『守株(株を守る)』書き下し文・現代語訳・意味・解説|韓非子・テスト予想問題付き

目次
  1. 書き下し文・現代語訳・解説
  2. うさぎが切り株にぶつかる
  3. 株を守る
  4. 韓非の主張
  5. テスト予想問題

『守株(しゅしゅ)』(株を守る)の書き下し文・現代語訳・句法・故事成語の意味を解説します。出典は、戦国時代末期の法家の思想家・韓非の著作『韓非子(かんぴし)』(五蠹篇)です。

書き下し文・現代語訳・解説

うさぎが切り株にぶつかる

本文(訓読文)

白文宋人有耕田者。

書き下し宋人(そうひと)に田を耕す者有り。

現代語訳宋の国の人に、畑を耕している者がいた。

宋
春秋・戦国時代の国の名。宋の人は、昔の中国の笑い話で、愚か者の役としてよく登場するといわれる(「助長」の話も宋の人)。
宋人
「そうひと」と読む。国名の下の「人」は「ひと」と訓読みするのがならわし。
田
耕作地。畑。

白文田中有株。

書き下し田中(でんちゆう)に株(かぶ)有り。

現代語訳畑の中に、木の切り株があった。

株
木の切り株。「くいぜ」と読むこともある。

白文兎走触株、折頸而死。

書き下し兎走りて株に触れ、頸(くび)を折りて死す。

現代語訳うさぎが駆けてきて切り株に体当たりし、首の骨を折って死んでしまった。

触
「ふル」。ぶつかる。
頸
くび。
而
置き字。読まない。

株を守る

本文(訓読文)

白文因釈其耒而守株、冀復得兎。

書き下し因りて其の耒(すき)を釈(す)てて株を守り、復た兎を得んことを冀(こひねが)ふ。

現代語訳そこで(その人は)すきを放り出して切り株を見張り、もう一度うさぎを手に入れたいと願った。

因
「よリテ」。そこで。それで。
耒
「すき」。田畑を耕す農具。
釈
「すツ」。手から放す。捨てる。
守
じっと見守る。番をする。
冀
「こひねがフ」。強く願う。
復
「まタ」。もう一度。再び。

白文兎不可復得、而身為宋国笑。

書き下し兎復た得べからずして、身は宋国(そうこく)の笑ひと為れり。

現代語訳うさぎは二度と手に入れることはできず、その人自身は宋の国じゅうの笑い者になってしまった。

不可復得
「復た得べからず」。二度とは手に入れることができない。
得
ここでは「う」と読む下二段活用の動詞。「得べからず」の「得」は終止形で「う」。
身
自分自身。ここでは、その宋の人。
為宋国笑
宋の国の人々に笑われる。受身の意味。

韓非の主張

本文(訓読文)

白文今欲以先王之政、治当世之民、皆守株之類也。

書き下し今先王(せんわう)の政(まつりごと)を以て、当世(たうせい)の民を治めんと欲するは、皆株を守るの類なり。

現代語訳いま、いにしえの聖王が行った政治で現代の民を治めようとするのは、どれも切り株を見張っていた宋の人と同類である。

先王
昔の聖天子たち。前の段で挙げられている尭・舜・禹・湯・武などを指す。
先王之政
昔の聖王が行った政治のやり方。
以
「もつテ」。~で。手段を表す。
当世
今の世の中。
類
たぐい。同類。

テスト予想問題

A 語句

  1. 次の語の読み(送り仮名を含め、現代仮名遣いのひらがな)を答えよ。
    ①宋人
    ②耒
    ③因
    ④冀

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    ①そうひと
    ②すき
    ③よりて
    ④こいねがう

  2. 次の語の、本文での意味を答えよ。
    ①株
    ②釈
    ③当世

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    ①木の切り株
    ②手から放して捨てる
    ③今の世の中

B 書き下し文・現代語訳

  1. 「兎不可復得」を書き下し文にし、現代語訳せよ。

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    書き下し文:兎復た得べからず。
    現代語訳:うさぎは二度と手に入れることはできなかった。

  2. 「身為宋国笑」を書き下し文にし、現代語訳せよ。

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    書き下し文:身は宋国の笑ひと為れり。
    現代語訳:その人は宋の国じゅうの笑い者になった。

  3. 「今欲以先王之政、治当世之民、皆守株之類也」を書き下し文にし、現代語訳せよ。

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    書き下し文:今先王の政を以て、当世の民を治めんと欲するは、皆株を守るの類なり。
    現代語訳:いま、いにしえの聖王が行った政治で現代の民を治めようとするのは、どれも切り株を見張っていた宋の人と同類である。

  4. 「為宋国笑」は、受身の形から一字が省かれたものである。省かれている字を答え、その字を補ったときの書き下し文を書け。

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    省かれている字:所
    書き下し文:宋国の笑ふ所と為る。

C 内容の読み取り

  1. 「釈其耒而守株」とあるが、宋の人は何をやめて、何を期待したのか。説明せよ。

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    畑を耕す仕事をやめて、また切り株にうさぎがぶつかって死に、それを手に入れられることを期待した。

  2. 「先王之政」とは、具体的にどのようなものか。

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    昔の聖王たち(尭・舜・禹・湯・武など)が行った政治のやり方。

  3. 韓非は、「先王之政」で「当世之民」を治めようとすることを、宋の人のどのような点と同じだと考えているか。

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    以前うまくいったやり方を、時代が変わった今もそのまま使えば、また同じよい結果が得られると思いこんでいる点。

  4. この話から生まれた故事成語「守株(株を守る)」の意味を答えよ。

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    古いやり方にこだわって、融通がきかないこと。