『徒然草』今日はそのことをなさんと思へど 現代語訳・品詞分解・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. 一日のことも思いどおりにならない
  4. 一年も一生も同じ
  5. 「不定」と心得る
  6. テスト予想問題

『徒然草(つれづれぐさ)』第百八十九段「今日はそのことをなさんと思へど」の現代語訳・品詞分解・解説です。

今日はあれをしようと思っても、別の用事が出てきて一日が終わってしまう。待っている人は来ないのに、あてにしていない人は来る――。兼好は、一日も一年も一生も予定どおりにはいかないと述べ、「不定」と心得ることだけが確かだと結びます。対になる語句、「頼めぬ」と「頼みたる」の違い、「かく」「しか」の指す内容がよく問われます。

原文の読み方

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現代語訳・品詞分解・解説

一日のことも思いどおりにならない

原文
今日は係助提示そ代名の格助体修ことを格助対象なさサ四未然ん意志終止と格助引用思へハ四已然ど接助逆接確定、あらぬ連体急ぎまづ副出で来いできカ変連用て接助単純接続まぎれラ下二連用暮らしサ四連用、

現代語訳今日はそのことをしようと思っても、ほかの急用が先にできて、それに取りまぎれて日を暮らしてしまい、

あらぬ
別の。ほかの。
急ぎ
急な用事。
まぎる
(ほかのことに)取りまぎれる。
解説

「そのこと」は、今日しようと思っていたこと。

原文
待つタ四連体人は係助対比障さはりありラ変連用て接助単純接続、頼めマ下二未然ぬ打消連体人は係助対比来きカ変連用たり完了連用、

現代語訳待っている人は差し支えがあって(来ず)、あてにさせなかった人はやって来るし、

障り
差し支え。都合の悪いこと。
頼む(下二段)
あてにさせる。
解説

「頼めぬ人」は、来るとあてにさせなかった人。つまり、来るとは思っていなかった人のこと。「待つ人」と対になっている。

原文
頼みマ四連用たる存続連体方かたの格助体修ことは係助対比違ひハ四連用て接助単純接続、思ひよらラ四未然ぬ打消連体道ばかり副助限定は係助対比かなひハ四連用ぬ完了終止。

現代語訳あてにしていた方面のことはうまくいかず、思いもよらなかった方面のことだけがうまくいってしまう。

頼む(四段)
あてにする。
違ふ
食い違う。予定と外れる。
かなふ
思いどおりになる。
解説

「頼み」は「あてにする」。前の「頼めぬ人は来たり」の「頼め」(「あてにさせる」)との意味の違いに注意。

「頼みたる方」と「思ひよらぬ道」、「違ひ」と「かなひ」が対になっている。

原文
わづらはしかりシク連用つる完了連体ことは係助対比ことなくク連用て接助単純接続、やすかるク連体べき当然連体ことは係助対比いと副心苦しシク終止。

現代語訳面倒だと思っていたことは何事もなくすみ、たやすいはずのことはひどく気がかりだ。

わづらはし
面倒だ。
ことなし
何事もない。無事だ。
やすし
たやすい。
心苦し
気がかりだ。
解説

「わづらはしかり」と「やすかる」、「ことなく」と「心苦し」が対になっている。面倒だと思ったことは無事にすみ、たやすいはずのことが気がかりになる、という逆転を言っている。

一年も一生も同じ

原文
日々に格助時間過ぎ行くカ四連体さま、かねて副思ひハ四連用つる完了連体に格助対象は係助強意似ナ上一未然ず打消終止。

現代語訳毎日が過ぎていく様子は、前もって思っていたのとは違っている。

かねて
前もって。
解説

「似ず」は、前もって思っていたのとは違う、ということ。

原文
一年ひととせの格助体修中うちも係助並列かく副の格助体修ごとし比況終止。一生の格助体修間あひだも係助並列また副しか副なり断定終止。

現代語訳一年の間もこのとおりだ。一生の間もまたそうである。

解説

「かく」「しか」は、どちらも前の内容を指す副詞。前もって思っていたとおりにはならないということを指している。

一日のことから、「一年」、さらに「一生」へと話を広げている。

「不定」と心得る

原文
かねて副の格助体修あらまし、みな副違ひ行くカ四連体か係助疑問と格助引用思ふハ四連体に接助単純接続、おのづから副違はハ四未然ぬ打消連体ことも係助添加あれラ変已然ば接助順接確定、いよいよ副ものは係助提示定めがたしク終止。

現代語訳前々からの予定は、みな外れていくものかと思うと、たまに外れずにすむこともあるので、いよいよ物事は前もって決められない。

あらまし
予定。こうしようという計画。
おのづから
たまたま。偶然に。
定めがたし
決めにくい。予測しにくい。
解説

予定はすべて外れると決めつけることもできない。たまたま外れないこともあるので、ますます予測できない、ということ。

原文
不定ふぢやうと格助引用心得こころえア下二連用ぬる完了連体のみ副助限定、まことに断定連用て接助単純接続違はハ四未然ず打消終止。

現代語訳(物事は)定まらないものだとわきまえることだけが、本当のことで外れがない。

不定(ふぢやう)
定まらないこと。物事が確かでないこと。
心得
理解する。わきまえる。
解説

この段の結論。物事はどうなるか定まらないと心得ることだけが、ただ一つ確かなことだと述べている。

『徒然草』のほかの段:花は盛りに① / 家居のつきづきしく / 名を聞くより / 世に語り伝ふること / あだし野の露消ゆる時なく / ある人、弓射ることを習ふに

テスト予想問題

A 読み・語句

  1. 次の語の読みを現代仮名遣いで答えよ。
    ①出で来て
    ②障り
    ③一年
    ④不定

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    ①いできて
    ②さわり
    ③ひととせ
    ④ふじょう

  2. 本文中で使われている意味を、次の語それぞれについて答えよ。
    ①あらぬ
    ②急ぎ
    ③ことなし
    ④やすし
    ⑤心苦し
    ⑥あらまし
    ⑦おのづから

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    ①別の・ほかの
    ②急な用事
    ③何事もない・無事だ
    ④たやすい
    ⑤気がかりだ
    ⑥予定・計画
    ⑦たまたま・偶然に

B 文法

  1. 「頼めぬ人は来たり」の「頼め」と、「頼みたる方のこと」の「頼み」の意味の違いがわかるように、それぞれの部分を現代語訳せよ。

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    頼めぬ人は来たり=(来ると)あてにさせなかった人はやって来る。(「頼め」は下二段活用で、あてにさせる)
    頼みたる方のこと=あてにしていた方面のこと。(「頼み」は四段活用で、あてにする)

  2. 次の【 】の助動詞の意味と活用形を答えよ。
    ①なさ【ん】と思へど
    ②頼み【たる】方
    ③思ひよら【ぬ】道
    ④かなひ【ぬ】
    ⑤わづらはしかり【つる】こと
    ⑥かくの【ごとし】

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    ①意志・終止形
    ②存続・連体形
    ③打消・連体形
    ④完了・終止形
    ⑤完了・連体形
    ⑥比況・終止形

C 現代語訳・内容

  1. 「今日はそのことをなさんと思へど、あらぬ急ぎまづ出で来てまぎれ暮らし」を現代語訳せよ。

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    今日はそのことをしようと思っても、ほかの急用が先にできて、それに取りまぎれて日を暮らしてしまい

  2. 「わづらはしかりつることはことなくて、やすかるべきことはいと心苦し。」を現代語訳せよ。また、この文で対になっている語を二組答えよ。

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    訳=面倒だと思っていたことは何事もなくすみ、たやすいはずのことはひどく気がかりだ。
    対=「わづらはし」と「やすし」、「ことなし」と「心苦し」

  3. 「一年の中もかくのごとし」の「かく」は、どのようなことを指すか。三十字以内で説明せよ。

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    物事が、前もって思っていたとおりにはならないということ。(25字)

  4. 「おのづから違はぬこともあれば、いよいよものは定めがたし」を現代語訳せよ。また、「いよいよ」とあるのはなぜか、説明せよ。

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    訳=たまに外れずにすむこともあるので、いよいよ物事は前もって決められない。
    説明=予定がすべて外れるのなら、外れるものだと決めることもできるが、たまに予定どおりになることもあるので、どうなるかがいっそう予測できなくなるから。

  5. 「不定と心得ぬるのみ、まことにて違はず。」を現代語訳せよ。また、この一文は文章全体の中でどのような役割をしているか。

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    訳=(物事は)定まらないものだとわきまえることだけが、本当のことで外れがない。
    役割=それまでの具体例をまとめた、筆者の最も言いたいこと(結論)を述べている。