『大鏡』時平の大臣 現代語訳・品詞分解・敬語・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. 帝と示し合わせたぜいたく禁止
  4. 笑い出すと止まらない時平
  5. 雷神となった道真と時平
  6. テスト予想問題

『大鏡(おおかがみ)』「時平の大臣(ときひらのおとど)」の現代語訳・品詞分解・敬語・解説です。教科書によっては、前半だけが「時平」という題で載っています。

菅原道真を大宰府へ追いやった左大臣・藤原時平の人がらを語る三つの話です。帝と示し合わせてぜいたくを戒めた話、笑い出すと止まらない時平の話、雷神となった道真に太刀を抜いて立ち向かった話が続きます。「の」の用法、敬語の向き、主語、指示語の内容がよく問われます。

原文の読み方

原文の一語一語に、活用や助動詞・助詞の意味を示しています。緑の下線は敬語です。下のボタンで、用言・助動詞・助詞などのラベルを別々に出したり消したりできます。ラベルを押すと古典文法一覧の説明に飛びます。

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現代語訳・品詞分解・解説

帝と示し合わせたぜいたく禁止

原文
さるは接、大和魂やまとだましひなど副助例示は係助区別、いみじくシク連用おはしまし補・サ四連用尊→時平たる完了連体ものを終助詠嘆。

現代語訳そうはいっても、(時平公は)政治の手腕などは、たいそうすぐれていらっしゃったのですよ。

大和魂(やまとだましい)
実際の物事をうまく処理する才能。ここでは政治の手腕。
解説

時平は、政治家としての実務の能力にはすぐれていた、という語り手の評価。

原文
延喜えんぎの格助主格、世間せけんの格助体修作法さほふしたためマ下二未然させ尊敬連用給ひ補・ハ四連用尊→帝しか過去已然ど接助逆接確定、過差くわさを格助対象ば係助強意え副しづめマ下二未然させ尊敬連用給は補・ハ四未然尊→帝ざり打消連用し過去連体に格助時間、

現代語訳醍醐天皇が世の中の決まりをお取り締まりになったけれど、度を過ぎたぜいたくをお抑えになることができずにいらっしゃったときに、

延喜
醍醐天皇。延喜は醍醐天皇の時代の年号。
過差(かさ)
度を過ぎたぜいたく。
解説

「延喜の」の「の」は主格。

醍醐天皇は世のありさまを正そうとしたが、度を過ぎたぜいたくだけは止められずにいた、ということ。

原文
こ代名の格助体修殿、制せいを格助対象破りラ四連用たる完了連体御装束おほんさうぞくの格助同格、殊のほかにナリ連用めでたきク連体を格助対象しサ変連用て接助単純接続、内うちに格助場所参りラ四連用謙→帝給ひ補・ハ四連用尊→時平て接助単純接続、殿上てんじやうに格助場所候はハ四未然謙→帝せ尊敬連用給ふ補・ハ四連体尊→時平を格助対象、

現代語訳この殿(時平)が、決まりを破ったご装束で、格別に立派なものを身に着けて宮中に参上なさり、殿上の間に控えていらっしゃるのを、

制
決まり。ここは、ぜいたくを禁じる決まり。
解説

「御装束の、殊のほかにめでたき」の「の」は同格。「ご装束で、格別に立派なご装束」という意味。

原文
帝みかど、小蔀こじとみより格助経由御覧じサ変連用尊→帝て接助単純接続、御気色みけしきいと副悪しくシク連用ならラ四未然せ尊敬連用給ひ補・ハ四連用尊→帝て接助単純接続、職事しきじを格助対象召しサ四連用尊→帝て接助単純接続、

現代語訳帝は小蔀からご覧になって、たいそうご機嫌を悪くなさり、職事をお呼び寄せになって、

小蔀(こじとみ)
殿上の間をのぞけるように、清涼殿の天皇のお部屋に設けられた小窓。
職事(しきじ)
蔵人。
解説

帝のご機嫌が悪くなったのは、ぜいたくを正そうとしているときに、最高位の左大臣である時平が、ことさら華やかな装束で参内しているのを見たから。

原文
「世間せけんの格助体修過差くわさの格助体修制せいきびしきシク連体ころ、左大臣さだいじんの格助主格、一の人いちのひとと格助引用いひハ四連用ながら接助逆接確定、美麗びれい殊のほかにナリ連用て接助単純接続参れラ四已然謙→帝る存続連体、便びんなきク連体ことなり断定終止。

現代語訳「世間のぜいたくを禁じる決まりが厳しいときに、左大臣が、臣下で第一の人とはいっても、格別に華やかな装いで参上しているのは、けしからぬことだ。

一の人
臣下の中で最も位の高い人。
便(びん)なし
不都合だ。けしからぬ。
解説

帝の言葉の中の「参れ」「まかり出づ」「仰せよ」は、帝が自分に関わる動作に敬語を使ったもの(自敬表現)。

原文

現代語訳すぐに退出せよと伝えよ。」とおっしゃったので、

解説

「早くまかり出づべきよし仰せよ」は、すぐに退出せよと(時平に)伝えよ、という職事への命令。

原文
承るラ四連体謙→帝職事しきじは係助区別、いかなるナリ連体ことに格助変化か係助疑問と格助引用恐れ思ひハ四連用けれ過去已然ど接助逆接確定、参りラ四連用謙→時平て接助単純接続、わななくカ四終止わななくカ四終止、しかじか副と格助引用申しサ四連用謙→時平けれ過去已然ば接助順接確定、

現代語訳命令を受けた職事は、いったいどうなることかと怖くなったが、(時平の所へ)参って、震えに震えながら、これこれでございますと申し上げたところ、

解説

職事が「いかなることにか」と恐れたのは、帝の厳しい命令を伝える相手が、自分よりはるかに地位の高い左大臣だったから。

「参りて」の主語は職事。職事が時平のところへ参上したので、「参り」は語り手から時平への敬意。

「しかじか」は、職事が時平に申し上げた、帝の「世間の過差の制きびしきころ…早くまかり出づべきよし仰せよ」という命令の内容。

原文
いみじくシク連用おどろきカ四連用、かしこまりラ四連用承りラ四連用謙→帝て接助単純接続、御随身みずいじんの格助主格御先みさき参るラ四連体謙→時平も係助類例制しサ変連用給ひ補・ハ四連用尊→時平て接助単純接続、急ぎガ四連用まかり出でダ下二連用謙→帝給へ補・ハ四已然尊→時平ば接助順接確定、

現代語訳(時平は)ひどく驚き、恐縮して承って、御随身が先払いをし申し上げるのもおやめになって、急いで退出なさったので、

かしこまる
恐縮する。
御随身(みずいじん)
朝廷から貴人につけられる護衛の役人。
御先(みさき)参る
行列の先に立って、人々をよけさせる。先払いをする。
原文
御前どもあやしシク終止と格助引用思ひハ四連用けり過去終止。さて副、本院ほんゐんの格助体修御門みかど一月ひとつきばかり副助程度鎖ささサ四未然せ使役連用て接助単純接続、

現代語訳先払いの者たちも妙なことだと思った。そうして、(時平は)本院の御門を一か月ほど閉ざさせて、

御前ども
行列の先を歩く者たち。
本院
時平の屋敷。
原文
御簾みすの格助体修外とに格助場所も係助類例出でダ下二連用給は補・ハ四未然尊→時平ず打消連用、人など副助婉曲の格助主格参るラ四連体謙→時平に格助時間も係助類例、「勘当かんだうの格助主格重けれク已然ば接助順接確定。」とて格助引用、あはハ四未然せ尊敬連用給は補・ハ四未然尊→時平ざり打消連用し過去連体に格助原因こそ係助強意、

現代語訳御簾の外へもお出ましにならず、訪ねてくる人があっても、「(帝の)おとがめが重いので。」と言って面会なさらなかったことで、

勘当(かんどう)
おとがめ。
解説

訪ねてきた人にも、帝のおとがめが重いからと言って会わなかった。時平が謹慎しているように見せたのである。

原文
世よの格助体修過差くわさは係助区別平らぎガ四連用たり完了連用しか過去已然。

現代語訳世の中のぜいたくはおさまったのだ。

解説

前の句の「こそ」を受けて、「しか」(過去の助動詞「き」の已然形)で結んでいる。

原文
内々うちうちに副よく副承りラ四連用謙→?しか過去已然ば接助順接確定、さて副ばかり副助限定ぞ係助強意しづまらラ四未然む推量連体とて格助引用、帝みかどと格助共同者御心みこころあはせサ下二未然させ尊敬連用給へ補・ハ四已然尊→時平り完了連用ける過去連体と格助引用ぞ係助強意。

現代語訳内々によくうかがったところ、そのようにしてこそ(世のぜいたくは)おさまるだろうということで、(時平公は)帝と心を合わせて示し合わせなさったのだということだ。

解説

「さてばかりぞしづまらむ」は、最高位の左大臣でさえ決まりを破れば重く罰せられる、という例を見せなければ、世のぜいたくは収まらないだろう、ということ。

「帝と御心あはせさせ給へりける」…時平が華やかな装束で参内して帝にとがめられたのは、ぜいたくの風潮を正すために、帝と時平が前もって打ち合わせた芝居だった、ということ。

笑い出すと止まらない時平

現代語訳(時平公は)ちょっとしたおかしさにも、どうしてもこらえることがおできにならなかった。いったん笑い出しなさると、ひどく物事もしまりがなくなったということだ。

念ず
我慢する。
解説

政治の手腕はあるが、笑い出すと止まらない、という時平のもう一つの面が語られる。

原文
北野きたのと格助共同者世よを格助対象まつりごたタ四未然せ尊敬連用給ふ補・ハ四連体尊→時平間あひだ、非道ひだうなるナリ連体ことを格助対象仰せサ下二未然尊→時平られ尊敬連用けれ過去已然ば接助順接確定、

現代語訳北野(道真)と二人で政治をとっていらっしゃったころ、(時平が)筋の通らないことをおっしゃったので、

まつりごつ
政治を行う。
解説

北野(道真)は右大臣、時平は左大臣として、二人で政治を行っていた。

「仰せられければ」の主語は時平。

原文
さすがに副やむごとなくク連用て接助単純接続せちにナリ連用しサ変連用給ふ補・ハ四連体尊→時平ことを格助対象、いかが副は係助強意と格助引用思しサ四連用尊→道真て接助単純接続、

現代語訳(道真は、時平が)なんといっても身分の高い方で、強引になさることなので、どうして止められようかとお思いになって、

せちなり
ひたすらだ。ここは、強引に押し通す様子。
解説

「せちにし給ふ」の主語は時平、「思して」の主語は道真。

「いかがは」の下には「止められようか」という意味の言葉が省略されている。止めたくても止められない、ということ。

原文
「こ代名の格助体修大臣おとどの格助主格しサ変連用給ふ補・ハ四連体尊→時平ことなれ断定已然ば接助順接確定、不便ふびんなりナリ終止と格助引用見れマ上一已然ど接助逆接確定、いかが副すサ変終止べから可能未然む推量連体。」と格助引用嘆きカ四連用給ひ補・ハ四連用尊→道真ける過去連体を接助単純接続、

現代語訳「この大臣のなさることなので、よくないとは思うけれど、どうすることができようか。」とお嘆きになっていたところ、

不便(ふびん)なり
不都合だ。
解説

嘆いているのは道真。時平のやり方が不都合だと思っても、身分の高い時平のすることなので、従うしかないことを嘆いている。

原文
なにがしの史が格助主格、「ことに断定連用も係助強意侍ら補・ラ変未然丁→道真ず打消終止。おのれ代名構へて副、か代名の格助体修御ことを格助対象とどめマ下二連用侍ら補・ラ変未然丁→道真む意志終止。」と格助引用申しサ四連用謙→道真けれ過去已然ば接助順接確定、

現代語訳何とかいう史が、「たいしたことではございません。私がきっと、あのお方のなさることを止めてみせましょう。」と申し上げたので、

構へて
必ず。きっと。
解説

「かの御こと」は、時平の「非道なること」をさす。

原文
「いと副あるラ変連体まじき打消当然連体こと。いかに副しサ変連用て接助単純接続。」など副助引用のたまはせサ下二連用尊→道真ける過去連体を接助単純接続、「ただ副御覧ぜよサ変命令尊→道真。」とて格助引用、

現代語訳(道真が)「まったくあってはならないことだ。どうやって(止めるのか)。」などとおっしゃったが、(史は)「とにかくご覧ください。」と言って、

解説

「いとあるまじきこと。いかにして。」は道真の言葉。史の申し出に驚いている。

「ただ御覧ぜよ」は史が道真に言った言葉で、「御覧ぜよ」は史から道真への敬意。

原文
座ざに格助場所つきカ四連用て接助単純接続、こときびしくシク連用定めマ下二連用ののしりラ四連用給ふ補・ハ四連体尊→時平に格助時間、こ代名の格助体修史、文刺ふばさみに格助対象文ふみ挟みマ四連用て接助単純接続、

現代語訳(時平が)座について、政務を厳しく決めて大声を出していらっしゃるときに、この史は、文刺に文書を挟んで、

文刺(ふばさみ)
文書を挟んで差し出すための杖。
解説

「こときびしく定めののしり給ふ」の主語は時平。政務をきびしく取り決め、声を張り上げている様子。

原文
いらなくク連用振る舞ひハ四連用て接助単純接続、こ代名の格助体修大臣おとどに格助対象奉るラ四終止謙→時平とて格助引用、いと副高やかにナリ連用鳴らしサ四連用て接助単純接続侍り補・ラ変連用丁→聞き手ける過去連体に接助単純接続、

現代語訳大げさな身ぶりで、この大臣に差し上げようとして、たいそう高らかに(おならを)鳴らしましたところ、

いらなし
大げさだ。仰々しい。
解説

史が文書を差し出す瞬間に高らかに音を鳴らした(おならをした)のは、時平を笑わせて、その政務を止めさせるため。

「侍り」は語り手から聞き手への丁寧語。

原文
大臣おとど文ふみも係助類例え副取らラ四未然ず打消連用、手わななきカ四連用て接助単純接続、やがて副笑ひハ四連用て接助単純接続、

現代語訳大臣は文書も受け取ることができず、手が震えて、そのまま笑い出して、

やがて
そのまま。すぐに。
原文
「今日けふは係助区別術ずちなしク終止。右大臣うだいじんに格助対象任せサ下二連用申す補・サ四終止謙→道真。」と格助引用だに副助類推言ひやりラ四連用給は補・ハ四未然尊→時平ざり打消連用けれ過去已然ば接助順接確定、

現代語訳「今日はどうにもならない。右大臣にお任せ申す。」とさえ最後まで言うことがおできにならなかったので、

術(ずち)なし
どうしようもない。
言ひやる
最後まで言う。
解説

時平は笑いが止まらず、「あとは右大臣に任せる」とさえ言い終えられないほど、政務ができなくなった。「申す」は時平から道真への敬意。

原文
それ代名に格助原因こそ係助強意菅原の大臣すがはらのおとど、御心みこころの格助体修ままに格助状態まつりごちタ四連用給ひ補・ハ四連用尊→道真けれ過去已然。

現代語訳そのおかげで、菅原の大臣(道真)は、お考えのとおりに政治をお執りになった。

解説

「それ」は、時平が笑い出して政務ができなくなったこと。そのおかげで、道真は思いどおりに政治を行うことができた。

雷神となった道真と時平

原文
また接、北野きたのの格助主格、神に格助変化ならラ四未然せ尊敬連用給ひ補・ハ四連用尊→道真て接助単純接続、いと副恐ろしくシク連用神鳴りひらめきカ四連用、清涼殿せいりやうでんに格助場所落ちかかりラ四連用ぬ強意終止と格助引用見えヤ下二連用ける過去連体が接助単純接続、

現代語訳また、北野(道真)が亡くなって雷神となられ、ものすごく恐ろしい雷鳴と稲光で、清涼殿に今にも落ちかかろうとするように見えたときに、

解説

「北野の、神にならせ給ひて」は、大宰府で亡くなった道真が、雷神になったということ。

「落ちかかりぬ」の「ぬ」は強意で、今にも落ちかかりそうなほどだった、ということ。

原文
本院の大臣ほんゐんのおとど、太刀たちを格助対象抜きさけカ下二連用て接助単純接続、「生きカ上二連用て接助単純接続も係助類例、わ代名が格助体修次つぎに格助場所こそ係助強意ものしサ変連用給ひ補・ハ四連用尊→道真しか過去已然。

現代語訳本院の大臣(時平)は、太刀を抜き放って、「生きていたときも、私の次の地位にいらっしゃった。

抜きさく
抜き放つ。
解説

「わが次にこそものし給ひしか」は、生きていたときも、道真は右大臣で、左大臣の時平より下の地位だった、ということ。

原文
今日けふ、神と格助変化なりラ四連用給へ補・ハ四已然尊→道真り存続終止とも接助逆接仮定、こ代名の格助体修世よに格助場所は係助区別、我われ代名に格助対象所置ところおきカ四連用給ふ補・ハ四終止尊→道真べし当然終止。いかで副か係助反語さらラ変未然で接助打消接続は係助区別あるラ変連体べき当然連体ぞ終助念押し。」と格助引用

現代語訳今日、雷神になっておいでだとしても、この世では私に対して一歩引いて遠慮なさるべきだ。そうしないですむはずがあろうか。」と、

所置く
遠慮する。
解説

「さらでは」の「さ」は、「(神になったとしても)この世では私に遠慮するべきだ」ということ。「いかでか…べき」は反語で、遠慮しないでいてよいはずがない、という意味。

原文
にらみやりラ四連用て接助単純接続のたまひハ四連用尊→時平ける過去連体。一度ひとたびは係助区別しづまらラ四未然せ尊敬連用給へ補・ハ四已然尊→道真り完了連用けり過去終止と格助引用ぞ係助強意、世人よひと申しサ四連用丁→聞き手侍り補・ラ変連用丁→聞き手し過去連体。

現代語訳(空のほうを)にらみつけておっしゃった。(すると雷も)いったんはお静まりになったと、世の人は申しておりました。

解説

時平が空をにらみつけて言うと、雷神は一度は鎮まった、と世間の人々は言っていた。

原文
されど接、それ代名は係助強意、か代名の格助体修大臣おとどの格助主格いみじうシク連用・音おはする補・サ変連体尊→時平に断定連用は係助強意あら補・ラ変未然ず打消連用、

現代語訳けれども、それは、あの大臣(時平)がすぐれていらっしゃったからではなく、

解説

「それ」は、時平がにらみつけて言うと、雷神が一度は鎮まったこと。

原文
王威わうゐの格助主格限りなくク連用おはします補・サ四連体尊→帝に格助対象よりラ四連用て接助単純接続、理非りひを格助対象示さサ四未然せ尊敬連用給へ補・ハ四已然尊→道真る完了連体なり断定終止。

現代語訳帝のご威光が限りなく大きくていらっしゃるために、(道真の霊が)道理にかなうかどうかのけじめをお示しになったのだ。

王威(おうい)
天皇の威光。
理非
道理にかなうことと、はずれること。
解説

「理非を示させ給へる」の主語は雷神の道真。雷神が鎮まったのは時平が立派だったからではない。天皇の威光が大きいので、道真の霊が、官位の上下という秩序を重んじて身を引いてみせたのだ、と語り手は述べている。

『大鏡』のほかの話:道真左遷① / 道長の豪胆(肝試し) / 弓争ひ / 花山天皇の出家① / 三舟の才 / 鶯宿梅

テスト予想問題

A 読み・語句

  1. 次の語の読みを現代仮名遣いで答えよ。
    ①過差
    ②小蔀
    ③御気色
    ④職事
    ⑤御簾
    ⑥文刺

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    ①かさ
    ②こじとみ
    ③みけしき
    ④しきじ
    ⑤みす
    ⑥ふばさみ

  2. 次の語の意味を答えよ。
    ①大和魂(ここでは)
    ②便なし
    ③念ず
    ④せちなり
    ⑤術なし
    ⑥構へて
    ⑦所置く

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    ①政治の手腕・実務の才能
    ②不都合だ・けしからぬ
    ③我慢する
    ④ひたすらだ・強引だ
    ⑤どうしようもない
    ⑥必ず・きっと
    ⑦遠慮する

B 文法・敬語

  1. 次の「の」の用法を答えよ。
    ①「延喜の、世間の作法…」の「延喜の」
    ②「御装束の、殊のほかにめでたき」の「御装束の」
    ③「御簾の外にも」の「御簾の」

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    ①主格
    ②同格
    ③連体修飾格

  2. 次の傍線部の助動詞の意味を答えよ。
    ①美麗殊のほかにて参れる(る)
    ②いとあるまじきこと(まじき)
    ③清涼殿に落ちかかりぬ(ぬ)
    ④いかがすべからむ(べから)

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    ①存続
    ②打消当然
    ③強意
    ④可能

  3. ①「内に参り給ひて」と、②「参りて、わななくわななく」の「参り」は、それぞれだれに対する敬意か。また、②の主語を答えよ。③「世の過差は平らぎたりしか」の「しか」が已然形になっているのはどの語の働きによるか。

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    ①帝
    ②時平(主語は職事)
    ③前の「あはせ給はざりしにこそ」の「こそ」(係り結び)

C 現代語訳・内容

  1. 帝が「御気色いと悪しく」なったのはなぜか。また、命令を伝える職事が「わななくわななく」申し上げたのはなぜか。

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    帝=世のぜいたくを正そうとしているときに、最高位の左大臣である時平が、格別に華やかな装束で参内しているのを見たから。/職事=厳しい命令を伝える相手が、自分よりはるかに地位の高い左大臣だったから。

  2. 「人などの参るにも、『勘当の重ければ。』とて、あはせ給はざりし」を現代語訳せよ。また、「帝と御心あはせさせ給へりける」とはどういうことか。

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    訳=人などが訪ねて来ても、「おとがめが重いので。」と言ってお会いにならなかった。/内容=時平が華やかな装束で参内して帝にとがめられ謹慎したのは、左大臣でさえ罰を受けるという例を見せて世のぜいたくをやめさせるための、帝と時平が打ち合わせた芝居だったということ。

  3. 「この大臣のし給ふことなれば、不便なりと見れど、いかがすべからむ」を現代語訳せよ。また、これはだれが、どのようなことを嘆いた言葉か。

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    訳=この大臣のなさることだから、よくないと思っても、どうにもできないではないか。/道真が、時平の道理にはずれたやり方を、身分の高い時平のすることなので止められないと嘆いた。

  4. ①「かの御こと」がさす内容を本文中から抜き出せ。②史が「いと高やかに鳴らして侍りける」のは何のためか。③「大臣文もえ取らず、手わななきて、やがて笑ひて」を現代語訳せよ。④「御心のままにまつりごち給ひけれ」の主語を答えよ。

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    ①非道なること
    ②時平を笑わせて、その政務(非道なこと)を止めさせるため。③大臣(時平)は文書も受け取れず、手がぶるぶるして、すぐに笑いだして、
    ④菅原の大臣(道真)

  5. 「生きても、わが次にこそものし給ひしか。」「今日、神となり給へりとも、この世には、我に所置き給ふべし。」を現代語訳せよ。また、「さらでは」の「さ」がさす内容を答えよ。

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    訳=(あなたは)生前も、私より下の位でいらっしゃった。たとえ今日雷神になっておいでだとしても、この世では私に遠慮なさるべきだ。/「さ」=(神になったとしても)この世では時平に遠慮するべきだということ。

  6. 「それは、かの大臣の…理非を示させ給へるなり」について、①「それ」は何をさすか。②「示させ給へる」の主語はだれか。③語り手は何を言おうとしているのか、説明せよ。

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    ①時平がにらみつけて言うと、雷神が一度は鎮まったこと。②雷神となった道真
    ③雷神が静まったのは時平が偉かったからではない。帝の威光が大きいので、道真の霊が官位の上下のけじめを守ってみせたのだということ。