかで判断する。
同じ働きの字:毋・無・莫
過てば則ち改むるに憚ること勿かれ。
あやまちを犯したら、ためらわずに改めなさい。
『論語』学而
基本
読みAすべからず
意味Aしてはならない。(禁止)/Aできない。(不可能)
禁止か不可能かは文脈で判断する。「不」も「可」も書き下し文では平仮名(べからず)。
朽木は雕るべからざるなり。
腐った木には彫刻することができない。
『論語』公冶長
基本
読みA(する)あたはず
意味Aできない。(不可能)
能力がなくてできないことを表す。「能」は漢字のまま「能はず」と書く。 機会がなくてできない「不得(えず)」と区別する。
同じ働きの字:弗能
其の人応ふる能はざるなり。
その人は答えることができなかった。
『韓非子』難一
基本
読みA(するを)えず
意味Aできない。(機会・事情がなくてできない)
「已むを得ず(不得已)」は「やめることができない=仕方がない」の意。 「不能(あたはず)」が能力がなくてできないのに対し、「不得」は機会・事情がなくてできないことを表す。
兵の関を守る有り、入るを得ず。
関所を守る兵がいて、中に入ることができない。
『史記』項羽本紀
読みあへてAせず
意味決してAしない。(進んでAしようとはしない/とてもAできない)
「敢不A乎」(あへてAせざらんや=反語)とは字の順番が逆。「不敢」は否定。
身体髪膚、之を父母に受く。敢へて毀傷せざるは、孝の始めなり。
体は髪や皮膚にいたるまで両親から受けたものだ。それを決して傷つけないことが、親孝行の始まりである。
『孝経』開宗明義章
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基本
読みAするにたらず
意味Aする価値がない。Aするには及ばない。
「足る」は「十分である」の意味。反語「安くんぞAするに足らん」も同じ意味になる。
豎子与に謀るに足らず。
小僧とは、いっしょに大事をはかる値打ちがない。
『史記』項羽本紀
読みAするをがへんぜず
意味Aすることを承知しない。Aしようとしない。
「肯」は「承知する・聞き入れる」の意で、「肯んず(がへんず)」と読む。「肯へて(あへて)Aせず」と読むこともある。目的語がなく「肯んぜず」だけで使うことも多い(例:太后不肯=太后肯んぜず)。
叔斉も亦た立つことを肯んぜずして、之を逃る。
叔斉もまた君主の位につくことを承知せず、国から逃げ去った。
『史記』伯夷列伝
読みあげてAすべからず
意味Aしきれない。(数えきれないほど多い)
「勝」は「あげて」と読み、「すべて・ことごとく」の意。
穀は勝げて食らふべからざるなり。
穀物は食べきれないほどになる。
『孟子』梁恵王上
読みあへてAするなし
意味だれも決してAしようとしない。
敢へて仰ぎ視るもの莫し。
だれも顔を上げて見ようとはしなかった。
『史記』項羽本紀
読みつひにAせず
意味最後までAしなかった。決してAしない。
終に敢へて搏たず。
最後までつかみかかろうとはしなかった。
柳宗元「黔之驢」
部分否定・全部否定
否定の字と副詞(常・必・倶・甚・復)の順番で意味が変わります。否定の字が上なら「いつも〜とは限らない」(部分否定)、副詞が上なら「いつも〜しない」(全部否定)。
基本
読みつねにはAせず
意味いつもAするとは限らない。(部分否定)
否定の字が先=部分否定。副詞に「は」を付けて「常には」と読むのが目印。 「常・必・倶・甚・復・皆・尽」などの副詞と「不」の順番で、部分否定か全部否定かが決まる。
伯楽は常には有らず。
伯楽(名馬を見抜く名人)はいつもいるとは限らない。
韓愈「雑説」
読みつねにAせず
意味いつもAしない。(全部否定)
副詞が先=全部否定。「常に」と「は」を付けずに読む。
国常に乱れず。
国はいつも乱れることがない。
『荀子』王覇
基本
読みかならずしもAせず
意味必ずしもAするとは限らない。(部分否定)
仁者は必ず勇有り、勇者は必ずしも仁有らず。
仁の徳がある人には必ず勇気があるが、勇気がある人に仁の徳があるとは限らない。
『論語』憲問
読みかならずAせず
意味必ずAしない。(全部否定)
縦ひ権新城を攻むとも、必ず抜く能はず。
たとえ孫権が新城を攻めても、決して攻め落とすことはできない。
『三国志』魏書・明帝紀
読みともにはAせず
意味両方ともにAするわけではない。(部分否定)
「倶に不A」(ともにAせず)なら「両方ともAしない」(全部否定)。
両虎共に闘はば、其の勢ひ倶には生きず。
二頭の虎が戦えば、成り行きとして両方とも生き残ることはない。
『史記』廉頗藺相如列伝
読みはなはだしくはAせず
意味それほどAしない。ひどくはAしない。(部分否定)
「甚だ不A」(はなはだAせず)なら「まったくAしない」(全部否定)。
其の馬足甚だしくは相遠からず。
それぞれの馬の脚力は、それほど大きな差はない。
『史記』孫子呉起列伝
読みはなはだAせず
意味まったくAしない。ひどくAしない。(全部否定)
寡人甚だ詑者の言を喜ばざるなり。
私は、人をあざむく者の言葉がまったく好きではない。
『戦国策』燕策
基本
読みまたAせず
意味二度とはAしない。もうAしない。
副詞「復」が「不」の下にある部分否定の形で、「(一度はしたが)二度とはAしない」の意。「復た不A」(またAせず)と語順が逆なら「今度もまたAしない」。どちらも「またAせず」と読むので、語順で区別する。
兎は復た得べからず。
うさぎは二度と手に入らなかった。
『韓非子』五蠹
二重否定
否定を二つ重ねて、結果として強い肯定になる形。「〜しないものはない=みな〜する」のように、言いかえて訳すとわかりやすくなります。
基本
読みAせざる(は)なし
意味Aしないものはない。(みなAする)
同じ働きの字:莫不
吾が矛の利なること、物に於いて陥さざる無きなり。
私の矛の鋭いことといったら、どんな物でも突き通さないものはない。
『韓非子』難一
基本
読みAにあらざる(は)なし
意味Aでないものはない。(みなAである)
普天の下、王土に非ざるは莫し。
天の下に広がる土地で、王の土地でないところはない。
『詩経』小雅「北山」
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基本
読みAとしてBせざる(は)なし
意味どんなAでもBしないものはない。(すべてのAがBする)
「Aとして」は「どんなAでも」の意味で、例外がないことを強める。
春より秋に及ぶまで、日として戦はざるは無し。
春から秋まで、戦わない日は一日もなかった。
『後漢書』段熲列伝
基本
読みAせざるにあらず
意味Aしないのではない。
是れ為さざるなり、能はざるに非ざるなり。
これはしないのであって、できないのではない。
『孟子』梁恵王上
基本
読みAせざるべからず
意味Aしなければならない。
父母の年は、知らざるべからざるなり。
父母の年齢は、知っておかなければならない。
『論語』里仁
読みあへてAせずんばあらず
意味Aしないわけにはいかない。どうしてもAする。
敢へて告げずんばあらず。
申し上げないわけにはいかない。
『論語』憲問
読みAなきにあらず
意味Aがないのではない。
子罕は宝無きに非ざるなり。
子罕は宝を持っていないのではない。
『呂氏春秋』異宝
読みいまだかつてAせずんばあらず
意味これまでAしなかったことはない。(いつもAした)
「未」は再読文字(いまだ〜ず)。二度目の「ず」と「不(ずんばあら)」で否定が二つ重なる。
過ち有れば、未だ嘗て諫めずんばあらず。
主君に過ちがあれば、これまで一度も諫めなかったことはない。
『三国志』呉書・呉主伝
疑問形
「〜か」とたずねる形。文末の助字(乎・也・哉・与・邪)か、文頭の疑問詞(何・安・誰・孰)が目印です。同じ字が反語・詠嘆にも使われるので、文末の読み方(連体形か、「ん(や)」か)で区別します。
基本
読みAや・Aか
意味Aか。
文末の助字は書き下し文では平仮名にする。体言・連体形に付けば「か」、終止形に付けば「や」と読むことが多い。
同じ働きの字:也・哉・与・邪・耶・歟
是れ魯の孔丘か。
あれは魯の国の孔丘か。
『論語』微子
基本
読みなんぞAする
意味どうしてAするのか。
文末を連体形で結べば疑問、「〜ん(や)」と結べば反語と読むことが多い。ただし最後は文脈で判断する(答えを求めているか、話し手の主張か)。
同じ働きの字:胡・奚・曷・庸
子奚ぞ政を為さざる。
あなたはどうして政治をしないのですか。
『論語』為政
基本
読みなんすれぞAする
意味どうしてAするのか。
「何為」を「なんのためにか」と読む場合もある。
何為れぞ去らざるや。
どうして(この土地を)立ち去らないのか。
『礼記』檀弓下
基本
読みなにをかAする
意味何をAするのか。
例文の「何をか執らん」は「〜ん」で結んでいるが、自分に問いかける疑問(何を専門にしようか)で、反語ではない。「ん」の有無だけでなく、すぐ後に答えが続くか(例文ではこのあと「御を執らんか、射を執らんか」と自答する)など文脈で判断する。
吾何をか執らん。
私は何を専門にしようか。
『論語』子罕
基本
読みなにをもつてかAする
意味どうしてAするのか。どのようにしてAするのか。
理由をたずねるか方法をたずねるかは文脈で判断する。
何を以てか吾が国を利せん。
どうやってわが国に利益をもたらそうか。
『孟子』梁恵王上
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基本
読みAはいかん
意味Aはどうであるか。(状態・内容を問う)
「何如・何若」は状態をたずねる。手段をたずねる「如何・奈何」(いかんせん)と区別する。 「何如N」(いかなるN)と名詞が続くと「どのようなN」の意味になる。
同じ働きの字:何若
今日の事何如。
今日の会見の様子はどうか。
『史記』項羽本紀
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基本
読みAをいかんせん
意味Aをどうしたらよいか。(手段・方法を問う。反語にもなる)
「如A何」のように間に目的語Aをはさむと「Aをいかんせん」と読む。
同じ働きの字:奈何・若何
虞や虞や若を奈何せん。
虞よ虞よ、おまえをどうしたらよいのか。
『史記』項羽本紀
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基本
読みたれかAする
意味誰がAするのか。
「孰」も「たれ」と読んで同じ意味になる。文末に「者」があれば「たれか〜ものぞ」と読む。
同じ働きの字:孰
誰か衣を加ふる者ぞ。
だれが衣を掛けてくれたのか。
『韓非子』二柄
基本
読みいづれかAする
意味どちらが(誰が)Aするのか。
人についてたずねるときは「孰か」を「たれか」と読むこともある。
弟子孰か学を好むと為す。
弟子の中で誰が学問を好むといえるか。
『論語』雍也
基本
読みいづくにかAする
意味どこにAするのか。
同じ「安」でも「いづくんぞ」(どうして)と「いづくにか」(どこに)がある。送り仮名で読み分ける。
同じ働きの字:悪・焉
沛公安くにか在る。
沛公はどこにいるのか。
『史記』項羽本紀
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読みAいくばくぞ
意味Aはどれほどか。(数量・程度を問う。反語的に「わずかだ」の意にもなる)
歓を為すこと幾何ぞ。
楽しむ時間はどれほどあろうか(わずかだ)。
李白「春夜宴従弟桃花園序」
読みすなはちAするなからんや
意味Aなのではなかろうか。(推量)
疑問の形をとって、遠回しに自分の考えを述べる。「むしろAならんか」と読むこともある。
乃ち爾是れ過つこと無からんや。
おまえが間違っているのではなかろうか。
『論語』季氏
読みAなきをえんや
意味Aなのではなかろうか。(推量)
「Aがないということがあろうか」が直訳。推量の意で訳すことが多い。
土地の之をして然らしむる無きを得んや。
土地の風土が、そうさせているのではないだろうか。
『説苑』奉使
反語形
疑問の形をとって、反対の内容を強く言う形。文末を「〜ん(や)」と読むのが目印で、訳は「〜か、いや〜ない」とします。
基本
読みAせんや
意味Aするだろうか、いやAしない。
文末の「乎・哉」などを「や」と読み、その上を未然形+「ん」で結ぶ。 「乎」の文は疑問にも反語にもなる。答えが続かず、話し手の主張になっていれば反語と判断する。
縦ひ上我を殺さずとも、我心に愧ぢざらんや。
たとえ皇帝が私を殺さなくても、私は心に恥じずにいられようか、いや恥じずにはいられない。
『史記』張耳陳余列伝
基本
読みいづくんぞAせん(や)
意味どうしてAするだろうか、いやAしない。
同じ働きの字:焉・悪・寧
燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや。
ツバメやスズメのような小さな鳥に、どうしてオオトリやクグイのような大きな鳥の志がわかろうか、いやわかりはしない。
『史記』陳渉世家
王侯将相寧くんぞ種有らんや。
王や諸侯、将軍や宰相に、どうして決まった血筋などあろうか、いやありはしない。
『史記』陳渉世家
基本
読みあにAせんや
意味どうしてAするだろうか、いやAしない。
「豈」はほぼ反語専用の字。「豈に〜ずや」と読むと詠嘆(なんと〜ではないか)になる。
豈に千里を遠しとせんや。
どうして千里の道を遠いと思うだろうか、いや思わない。
『十八史略』春秋戦国
基本
読みたれかAせん
意味誰がAするだろうか、いや誰もAしない。
同じ働きの字:孰
人誰か過ち無からん。
人はだれでも過ちがないことがあろうか、いや、だれにでも過ちはある。
『春秋左氏伝』宣公二年
基本
読みなんぞAせん(や)
意味どうしてAするだろうか、いやAしない。
同じ働きの字:胡・奚・曷
吾何ぞ一牛を愛しまん。
私はどうして牛一頭を惜しもうか、いや惜しまない。
『孟子』梁恵王上
読みなんぞAすることをなさん
意味どうしてAする必要があろうか、いやない。
白文では「何A為」の形で、文末の「為」に返って読む。
我何ぞ渡ることを為さん。
私はどうして渡ったりしようか、いや渡りはしない。
『史記』項羽本紀
この句法が出てくる記事:鴻門之会⑤書き下し文・現代語訳・解説|人為刀俎、我為魚肉『史記』項王最期(項王自刎)書き下し文・現代語訳・解説
基本
読みあへてAせざらんや
意味どうしてAしないことがあろうか、いや必ずAする。
「不敢A」(あへてAせず=決してAしない)と取り違えやすい。字の順番を確かめる。
百獣の我を見て敢へて走らざらんや。
獣たちが私を見て、どうして逃げ出さないことがあろうか、いや必ず逃げ出す。
『戦国策』楚策
読みなんのAかこれあらん
意味どんなAがあろうか、いや何のAもない。
「之」は目的語の倒置を示す字。
何の陋か之れ有らん。
どんなむさくるしさがあろうか、いやない。
『論語』子罕
読みAすべけんや
意味Aしてよいだろうか、いやよくない。(Aできようか、いやできない)
孝と謂ふべけんや。
孝と言えるだろうか、いや言えない。
『史記』伯夷列伝
読みたれかあへてAせん
意味だれが進んでAしようか、いやだれもしない。
「肯」は「進んで〜する・承知する」の意。例文の「相為言」は、夫の便りを伝えてくれる意とする解釈が一般的だが、「慰めの言葉をかける」と解する説もある。
門に入りては各自ら媚ぶ、誰か肯へて相為に言はん。
(同じ郷里から旅に出た人々は)それぞれ自分の家に帰ると家族と仲むつまじくするばかりで、だれが進んで私に(夫の)便りを伝えてくれようか、いや、だれもいない。
「飲馬長城窟行」(『楽府詩集』)
読みひとりAせんや
意味どうしてAしようか、いやAしない。
「独」が文末の「乎・哉」と組んで反語になる。限定の「独り〜のみ」と区別する。
籍独り心に愧ぢざらんや。
私はどうして心に恥じずにいられようか、いや恥じずにはいられない。
『史記』項羽本紀
読みなんぞかならずしもAせん
意味どうしてAする必要があろうか、いやない。
王何ぞ必ずしも利と曰はん。
王はどうして利益のことばかり言う必要があろうか、いやない。
『孟子』梁恵王上
読みきみみずやAを
意味あなたも見たことがあるだろう、Aを。(ご覧なさい、Aを)
形は反語(見ないのか、いや見るだろう)だが、実際には相手に呼びかけて注意を引き、話題を示す言い方。漢詩の書き出しに多い。「君不聞(きみきかずや)」も同じ。
同じ働きの字:不聞
君見ずや黄河の水天上より来たるを
君は見たことがないか、黄河の水が天上から流れ下ってくるのを。
李白「将進酒」
詠嘆形
「〜だなあ」と心を動かされた気持ちを表す形。感動詞(嗚呼)、文末の助字(哉・夫・矣)、疑問・反語の形を借りたもの(何ぞ〜や、亦た〜ずや)があります。
基本
読みああ、A
意味ああ、A(だなあ)。
「噫・嗟乎・嗚乎」なども「ああ」と読む。
同じ働きの字:噫・嗟・嗟乎・於乎・嗚乎
嗚呼、其れ真に馬無きか、其れ真に馬を知らざるなり。
ああ、本当に名馬がいないのか。いや、本当は名馬を見分けられないのだ。
韓愈「雑説」
基本
読みAなるかな
意味Aだなあ。
主語と述語を入れかえて、述語を先に言うことが多い(倒置)。
同じ働きの字:夫・矣・乎・与
賢なるかな回や。
なんとすぐれた人物だろう、顔回は。
『論語』雍也
基本
読みなんぞAなるや
意味なんとAなことか。
疑問「何ぞ〜」と同じ形。驚きや感動の文脈なら詠嘆と判断する。
是れ何ぞ楚人の多きや。
なんと楚の人の多いことよ。
『史記』項羽本紀
この句法が出てくる記事:『四面楚歌』書き下し文・現代語訳・意味・あらすじ|テスト予想問題付き『郁離子』「天下貴大同」書き下し文・現代語訳・解説|重要句法・テスト予想問題
基本
読みまたAならずや
意味なんとAではないか。
学びて時に之を習ふ、亦た説ばしからずや。
学んだことを折にふれて復習する、なんとうれしいことではないか。
『論語』学而
読みなんぞそれAなるや
意味なんとまあAなことか。
何ぞ其れ多能なるや。
なんとまあ多才なことか。
『論語』子罕
読みあにAならずや
意味なんとAではないか。
聖人の智は、豈に大ならずや。
聖人の知恵は、なんと偉大ではないか。
『説苑』権謀
読みやんぬるかな
意味もうおしまいだ。どうしようもない。
「已矣」「已矣哉」も同じ。三字まとめて一語として読む。
已矣乎。
もうおしまいだなあ。
陶潜「帰去来辞」
使役形
「〜させる」という形。使役の字(使・令・教・遣)の下に「誰に」(Bをして)と「何をさせるか」(Cせしむ)が続きます。
基本
読みABをしてCせしむ
意味AはBにCさせる。
使役の字は書き下し文では平仮名「しむ」。させられる人(B)に送り仮名「ヲシテ」を付けるのが目印。Cに目的語Dが付くと「BをしてDをCせしむ」と読み、返り点は一・二・三点になる(下の例文)。「使」は「AをしてBせしめば」と仮定を表すこともある。
同じ働きの字:令・教・遣
天帝我をして百獣に長たらしむ。
天の神様は私を獣たちのかしらにならせた。
『戦国策』楚策
この句法が出てくる記事:【予想問題付き】『史記』鴻門之会(剣舞)①現代語訳・書き下し文・解説『史記』項王最期(項王自刎)書き下し文・現代語訳・解説
基本
読みAにめいじて Bせしむ
意味Aに命じてBさせる。
「命・召・遣・説」など、使役の意味を含む動詞を使った形。送り仮名「シム」で使役とわかる。
同じ働きの字:召・遣・説
成王周公に命じて之を誅せしむ。
成王は周公に命じて、これを討たせた。
『史記』殷本紀
受身形
「〜される」という形。受身の字(見・被・為・所)を使う形と、動詞の後の「於(于・乎)+人」で「誰に」を表す形があります。
基本
読みAせらる
意味Aされる。
「見・被」は受身の助動詞「る・らる」にあたり、書き下し文では平仮名にする。四段・ナ変・ラ変には「る」、それ以外には「らる」が付く。
同じ働きの字:被
吾嘗て三たび仕へ、三たび君に逐はる。
私はかつて三度仕官して、三度とも主君に追い出された。
『史記』管晏列伝
基本
読みAのBするところとなる
意味AにBされる。
「為」が受身のときは「る」ではなく「為る(なる)」と読み、「所」と組み合わせる。 「為A之所B」(AのBする所と為る)の形もある。
先んずれば即ち人を制し、後るれば則ち人の制する所と為る。
人より先に行動すれば人を支配でき、遅れれば人に支配される。
『史記』項羽本紀
この句法が出てくる記事:【予想問題付き】『史記』鴻門之会・剣舞➁現代語訳・書き下し文・解説
基本
読みBにAせらる
意味BにAされる。
受身の字がなくても、動詞の後に「於・于・乎+人」があれば受身に読むことがある。
力を労する者は人に治めらる。
体を使って働く者は、人に治められる。
『孟子』滕文公上
仮定形
「もし〜ならば」「たとえ〜でも」という形。文頭の副詞(若・如・苟・縦)や、「〜ずんば」「〜ば則ち」の読み方が目印です。
基本
読みもしAせば、B
意味もしAならば、B。
同じ働きの字:如・即・使・令
如し王者有らば、必ず世にして後に仁ならん。
もし真の王者が現れたならば、必ず一世代(三十年)たってから世の中に仁が行きわたるだろう。
『論語』子路
基本
読みいやしくもAせば、B
意味かりにもAならば、B。
苟くも国家に利あらば、富貴を求めず。
もし国家の利益になるなら、自分の富や地位は求めない。
『礼記』儒行
基本
読みたとひAすとも、B
意味たとえAしても、B。
「雖(いへども)」も「たとえ〜でも」の意味になる。
同じ働きの字:雖
縦ひ江東の父兄憐れみて我を王とすとも、我何の面目ありてか之に見えん。
たとえ江東の人々が私を哀れんで王としてくれても、私はどんな顔をして彼らに会えようか。
『史記』項羽本紀
この句法が出てくる記事:『史記』項王最期(項王自刎)書き下し文・現代語訳・解説
基本
読みAといへども、B
意味たとえAでも、B。(仮定)/Aではあるが、B。(確定)
まだ起きていないことなら仮定、事実なら確定(逆接)として訳す。 「雖」の上に主語(名詞・代名詞)があるときは、確定(〜ではあるが)になることが多い。
相如駑なりと雖も、独り廉将軍を畏れんや。
私(相如)は愚かではあるが、どうして廉将軍だけを恐れることがあろうか。
『史記』廉頗藺相如列伝
この句法が出てくる記事:『史記』項王最期(項王自刎)書き下し文・現代語訳・解説
基本
読みAせずんば、B
意味Aしなければ、B。
「不・無・非」を「ずんば・なくんば・あらずんば」と読むと仮定になる。
虎穴に入らずんば、虎子を得ず。
虎の穴に入らなければ、虎の子は手に入らない。
『後漢書』班超伝
読みAなくんば、B
意味もしAがなければ、B。
民信無くんば立たず。
民の信頼がなければ、国は成り立たない。
『論語』顔淵
読みAにあらずんば、Bせず
意味Aでなければ、Bしない。
其の君に非ずんば事へず。
自分の主君とすべき人でなければ仕えない。
『孟子』公孫丑上
読みAにあらざるよりは
意味Aでないかぎりは。
聖人に非ざるよりは、孰か能く過ち無からん。
聖人でないかぎり、だれが過ちを犯さずにいられようか。
『三国志』魏書・趙王幹伝
読みAをしてBせしめば
意味もしAにBさせたならば。(仮定)
使役の字が仮定を表す。下に「豈〜乎」などが続くことが多い。
我をして洛陽負郭の田二頃有らしめば、豈に能く六国の相印を佩びんや。
もし私に洛陽の城外の良い田が二頃あったなら、どうして六国の宰相の印を身につけられただろうか。
『史記』蘇秦列伝
読みいまAせば、B
意味もしAならば、B。(仮定)
今王讒を聴かば、則ち忠臣無からん。
もし王が告げ口を聞き入れたら、忠臣はいなくなるだろう。
『戦国策』秦策
基本
読みしからずんば
意味そうでなければ。
然らずんば、籍何を以てか此に至らん。
そうでなければ、私がどうしてこんなことをしただろうか。
『史記』項羽本紀
この句法が出てくる記事:【予想問題付き】『史記』鴻門之会(剣舞)①現代語訳・書き下し文・解説
読みAなかりせば
意味もしAがなかったならば。
事実に反する仮定(実際にはAがあった)。
管仲微かりせば、吾其れ被髪左衽せん。
管仲がいなかったら、私たちは髪を結わず着物を左前に着る、異民族のような暮らしをしていただろう。
『論語』憲問
基本
読みAせばすなはち B
意味AならばB。(条件)
「則」は「〜ば」と読む条件の後に来て、結果を導く。「即・便・乃」などとの使い分けにも注意。
学びて思はざれば則ち罔し。
学んでも自分で考えなければ、物事ははっきりわからない。
『論語』為政
この句法が出てくる記事:『郁離子』「天下貴大同」書き下し文・現代語訳・解説|重要句法・テスト予想問題
比較形・選択形・比況形
二つのものを比べる形、どちらかを選ぶ形、「まるで〜のようだ」とたとえる形。「於(よりも)」「如かず」「寧ろ」「如し」が目印です。比較の「不如(しかず)」と比況の「如(ごとし)」は同じ字なので、読み方で区別します。
基本
読みAはBよりもCなり
意味AはBよりもCだ。
形容詞・形容動詞の後の「於・于・乎」は「〜よりも」と読む比較の働き。
苛政は虎よりも猛なり。
むごい政治は虎よりも恐ろしい。
『礼記』檀弓下
基本
読みAはBにしかず
意味AはBに及ばない。(Bのほうがよい)
「如」のかわりに「若」も使う(不若B)。
同じ働きの字:若
百聞は一見に如かず。
人から百回聞くより、自分の目で一回見るほうがよい。
『漢書』趙充国伝
基本
読みAにしくはなし
意味Aに及ぶものはない。(Aが一番よい)
同じ働きの字:莫若・無如
衣は新たなるに若くは莫く、人は故きに若くは莫し。
着物は新しいものが一番よく、人は古なじみが一番よい。
『晏子春秋』内篇雑上
基本
読みAよりCなるはなし
意味AよりCなものはない。(Aが最もCだ)
悲しみは窮困より甚だしきは莫し。
悲しみの中で、貧しさに苦しむことより大きいものはない。
『史記』李斯列伝
基本
読みそのAせんよりは、むしろBせよ
意味Aするよりは、むしろBしなさい。(Bを選ぶ)
礼は其の奢らんよりは寧ろ倹せよ。
礼は、ぜいたくにするよりは、むしろ質素にしなさい。
『論語』八佾
読みそのAせんよりは、Bするにしかず
意味Aするよりは、Bするほうがよい。
其の生きて義無からんよりは、固より烹らるるに如かず。
生きながらえて道義を失うよりは、もちろん煮殺される方がましだ。
『史記』田単列伝
読みAはBにいづれぞ
意味AはBと比べてどうか。(Bの方がよいという気持ちを含む)
同じ働きの字:孰与
公の廉将軍を視ること、秦王に孰与れぞ。
あなたがたが廉将軍を見るのは、秦王と比べてどうか(秦王の方がずっと恐ろしいだろう)。
『史記』廉頗藺相如列伝
読みそのAせんよりは、Bするにいづれぞ
意味Aするのは、Bするのと比べてどうか。(Bする方がよい)
「与其A、豈若B(そのAせんよりは、あにBするにしかんや)」も同じ意味になる。
其の身に楽しみ有らんよりは、其の心に憂ひ無きに孰若れぞ。
身に楽しみがあるよりも、心に心配ごとがない方がよいのではないか。
韓愈「送李愿帰盤谷序」
基本
読みむしろAすとも、Bするなかれ
意味いっそAしても、Bしてはならない。
寧ろ鶏口と為るとも、牛後と為る無かれ。
たとえ小さくても鶏の口(小国の長)になれ、大きな牛の尻(大国の家来)にはなるな。
『史記』蘇秦列伝
基本
読みAはBのごとし
意味Aはまるで(ちょうど)Bのようだ。
「如・若」は書き下し文では平仮名「ごとし」。体言には「の」、活用語の連体形には「が」を付けて続ける。
同じ働きの字:若
君子の交はりは淡きこと水のごとし。
立派な人どうしのつきあいは、水のようにさっぱりしている。
『荘子』山木
抑揚形
まず軽いものを挙げて(抑)、もっと重いものはなおさらだ(揚)と強調する形。「且(かつ)・猶(なほ)」と「況んや」「安くんぞ」が目印です。
基本
読みAすらB、いはんやCをや
意味AでさえBだ。ましてCはなおさらだ。
前半に「且(かつ)・猶(なほ)」が入ることが多い。「況んや」を見たら、文末は「〜をや」で結ぶ。
死馬すら且つ之を買ふ、況んや生ける者をや。
死んだ馬でさえ買うのだから、まして生きている馬ならなおさらだ。
『十八史略』春秋戦国
基本
読みAすらB、いづくんぞCせん
意味AでさえBだ。どうしてCしようか、いやCしない。
後半を「況んや」ではなく反語で言う抑揚形。
臣死すら且つ避けず、卮酒安くんぞ辞するに足らん。
私は死でさえ避けはしない。大杯の酒などどうして断る必要があろうか。
『史記』項羽本紀
この句法が出てくる記事:『鴻門之会④』書き下し文・現代語訳・解説|樊噲の説得
限定形・累加形
限定形は「ただ〜だけ」と範囲をしぼる形、累加形は「ただ〜だけでなく」と付け加える形です。累加形は限定形を打ち消したもの、と考えると覚えやすくなります。
基本
読みただAのみ
意味ただAだけだ。
文頭の「唯・惟・只・但・徒・特」(ただ)と、文末の「耳・已・爾・而已・而已矣」(のみ)のどちらか一方でも限定になる。文末の助字は書き下し文で平仮名にする。
同じ働きの字:惟・只・但・徒・特・耳・已・爾・而已
唯だ仁者のみ能く人を好み、能く人を悪む。
ただ仁の徳がある人だけが、正しく人を好み、正しく人を憎むことができる。
『論語』里仁
夫子の道は、忠恕のみ。
先生の道は、まごころと思いやり、ただそれだけだ。
『論語』里仁
基本
読みひとりAのみ
意味ただAだけだ。
「独」は文頭で「ひとり」と読み、文末の「のみ」と呼応する。文末が「乎・哉」なら反語(ひとり〜んや)。
今独り臣のみ船有り。
今はただ私だけが船を持っております。
『史記』項羽本紀
この句法が出てくる記事:『史記』項王最期(項王自刎)書き下し文・現代語訳・解説
基本
読みただにAのみならず、B
意味ただAだけでなく、B。(累加)
同じ働きの字:不独・不但・非唯
唯だに帰るを忘るるのみならず、以て老いを終ふべし。
ただ帰るのを忘れてしまうだけでなく、ここで一生を終えてもよいほどだ。
白居易「与微之書」
基本
読みあにただにAのみならんや
意味どうしてただAだけだろうか、いやAだけではない。(累加)
同じ働きの字:何独
豈に惟だに之を怠るのみならんや、又従ひて之を盗む。
どうしてただ職務を怠るだけであろうか、そのうえ民の税を盗みまでしている。
柳宗元「送薛存義序」
読みなんぞひとりAのみならん
意味どうしてただAだけであろうか、いやAだけではない。
故郷何ぞ独り長安に在るのみならん。
故郷はどうして長安だけにあろうか、いやそうではない。
白居易「香炉峰下新卜山居草堂初成偶題東壁」
読みひとりAのみにあらず
意味ただAだけではない。
独り賢者のみ是の心有るに非ざるなり。
ただ賢者だけがこの心を持っているのではない。
『孟子』告子上
願望形
「どうか〜させてください」「どうか〜してください」と願う形。文末が「〜ん」なら自分の願い、「〜せよ(命令形)」なら相手への願いです。
基本
読みねがはくはAせん(せよ)
意味どうかAさせてください。(どうかAしてください)
文末を「〜せん」(未然形+ん)と読めば自分の願望(どうか〜させてください)、命令形で読めば相手への願望(どうか〜してください)。
同じ働きの字:庶幾・冀
願はくは大王急ぎ渡れ。
どうか大王様、急いで(川を)お渡りください。
『史記』項羽本紀
この句法が出てくる記事:『史記』項王最期(項王自刎)書き下し文・現代語訳・解説
基本
読みこふAせん(せよ)
意味どうかAさせてください。(どうかAしてください)
「請ふ」は、主に自分がすることを相手に願い出るときに使う(どうか私に〜させてください)。
請ふ剣を以て舞はん。
どうか剣を持って舞わせてください。
『史記』項羽本紀
この句法が出てくる記事:【予想問題付き】『史記』鴻門之会・剣舞➁現代語訳・書き下し文・解説
読みいづくんぞAをえん
意味なんとかしてAを手に入れたい。
もとは反語(どうしてAを得られようか)。強い願望を表すことがある。
安くんぞ猛士を得て四方を守らしめん
なんとかして勇ましい兵士を得て、国の四方を守らせたいものだ。
『史記』高祖本紀「大風歌」
再読文字
一つの字を二度読む字。一度目は返り点に関係なく副詞として読み、二度目は返り点に従って返ってから助動詞・動詞として読みます。二度目の送り仮名は字の左下に付きます。
基本
読みいまだAせず
意味まだAしない。
二度目の「ず」は書き下し文で平仮名にする。
未だ生を知らず、焉くんぞ死を知らん。
まだ生きることさえわかっていないのに、どうして死がわかろうか。
『論語』先進
基本
読みまさにAせんとす
意味今にもAしようとする。
同じ働きの字:且
天将に夫子を以て木鐸と為さんとす。
天は先生を、世の人々を教え導く木鐸にしようとしている。
『論語』八佾
基本
読みまさにAすべし
意味当然Aすべきだ。
「応」も同じく「まさに〜べし」と読むが、意味は「きっとAだろう」(推量)になることが多い。
同じ働きの字:応
時に及んで当に勉励すべし、歳月は人を待たず。
よい時を逃さず、大いに励むべきだ。年月は人を待ってはくれない。
陶潜「雑詩」
基本
読みよろしくAすべし
意味Aするのがよい。
勧めたり、適当であることを表したりする。
惟だ仁者のみ宜しく高位に在るべし。
ただ仁徳のある人だけが、高い地位にいるのがよい。
『孟子』離婁上
基本
読みすべからくAすべし
意味ぜひAする必要がある。
行楽須らく春に及ぶべし
楽しむなら、春のうちに楽しむべきだ。
李白「月下独酌」
基本
読みなほAのごとし
意味ちょうどAのようだ。
二度目の「ごとし」は体言には「の」、活用語には「が」を付けて続ける。
同じ働きの字:由
過ぎたるは猶ほ及ばざるがごとし。
やり過ぎは、足りないのと同じようなものだ。
『論語』先進
この句法が出てくる記事:『郁離子』「天下貴大同」書き下し文・現代語訳・解説|重要句法・テスト予想問題
基本
読みなんぞAせざる
意味どうしてAしないのか。(Aすればよいのに)
「盍」は「何不」(なんぞ〜ざる)の二字を一字にしたもの。
盍ぞ各爾の志を言はざる。
どうしてそれぞれ自分の志を言わないのか(言ってごらん)。
『論語』公冶長
その他の重要句形
グループには入らないものの、教科書の文章によく出てくる形です。
基本
読みAをもつて Bとなす
意味AをBとする。AをBと思う(見なす)。
「以為」の二字を続けて「おもへらく」と読むと「思うことには」の意味になる。
鮑叔我を以て不肖と為さず。
鮑叔は私を愚か者だとは思わなかった。
『史記』管晏列伝
この句法が出てくる記事:『郁離子』「天下貴大同」書き下し文・現代語訳・解説|重要句法・テスト予想問題
基本
読みAするゆゑん
意味Aする理由。Aする方法・手段。
「所以」は二字で「ゆゑん」と読む。理由か方法かは文脈で判断する。
此れ吾が天下を取りし所以なり。
これが、私が天下を取ることができた理由だ。
『史記』高祖本紀