于武陵(うぶりょう)の『勧酒(さけをすすむ)』の書き下し文・現代語訳・解説です。
「さあ、この杯を受けてくれ。遠慮はいらない」と友に酒をすすめ、その理由を「花が咲けば雨風が多い。人の一生には別れが多い」と続けます。わずか二十字の詩ですが、後半の二句は、作家の井伏鱒二が「『サヨナラ』ダケガ人生ダ」と訳したことでもよく知られています。
書き下し文・現代語訳・解説
白文勧酒
書き下し酒を勧む
現代語訳酒をすすめる。
白文勧君金屈巵
書き下し君に勧む金屈巵
現代語訳君にすすめよう、この黄金の大杯を。
- 金屈巵
- 取っ手のついた、黄金の大きな杯。「巵」は「卮」とも書く。
白文満酌不須辞
書き下し満酌辞するを須ゐず
現代語訳なみなみとついだこの酒を、遠慮して断ることはない。
- 満酌
- 杯いっぱいに酒をつぐこと。
- 辞
- 辞退する。断る。
- 不須
- 「~するを須ゐず」と読み、「~する必要はない」「~には及ばない」の意。
白文花発多風雨
書き下し花発きて風雨多し
現代語訳花が咲くと、(それを散らす)雨や風が多いものだ。
- 発
- 花が開く。咲く。「発いて」と読むこともある。
- 風雨
- 雨や風。咲いた花を散らしてしまうもの。
白文人生足別離
書き下し人生別離足る
現代語訳(それと同じように)人の一生には、別れが多いものだ。
- 人生
- 人の一生。
- 足
- 「たル」。たっぷりある。ここでは転句の「多」と同じ意味。
- 別離
- 別れ。
テスト予想問題
A 詩の形式・語句
この詩の作者と詩の形式を答えよ。また、押韻している字をすべて抜き出せ。
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作者:于武陵 詩の形式:五言絶句 押韻:巵・辞・離
「金屈巵」の読みを現代仮名遣いのひらがなで書き、その意味を答えよ。
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読み:きんくっし
意味:取っ手のついた、黄金の大きな杯。次の語の意味を答えよ。
①満酌
②辞(不須辞)
③発(花発)
④足(足別離)解答を見る
①杯いっぱいに酒をつぐこと
②辞退する(断る)
③(花が)開く・咲く
④たっぷりある(多い)どの句とどの句が対句になっているか。また、意味の上で対応している語を三組あげよ。
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第三句と第四句。
花発と人生、多と足、風雨と別離
B 書き下し文・現代語訳
「満酌不須辞」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
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書き下し文:満酌辞するを須ゐず
現代語訳:なみなみとついだこの酒を、遠慮して断ることはない。「人生足別離」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
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書き下し文:人生別離足る
現代語訳:人の一生には、別れが多いものだ。「勧君金屈巵」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
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書き下し文:君に勧む金屈巵
現代語訳:君にすすめよう、この黄金の大杯を。
C 内容の読み取り
第三句の「風雨」は、第四句の何にあたるか。詩の中の語で答えよ。
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別離
転句(第三句)の内容は、結句(第四句)の内容とどう結びついているか。説明せよ。
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転句で述べた「咲いた花も雨や風にすぐ散らされる」という自然のありさまが、結句の「人の一生も別れが多く、出会った人ともやがて別れる」という人の世のありさまのたとえになっている。
作者が、杯の酒を「辞するを須ゐず」とすすめるのはなぜか。
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人生には別れが多く、こうして共に酒を酌みかわせる時はいつまでも続かないから。