劉禹錫(りゅううしゃく)の『秋風引(しゅうふういん)』の書き下し文・現代語訳・解説です。題は「秋風の引」と読み、「秋風の歌」という意味です。
どこからともなく秋風が吹いてきて、さびしい音を立てながら雁の群れを運んできます。その風が朝、庭の木々に吹きこんだとき、ひとり旅の身である作者は、誰よりも先にその音を聞きつけました。秋の訪れを、風の音でいち早く感じとった詩です。
書き下し文・現代語訳・解説
白文何処秋風至
書き下し何れの処より秋風至る
現代語訳いったいどこから、この秋風は吹いてくるのだろうか。
- 何処
- 「いづレノところヨリ」。どこから。場所を問う疑問。
- 至
- やって来る。ここでは、秋風が吹いてくること。
白文蕭蕭送雁群
書き下し蕭蕭として雁群を送る
現代語訳(その風は)ものさびしい音を立てて、雁の群れを送ってくる。
- 蕭蕭
- ものさびしい様子。ここでは、風の吹く音を表す。
- 送
- 送りとどける。主語は「秋風」。
- 雁群
- 雁の群れ。雁は、秋になると北方から渡ってくる鳥。
白文朝来入庭樹
書き下し朝来庭樹に入り
現代語訳今朝がた、(秋風は)庭の木々に吹きこんできて、
- 朝来
- 朝がた。「来」は、語調を整える助字で、「来る」の意味はない。
- 入
- 吹きこむ。主語は「秋風」。
- 庭樹
- 庭の木。
白文孤客最先聞
書き下し孤客最も先に聞く
現代語訳ひとり旅の身の私は、誰よりも先にその音を聞きつけた。
- 孤客
- 孤独な旅人。ここでは、作者自身のこと。漢文の「客」は、旅人の意味で使われることが多い。
- 最先聞
- 誰よりも先に(秋風の音を)聞きつけた。
テスト予想問題
A 詩の形式・語句
この詩の作者と詩の形式を答えよ。また、押韻している字をすべて抜き出せ。
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作者:劉禹錫 詩の形式:五言絶句 押韻:群・聞
題の「秋風引」の「引」とはどういう意味か。
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歌(楽府の題に使われる語)
次の語の読みを現代仮名遣いのひらがなで答え、意味も答えよ。
①蕭蕭
②朝来
③孤客解答を見る
①しょうしょう:ものさびしい様子(風の吹く音)
②ちょうらい:朝がた
③こかく:孤独な旅人
B 書き下し文・現代語訳
「何処秋風至」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
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書き下し文:何れの処より秋風至る
現代語訳:どこから秋風は吹いてくるのだろうか。「孤客最先聞」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
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書き下し文:孤客最も先に聞く
現代語訳:ひとり旅の身の私は、誰よりも先に(秋風の音を)聞きつけた。
C 内容の読み取り
「送雁群」「入庭樹」の主語を、それぞれ詩の中から抜き出せ。
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どちらも「秋風」
「孤客」とは誰のことか。また、「孤客」と対比されている語を詩の中から抜き出せ。
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作者(劉禹錫)自身。対比されている語:雁群
「最先聞」とあるが、孤客が誰よりも先に秋風の音に気づいたのは、なぜだと考えられるか。
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ひとりで旅先にいるわびしさから、感覚が鋭くなっていたから。
この詩の主題を答えよ。
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秋風によって秋の訪れをいち早く感じとった、ひとり旅の人の孤独とわびしさ。