『方丈記』養和の飢饉 現代語訳・品詞分解・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. 一年目の飢饉
  4. 二年目の飢饉と疫病
  5. 薪として売られる仏像
  6. 愛する者に食べ物を譲る人々
  7. 隆暁法印と死者の数
  8. テスト予想問題

『方丈記(ほうじょうき)』「養和の飢饉(ようわのききん)」の現代語訳・品詞分解・解説です。

日照り・大風・洪水が続いて作物が実らず、翌年には疫病まで加わった大飢饉のありさまを、鴨長明が記録した場面です。食べ物を求めてさまよい倒れる人々、道ばたにあふれる死体、薪として売られる仏像、そして愛する者に食べ物を譲って先に死んでいく人々。何をたとえた表現か、指示語の内容、二つの「あやし」の意味の違いがよく問われます。

原文の読み方

原文の一語一語に、活用や助動詞・助詞の意味を示しています。緑の下線は敬語です。下のボタンで、用言・助動詞・助詞などのラベルを別々に出したり消したりできます。ラベルを押すと古典文法一覧の説明に飛びます。

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現代語訳・品詞分解・解説

一年目の飢饉

原文
また接養和やうわの格助体修ころと格助引用か係助疑問、久しくシク連用なりラ四連用て接助単純接続おぼえヤ下二未然ず打消終止。

現代語訳また、養和のころだったか、ずいぶん昔のことになってはっきりとは覚えていない。

養和
平安時代末期の年号。
解説

「とか」の下には「言ふ」などが省略されている。年月がたってはっきり覚えていない、という言い方。

原文
二年ふたとせが格助体修間あひだ、世の格助体修中飢渇けかつしサ変連用て接助単純接続、あさましきシク連体こと侍はべりラ変連用丁→読者き過去終止。

現代語訳二年の間、世の中は食べ物がなくなって、なんとも言いようのないひどいことがありました。

飢渇
飢饉で食べ物がなくなること。
あさまし
(あきれるほど)ひどい。なんとも言いようがない。
解説

「侍り」は「あり」の丁寧語で、作者から読者への敬意。

原文
あるいは春・夏、日照ひでり、あるいは秋、大風・洪水など副助例示、よからク未然ぬ打消連体ことどもうち続きカ四連用て接助単純接続、五穀ごこくことごとく副生ならラ四未然ず打消終止。

現代語訳ある年は春から夏に日照りが続き、ある年は秋に大風や洪水が起こるなど、よくないことが続いて、穀物はまったく実らなかった。

五穀
主要な穀物。
解説

「あるいは〜、あるいは〜」は対句。

原文
夏植うるワ下二連体営みありラ変連用て接助単純接続、秋刈りラ四連用、冬収むるマ下二連体そめきは係助強意なしク終止。

現代語訳夏に苗を植える仕事はしても、秋に刈り取り、冬に蔵に収めるにぎわいはない。

そめき
にぎわい。
解説

田植えはしても、秋の収穫や冬の取り入れのにぎわいはない、ということ。

原文
これ代名に格助対象よりラ四連用て接助単純接続国々の格助体修民、あるいは地を格助対象捨てタ下二連用て接助単純接続境さかひを格助起点出でダ下二連用、あるいは家を格助対象忘れラ下二連用て接助単純接続山に格助場所住むマ四終止。

現代語訳このために、諸国の農民たちは、ある者は土地を捨てて国境を越えて出て行き、ある者は家を捨てて山に住む。

境
国境。
解説

「これ」は、凶作で飢饉になったこと(飢渇)を指す。

原文
さまざまの格助体修御祈おんいのり始まりラ四連用て接助単純接続、なべて副なら断定未然ぬ打消連体法ほふども行おこなはハ四未然るれ受身已然ど接助逆接確定、さらさら副そ代名の格助体修験しるしなしク終止。

現代語訳(朝廷の)さまざまなご祈祷が始まり、特別な修法も行われたが、少しも効き目は現れない。

なべてならぬ
並々でない。格別念入りの。
験
効き目。
さらさら〜打消
まったく〜ない。
解説

「御祈り」に「御」が付くのは、朝廷の命令で行われた祈祷だから。

原文
京の格助体修ならひ、何なにわざに格助対象つけカ下二連用て接助単純接続も係助強意、みな、もとは係助区別田舎ゐなかを格助対象こそ係助強意頼めマ四已然る存続連体に接助逆接確定、

現代語訳都の暮らしというものは、何事につけても、みな、もとは田舎を頼りにしているのに、

解説

都の暮らしは、食べ物をはじめ何もかも、もとは地方(田舎)からの物資にたよっている、ということ。

「こそ」の結びは「頼める」となるはずだが、下に「に」が続いて文が終わらず、結びが流れている。

原文
絶たえて副上のぼるラ四連体ものなけれク已然ば接助順接確定、さ副のみ副助限定やは係助反語操みさをも係助強意作りラ四連用あへハ下二未然ん推量連体。

現代語訳地方からの品がぱったり届かなくなったので、いつまでも何食わぬ顔でいられようか、いや、いられない。

操
ふだんどおりの態度。平静さ。
解説

「さのみやは操も作りあへん」は反語。「そういつまでも平気なふりをしていられようか、いや、いられない」。平静を保てなくなったのは都の人々。

原文
念ねんじわびバ上二連用つつ接助反復、さまざまの格助体修財物ざいもつかたはしより格助起点捨つるタ下二連体が格助体修ごとく比況連用すれサ変已然ども接助逆接確定、さらに副目見立みたつるタ下二連体人なしク終止。

現代語訳がまんできなくなって、いろいろな財宝を手当たりしだいに投げ売りするようにしても、見向きもする人がいない。

念じわぶ
がまんしきれなくなる。
見立つ
目をとめる。
さらに〜打消
まったく〜ない。
解説

「捨つるがごとくすれども」は、食べ物を得るために、自分の財宝を捨てるような安い値段で売ろうとするということ。

原文
たまたま副換かふるハ下二連体者は係助区別、金こがねを格助対象軽くク連用しサ変連用、粟ぞくを格助対象重くク連用すサ変終止。乞食こつじき、道の格助体修ほとりに格助場所多くク連用、憂うれへハ下二連用悲しむマ四連体声耳に格助対象満てタ四已然り完了終止。

現代語訳たまに交換する者は、金を安く見て、穀物を大事にする。物ごいが道ばたに多く、嘆き悲しむ声が耳にいっぱいに聞こえる。

粟
穀物。
乞食
物ごい。
解説

「金を軽くし、粟を重くす」は、食べ物が手に入らないため、ふだんは価値の高い金よりも、穀物のほうが大事にされるということ。

二年目の飢饉と疫病

原文
前の格助体修年、かく副の格助体修ごとく比況連用からうじて副暮れラ下二連用ぬ完了終止。

現代語訳前の年は、このようにしてやっとのことで暮れた。

からうじて
やっとのことで。
原文
明くるカ下二連体年は係助区別立ち直るラ四終止べき推量連体か係助疑問と格助引用思ふハ四連体ほどに格助時間、あまりさへ副疫癘えきれいうち添ひハ四連用て接助単純接続、まさざまにナリ連用跡形あとかたなしク終止。

現代語訳翌年は(世の中が)立ち直るだろうかと思っていたところ、そのうえ疫病まで加わって、いっそうひどくなり、元の姿はあとかたもない。

あまりさへ
そればかりか。そのうえ。
疫癘
流行病。疫病。
まさざまなり
いっそうひどい。
解説

二年目は、前の年の飢饉に疫病が加わって、さらにひどくなった。

原文
世の格助体修人みな副けいしサ変連用ぬれ完了已然ば接助順接確定、日を格助時間経へハ下二連用つつ接助継続窮きはまりゆくカ四連体さま、少水せうすいの格助体修魚うをの格助体修たとへに格助資格かなへハ四已然り存続終止。

現代語訳世の人がみな飢え疲れてしまったので、日がたつにつれて行き詰まっていくようすは、「少ない水の中の魚」というたとえにぴったりあてはまる。

けいす
飢え疲れる。
解説

「少水の魚」は、わずかな水の中であえぐ魚。食べ物が日ごとに尽きていき、今にも死にそうな人々のようすをたとえている。

原文
果てに格助結果は係助強意、笠うち着カ上一連用、足引き包みマ四連用、よろしきシク連体姿しサ変連用たる存続連体者、ひたすらにナリ連用家ごとに格助場所乞ひ歩こひありくカ四終止。

現代語訳しまいには、笠をかぶり、足を包んで、それなりの身なりをした者が、ひたすら家ごとに(食べ物を)乞い歩く。

よろし
悪くない。それなりだ。
解説

「よろしき姿したる者」は、それなりの身なりをした、物ごいをするようには見えない身分の人。そうした人までが家ごとに食べ物を乞い歩いている。

原文
かく副わびしれラ下二連用たる完了連体者どもの格助主格、歩ありくカ四終止か係助疑問と格助引用見れマ上一已然ば接助順接確定、すなはち副倒れ伏たふれふしサ四連用ぬ完了終止。

現代語訳このように困り果てて正気をなくした者たちが、歩いているかと見ていると、すぐに倒れ伏してしまう。

わびしる
困り果てて正気をなくす。
すなはち
すぐに。
原文
築地ついひぢの格助体修つら、道の格助体修ほとりに格助場所飢ゑワ下二連用死ぬるナ変連体者の格助体修たぐひ、数も係助強意知らラ四未然ず打消終止。

現代語訳土塀のわきや道ばたに、飢え死にした者のたぐいは、数えきれない。

築地
土塀。
つら
そば。
原文
取り捨つるタ下二連体わざも係助強意知らラ四未然ね打消已然ば接助順接確定、臭きク連体香か、世界に格助場所満ち満ちタ四連用て接助単純接続、変はりゆくカ四連体かたちありさま、目も係助強意当てタ下二未然られ可能未然ぬ打消連体こと多かりク終止。

現代語訳(死体を)片づける方法もわからないので、腐ったにおいがあたり一面に満ちて、腐って変わっていく顔や姿のありさまは、目も当てられないことが多い。

解説

「変はりゆくかたちありさま」は、片づけられずに腐っていく死体のようす。

原文
いはんや副、河原など副助例示に格助場所は係助強意、馬・車の格助主格行き交ふハ四連体道だに副助類推なしク終止。

現代語訳まして、鴨川の河原などには、(死体が多くて)馬や車が行き来する道さえない。

いはんや
まして。
だに
〜さえ。
解説

「河原」は鴨川の河原。死体が多くて、馬や車の通る道さえない。

薪として売られる仏像

原文
あやしきシク連体賤しづ、山やまがつも係助並列力尽きカ上二連用て接助単純接続、薪たきぎさへ副助添加乏しくシク連用なりゆけカ四已然ば接助順接確定、

現代語訳身分の低い者や山で働く人も力尽きて、(食べ物ばかりか)薪までもが乏しくなっていくので、

あやし
ここでは「身分が低い」。
賤
身分の低い者。
山がつ
山で働く人。きこりなど。
さへ
〜までも。
解説

食べ物ばかりか、薪までも乏しくなった、ということ。

原文
頼むマ四連体かたなきク連体人は係助区別、自みづからが格助体修家を格助対象こぼちタ四連用て接助単純接続、市に格助場所出でダ下二連用て接助単純接続売るラ四終止。

現代語訳頼るあてのない人は、自分の家を壊して、(その木材を薪として)市に出て売る。

こぼつ
壊す。
解説

「頼むかたなき人」は、頼るあてのない人。家を壊して、その木を薪として売っている。

原文
一人が格助主格持ちタ四連用て接助単純接続出でダ下二連用たる完了連体価あたひ、一日が格助体修命に格助対象だに副助類推及ばバ四未然ず打消終止と格助引用ぞ係助強意。

現代語訳一人が持ち出した(薪の)売値は、その日一日を生きのびる(食べ物の)分にも足りないという話だ。

解説

「価」は、一人が市に持ち出して売った薪の値段。

「一日が命にだに及ばず」は、その日一日を生きのびるだけの食べ物さえ買えないということ。

「とぞ」の下には「言ふ」などが省略されている。

原文
あやしきシク連体ことは係助区別、薪の格助体修中に格助場所、赤きク連体丹につきカ四連用、箔はくなど副助例示所々に格助場所見ゆるヤ下二連体木、あひまじはりラ四連用ける過去連体を格助対象尋ぬれナ下二已然ば接助順接確定、

現代語訳不思議なことには、薪の中に、赤い丹がつき、金箔などがところどころに見える木が混じっていたので、調べてみると、

あやし
ここでは「不思議だ」。「あやしき賤、山がつも力尽きて」の「あやしき賤」の「あやし」(身分が低い)との違いに注意。
丹
赤い顔料。
箔
金箔。
解説

「あやしきこと」は、薪の中に、丹や箔のついた木が混じっていたこと。

原文
すサ変終止べき可能連体かたなきク連体者、古寺ふるでらに格助場所至りラ四連用て接助単純接続仏を格助対象盗みマ四連用、堂の格助体修物の具もののぐを格助対象破り取りラ四連用て接助単純接続、割り砕けカ四已然る完了連体なり断定連用けり詠嘆終止。

現代語訳困り果てた者が、古い寺から仏像を盗み出し、堂の仏具をはぎ取って、それを割って砕いたものだったのだ。

物の具
仏具。
解説

丹や箔のついた木は、困り果てた者が古寺から盗み、割り砕いた仏像や仏具だった。

「なりけり」の「けり」は、調べてみてはじめて気づいた驚きを表す。

原文
濁悪世ぢよくあくせに格助場所しも副助強意生まれ合ひハ四連用て接助単純接続、かかるラ変連体心憂きク連体わざを格助対象なん係助強意見マ上一連用侍はべり補・ラ変連用丁→読者し過去連体。

現代語訳(仏法の衰えた)けがれと悪に満ちた世に生まれ合わせて、このような情けない行いを見てしまいました。

濁悪世
仏の教えが衰え、けがれと悪に満ちた世。
心憂し
情けない。
解説

「かかる心憂きわざ」は、古寺の仏像や仏具を盗んで割り砕き、薪として売ること。

人々の心のよりどころであるはずの仏までが薪にされるのを見て、このような世に生まれ合わせたことを嘆いている。

「見侍りし」の「し」は、作者が自分で見たことを表す過去の助動詞「き」の連体形(「なん」の結び)。「侍り」は作者から読者への敬意。

愛する者に食べ物を譲る人々

原文
いと副あはれなるナリ連体ことも係助並列侍はべりラ変連用丁→読者き過去終止。

現代語訳たいへん胸を打たれることもありました。

あはれなり
しみじみと心を打たれる。
解説

「いとあはれなること」の内容は、このあとの「去りがたき妻・夫〜臥せるなどもありけり」。

原文
去りがたきク連体妻・夫持ちタ四連用たる存続連体者は係助区別、そ代名の格助体修思ひまさりラ四連用て接助単純接続深きク連体者、必ず副先立ちタ四連用て接助単純接続死ぬナ変終止。

現代語訳離れがたい妻や夫を持っている者は、相手を思う気持ちがより深いほうが、必ず先に死ぬ。

去りがたし
離れがたい。
解説

相手を思う気持ちが深いほうが先に死ぬ。理由は次の文に書かれている。

原文
そ代名の格助体修ゆゑは係助区別、わ代名が格助体修身は係助強意次に格助対象しサ変連用て接助単純接続人を格助対象いたはしくシク連用思ふハ四連体間あひだに格助原因、まれまれ副得えア下二連用たる完了連体食ひ物を格助対象も係助強意彼かれ代名に格助対象譲るラ四連体に格助対象よりラ四連用て接助単純接続なり断定終止。

現代語訳その理由は、自分のことは後回しにして相手を気の毒に思うので、たまたま手に入れた食べ物も、相手に譲るからである。

いたはし
気の毒だ。大切に思う。
まれまれ
たまに。
解説

「彼」は、大切に思う相手(夫にとっての妻、妻にとっての夫)。

自分のことは後回しにして、まれに手に入れた食べ物も相手に譲ってしまうから、先に死ぬのである。

原文
されば接、親子あるラ変連体者は係助区別定まれラ四已然る存続連体ことに断定連用て接助単純接続、親ぞ係助強意先立ちタ四連用ける過去連体。

現代語訳だから、親子である者は、決まりきったことで、親のほうが先に死んだ。

されば
だから。
解説

「定まれること」は、決まりきったこと。親は自分よりも子どもを優先するので、必ず親のほうが先に死んだ。

原文
また接、母の格助体修命尽きカ上二連用たる完了連体を格助対象知らラ四未然ず打消連用して接助単純接続、いとけなきク連体子の格助主格、なほ副乳ちを格助対象吸ひハ四連用つつ接助並行、臥ふせサ四已然る存続連体など副助例示も係助添加ありラ変連用けり過去終止。

現代語訳また、母親がすでに死んでいるのも知らずに、幼い子が、まだその乳房に吸いついたまま寝ていることもあった。

いとけなし
幼い。

隆暁法印と死者の数

原文
仁和寺にんなじに格助場所、隆暁法印と格助引用いふハ四連体人、かく副しサ変連用つつ接助反復数も係助強意知らラ四未然ず打消連用死ぬるナ変連体ことを格助対象悲しみマ四連用て接助単純接続、

現代語訳仁和寺にいた隆暁法印という人は、こうして数えきれないほどの人が死んでいくのを悲しんで、

仁和寺
京都にある寺。
原文
そ代名の格助体修首かうべの格助主格見ゆるヤ下二連体ごとに格助時間、額ひたひに格助場所阿字あじを格助対象書きカ四連用て接助単純接続、縁を格助対象結ばバ四未然しむる使役連体わざを格助対象なん係助強意せサ変未然られ尊敬連用尊→隆暁法印ける過去連体。

現代語訳死人の頭が見えるたびに、額に「阿」の字を書いて、仏と縁を結ばせることをなさった。

阿字
梵字の「阿」の字。
解説

額に阿字を書いて「縁を結ばしむる」は、死者を仏と縁を結ばせて、成仏させるため。

「せられける」の「られ」は尊敬で、作者から隆暁法印への敬意。「けり」が使われているので、この話は作者が直接見たのではなく、人から伝え聞いたことだとわかる。

原文
人数ひとかずを格助対象知らラ四未然ん意志終止と格助引用て接助単純接続、四、五両月を格助対象数へハ下二連用たり完了連用けれ過去已然ば接助順接確定、

現代語訳(死者の)数を知ろうとして、四月・五月の二か月間数えたところ、

原文
京の格助体修うち、一条いちでうより格助起点は係助区別南、九条くでうより格助起点北、京極きやうごくより格助起点は係助区別西、朱雀すざくより格助起点は係助区別東の格助体修、

現代語訳都の中の、一条大路より南、九条大路より北、京極大路より西、朱雀大路より東の(地域の)、

解説

一条・九条・京極・朱雀は、どれも都の大路の名。朱雀大路より東なので、都の東半分の区域にあたる。

原文
道の格助体修ほとりなる存在連体頭かしら、すべて副四万二千三百余りなん係助強意ありラ変連用ける過去連体。

現代語訳道ばたにある死人の頭は、全部で四万二千三百あまりもあった。

解説

「頭」は死人の頭。都の一部の区域の、しかも二か月間だけで、四万二千三百あまりの死者がいた。

原文
いはんや副そ代名の格助体修前後ぜんごに格助時間死ぬるナ変連体者多くク連用、

現代語訳まして、その前後に死んだ者も多く、

原文
また接、河原、白河しらかは、西の京にしのきやう、もろもろの格助体修辺地へんぢなど副助例示を格助対象加へハ下二連用て接助単純接続いはハ四未然ば接助順接仮定、際限さいげんも係助強意あるラ変連体べから推量未然ず打消終止。

現代語訳また、鴨川の河原、白河、西の京、そのほか都のまわりの土地などを加えて言うならば、限りもないだろう。

辺地
都のまわりの土地。
際限
限り。
原文
いかに副いはんや副七道諸国しちだうしよこくを間助詠嘆や間助詠嘆。

現代語訳まして、全国ではどれほどであろうか。

七道諸国
都とその周辺(畿内)を除く日本全国。
解説

「いかにいはんや〜をや」は、「まして〜はなおさらだ」。下に「言はん」などが省略されている。飢饉の被害が、全国では数えきれないほどであったことを言っている。

テスト予想問題

A 読み・語句

  1. 次の語の読みを現代仮名遣いで答えよ。
    ①飢渇
    ②疫癘
    ③築地
    ④濁悪世
    ⑤仁和寺
    ⑥七道諸国

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    ①けかつ
    ②えきれい
    ③ついじ
    ④じょくあくせ
    ⑤にんなじ
    ⑥しちどうしょこく

  2. 次の語の本文中での意味を答えよ。
    ①あさまし
    ②なべてならぬ
    ③あまりさへ
    ④わびしる
    ⑤いとけなし

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    ①なんとも言いようがないほどひどい
    ②並々でない・格別念入りの
    ③そのうえ・そればかりか
    ④困り果てて正気をなくす
    ⑤幼い

  3. 「あやしき賤、山がつも力尽きて」と「あやしきことは、薪の中に」の二つの「あやし」の意味を、それぞれ答えよ。

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    あやしき賤=身分が低い あやしきこと=不思議だ

B 文法・現代語訳

  1. 「さまざまの御祈り始まりて、なべてならぬ法ども行はるれど、さらさらその験なし」を現代語訳せよ。また、「御祈り」に「御」が付いているのはなぜか。

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    訳=さまざまなご祈祷が始まり、特別な修法も行われたが、少しも効き目は現れない。 理由=朝廷の命令で行われた祈祷だから。

  2. 「さのみやは操も作りあへん」を現代語訳せよ。また、「やは」の意味と、その結びの語を答えよ。

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    訳=そういつまでも平気なふりをしていられようか、いや、いられない。 やは=反語 結び=ん(推量の助動詞「む」の連体形)

  3. 「一人が持ちて出でたる価、一日が命にだに及ばずとぞ」を、何の「価」かを明らかにして現代語訳せよ。また、「だに」の意味を答えよ。

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    訳=一人が(市に)持ち出した薪の売値は、その日一日を生きのびる食べ物の分にも足りないということだ。 だに=類推(〜さえ)

  4. 「縁を結ばしむるわざをなんせられける」の「しむる」「られ」「ける」の意味を答えよ。また、この「ける」と、「かかる心憂きわざをなん見侍りし」の「し」との使い分けから、どのようなことがわかるか。

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    しむる=使役 られ=尊敬 ける=過去 わかること=隆暁法印の話は作者が人から伝え聞いたことで、仏像が薪にされるのは作者が自分の目で見たことだとわかる。

C 内容

  1. 「さまざまの財物かたはしより捨つるがごとくすれども、さらに目見立つる人なし」「金を軽くし、粟を重くす」とは、都がどのような状況になっていたことを表しているか。

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    田舎からの食べ物が届かなくなり、財宝を捨て値で売ろうとしても買い手がつかず、金よりも穀物のほうが大事にされるほど、食べ物が手に入らなくなっていた状況。

  2. 「日を経つつ窮まりゆくさま、少水の魚のたとへにかなへり」の「少水の魚」は、人々のどのようなありさまを言い表しているか。

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    わずかな水の中であえぐ魚のように、食べ物が日ごとに尽きていき、今にも死にそうになっている状態。

  3. 「かかる心憂きわざ」とは、どのような行いか。また、作者はどのような気持ちで「濁悪世にしも生まれ合ひて」と言っているのか。

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    行い=困り果てた者が古寺の仏像や仏具を盗んで割り砕き、薪として売ること。 気持ち=人の心のよりどころである仏までが薪にされるほど心が荒れた世の中に、生まれ合わせてしまったことを嘆く気持ち。

  4. 「去りがたき妻・夫持ちたる者は、その思ひまさりて深き者、必ず先立ちて死ぬ」とあるが、それはなぜか。

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    自分のことは後回しにして相手を大切に思い、たまに手に入れた食べ物も相手に譲ってしまうから。

  5. 隆暁法印が死者の額に阿字を書いたのは何のためか。また、「いかにいはんや七道諸国をや」を現代語訳せよ。

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    目的=死者を仏と縁を結ばせて、成仏させるため。 訳=まして、全国ではどれほど(の死者)であろうか。