『朝三暮四』書き下し文・現代語訳・意味・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 書き下し文・現代語訳・解説
  2. 狙公と猿
  3. 餌を減らす
  4. 朝三暮四と朝四暮三
  5. テストで問われるポイント
  6. テスト予想問題

『朝三暮四(ちょうさんぼし)』の書き下し文・現代語訳・句法・故事成語の意味を解説します。出典は、道家の思想書『列子』です。同じ話は『荘子』にも出てきます。

書き下し文・現代語訳・解説

狙公と猿

本文(訓読文)

白文宋有狙公者。

書き下し宋に狙公(そこう)なる者有り。

現代語訳宋の国に、狙公という者がいた。

宋
春秋・戦国時代の国の名。
狙
さる(猿)。「狙公」は猿を飼っている人。

白文愛狙、養之成群。

書き下し狙を愛し、之を養ひて群を成す。

現代語訳(狙公は)猿をかわいがり、飼って、群れをなすほどの数になっていた。

之
狙を指す。
成群
群れをなす。数が多いことをいう。

白文能解狙之意、狙亦得公之心。

書き下し能(よ)く狙の意を解(かい)し、狙も亦(ま)た公の心を得たり。

現代語訳(狙公は)猿の気持ちをよくわかっており、猿もまた、狙公の気持ちをよく察していた。

能
「よク」。~できる。
解
理解する。
亦
「まタ」。~もまた。
得公之心
狙公の気持ちをつかんでいた。

白文損其家口、充狙之欲。

書き下し其の家口(かこう)を損じ、狙の欲を充(み)たす。

現代語訳(狙公は)自分の家族の食べ物を減らしてまで、猿の食欲を満たしていた。

其
狙公を指す。
家口
家族。ここでは、家族が食べる分。
損
へらす。
充
満たす。

猿のためにそこまでしていた、という書き方から、狙公が猿を大切にしていたこと、そして次の「貧しくなった」ことにつながる流れがわかります。

餌を減らす

本文(訓読文)

白文俄而匱焉。

書き下し俄(にはか)にして匱(とぼ)し。

現代語訳(狙公は)まもなく食べ物が乏しくなった。

俄而
「にはかニシテ」。急に、まもなく。
匱
「とぼシ」。乏しい、足りなくなる。
焉
置き字。文末の語調を整える。

白文将限其食。

書き下し将(まさ)に其の食(し)を限らんとす。

現代語訳そこで、猿のえさを制限しようとした。

将
再読文字。「まさニ~ントす」。今にも~しようとする。
其
猿(狙)を指す。
食
えさ。

白文恐衆狙之不馴於己也、先誑之曰、

書き下し衆狙(しゆうそ)の己に馴(な)れざらんことを恐るるや、先(ま)づ之を誑(あざむ)きて曰(い)はく、

現代語訳(けれども)猿たちが自分になつかなくなってしまうのを案じ、先に猿たちをだますことにして、こう言った。

衆狙
たくさんの猿。
馴
(人に)なつく。なれる。
於己
「己に」。「於」は対象を示す置き字。
也
ここでは「や」と読み、強調(調子を整える)を表す。
先
「まヅ」。最初に、まず。
誑
だます。「之」は猿を指す。

猿がなつかなくなると困る、と考えた狙公は、えさを減らす前に、まず言葉で猿をだまそうとします。「先づ之を誑きて」とあるのは、この話の中心がだましの手口にあることを示しています。

朝三暮四と朝四暮三

本文(訓読文)

白文「与若芧、朝三而暮四、足乎。」

書き下し「若(なんぢ)に芧を与ふるに、朝に三にして暮れに四にせん、足るか。」と。

現代語訳「おまえたちにどんぐりを与えるのに、朝に三つ、夕方に四つにしようと思うが、それで足りるか。」と。

若
「なんぢ」。おまえ(たち)。
芧
どんぐり・トチの実など木の実。猿のえさ。
与若芧
「若に芧を与ふ」。「与」は、与える相手と物を二つとる動詞。
朝三而暮四
朝に三つ、暮れに四つ。
足乎
「足るか」。それで十分か。「乎」は疑問を表す助字。

白文衆狙皆起而怒。

書き下し衆狙皆起ちて怒る。

現代語訳多くの猿は皆、立ち上がって怒った。

起
立ち上がる。
而
置き字。順接(~て)を示す。

白文俄而曰、「与若芧、朝四而暮三、足乎。」

書き下し俄(にはか)にして曰はく、「若に芧を与ふるに、朝に四にして暮れに三にせん、足るか。」と。

現代語訳すぐ続けて(狙公は)言った。「おまえたちにどんぐりを与えるのに、朝に四つ、夕方に三つにしようと思うが、足りるか。」と。

俄而
すぐに。

白文衆狙皆伏而喜。

書き下し衆狙皆伏(ふ)して喜ぶ。

現代語訳多くの猿は皆、ひれ伏して喜んだ。

伏
ひれ伏す。

テストで問われるポイント

  • 出典=『列子』。狙公=猿を飼う人。
  • 「能」=よく(できる)。「亦」=また。「先」=まづ。「俄而」=にはかにして。
  • 「将」=再読文字。「将に其の食を限らんとす」。
  • 「損其家口」の「家口」=家族(が食べる分)。
  • 狙公がえさを減らそうとしたのは、貧しくなったから。
  • 「先誑之」=猿がなつかなくなるのを心配して、まず言葉でだました。
  • 猿が朝三暮四で怒り、朝四暮三で喜んだのは、合計は同じなのに、目先の数の違いにとらわれたから。
  • 置き字=焉・於・而。
  • 「朝三暮四」=目先の違いに惑わされ、結果が同じと気づかない/言葉巧みに人をだます。

テスト予想問題

A 語句・置き字

  1. 次の語の読み(送り仮名を含め、現代仮名遣いのひらがな)と意味を答えよ。
    ①能
    ②亦
    ③先
    ④俄而

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    ①よく/~できる
    ②また/~もまた
    ③まず/最初に
    ④にわかにして/急に、すぐに

  2. 本文中の置き字をすべて抜き出せ。

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    焉・於・而

B 書き下し文・現代語訳

  1. 「将限其食」を書き下し文にし、現代語訳せよ。

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    書き下し文:将に其の食を限らんとす。
    現代語訳:(猿の)えさを制限しようとした。

  2. 「恐衆狙之不馴於己也」を書き下し文にし、現代語訳せよ。

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    書き下し文:衆狙の己に馴れざらんことを恐るるや
    現代語訳:猿たちが自分になつかなくなることを案じて

  3. 「与若芧、朝三而暮四、足乎」を書き下し文にし、現代語訳せよ。

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    書き下し文:若に芧を与ふるに、朝に三にして暮れに四にせん、足るか。
    現代語訳:おまえたちにどんぐりを与えるのに、朝に三つ、夕方に四つにしようと思うが、それで足りるか。

C 内容の読み取り

  1. 「損其家口」とあるが、この「家口」とは何のことか。また、狙公はなぜそうしたのか。

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    家口=家族(が食べる分)
    理由=猿をかわいがっていて、猿の食欲を満たしてやりたかったから。

  2. 狙公が「将限其食」と考えたのはなぜか。

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    急に貧しくなり、猿に十分なえさを与えられなくなったから。

  3. 狙公が、えさを減らすことを先に告げず、「先誑之」としたのはなぜか。

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    えさを減らすと言えば、猿が自分になつかなくなるのを恐れたから。

  4. 猿が「朝三而暮四」で怒り、「朝四而暮三」で喜んだのはなぜか。

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    どちらも一日の合計は七つで同じなのに、朝の数が減ったと感じて怒り、増えたと感じて喜んだから。(目先の違いにとらわれて、合計が同じであることに気づかなかった)

  5. 故事成語「朝三暮四」の意味を二つ答えよ。

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    ①目先の違いにとらわれて、結果が同じであることに気づかないこと。
    ②うまい言葉で人をだますこと。