『方丈記』日野山の閑居 現代語訳・品詞分解・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. 晩年の小さな庵
  4. 庵の中のようす
  5. 庵の周りと四季の風物
  6. 気ままな修行の暮らし
  7. 和歌と音楽を楽しむ
  8. テスト予想問題

『方丈記(ほうじょうき)』「日野山の閑居」の現代語訳・品詞分解・解説です。

六十歳を前にした鴨長明は、都を離れ、日野山の奥に一丈四方(方丈)の小さな庵を結びます。いつでも移せる庵のつくり、仏道と和歌・音楽の道具、庵の周りの四季の風物、だれにも気がねしないひとりの暮らしが描かれます。たとえの内容、四季の風物と仏道とのつながり、反語の「か」、助動詞がよく問われます。

原文の読み方

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現代語訳・品詞分解・解説

晩年の小さな庵

原文
ここに接六十むそぢの格助体修露消えがたに格助時間及びバ四連用て接助単純接続、さらに副末葉すゑばの格助体修宿りを格助対象結べバ四已然る完了連体ことありラ変終止。

現代語訳さて、六十歳という露のようにはかない命が消えかかるころになって、新たに残りわずかな人生の住まいを作ったことがある。

六十(むそぢ)
六十歳。
消えがた
消えようとするころ。
末葉の宿り
晩年の住まい。
解説

「露」は、はかない命のたとえ。六十歳になって命が尽きようとするころ、ということ。

「末葉の宿り」は、葉先の露のように今にも消えそうな、はかない住まいということ。

原文
いはば副、旅人の格助主格一夜ひとよの格助体修宿りを格助対象作りラ四連用、老いヤ上二連用たる完了連体蚕かひこの格助主格繭まゆを格助対象営いとなむマ四連体が格助体修ごとし比況終止。

現代語訳たとえて言えば、旅人が一晩だけの宿を作り、年老いた蚕が繭を作るようなものである。

いはば
たとえて言えば。
解説

「旅人の一夜の宿り」は、ほんのわずかな期間だけの住まい。「老いたる蚕の繭」は、年老いた自分が作る人生最後の住まいのたとえ。

「旅人の」の「の」は主格、「一夜の」の「の」は連体修飾格。「蚕の」の「の」も主格。

原文
これ代名を格助対象中ごろの格助体修栖すみかに格助比較比くらぶれバ下二已然ば接助順接確定、また副百分が一ひやくぶんがいちに格助対象及ばバ四未然ず打消終止。

現代語訳これを人生の半ばに住んだ家と比べてみると、やはり百分の一にも足りない。

中ごろ
(人生の)中ほどのころ。
栖(すみか)
住まい。
解説

「これ」は、今の庵のこと。人生の半ばに住んでいた家と比べて、百分の一にも及ばないほど小さい。

原文
とかく副いふハ四連体ほどに格助時間、齢よはひは係助対比歳々に格助時間高くク連用、栖すみかは係助対比折々をりをりに格助時間狭せばしク終止。

現代語訳あれこれ言っているうちに、年齢は年ごとに高くなり、住まいはそのたびに狭くなる。

とかく
あれこれと。
齢(よはひ)
年齢。
折々
そのたびごと。
解説

年をとるほど住まいは狭くなる、と、「齢は〜高く」と「栖は〜狭し」を対句にしている。

原文
そ代名の格助体修家の格助体修ありさま、世の格助体修常に格助対象も係助強意似ナ上一未然ず打消終止。広さは係助対比わづかにナリ連用方丈はうぢやう、高さは係助対比七尺しちしやくが格助体修うちなり断定終止。

現代語訳その家のつくりは、世間一般の家とはまるで違う。広さはたった一丈四方、高さも七尺までである。

方丈
一丈四方。約三メートル四方。
七尺
約二メートル十センチ。
解説

世間ふつうの家と違う点は、このあとの「掛金を掛けたり」までに書かれている。

原文
所を格助対象思ひ定めマ下二未然ざる打消連体が格助体修ゆゑに格助理由、地ちを格助対象占めマ下二連用て接助単純接続造らラ四未然ず打消終止。

現代語訳(住む)場所をここと決めていないので、土地を自分のものとして(家を)建てることはしない。

占む
自分のものとする。
解説

住む場所を決めていないので、土地を自分のものにして家を建てることはしない、ということ。その理由は、あとの「もし心にかなはぬことあらば、やすくほかへ移さんがため」。

原文
土居つちゐを格助対象組みマ四連用、打覆うちおほひを格助対象葺ふきカ四連用て接助単純接続、継ぎ目ごとに格助場所掛金かけがねを格助対象掛けカ下二連用たり存続終止。

現代語訳土台を組み、簡素な屋根をのせ、材木のつなぎ目ごとに掛け金をつけてある。

土居
土台。
打覆(うちおほひ)
簡単な屋根。
解説

継ぎ目ごとに掛金を掛けたのは、すぐにばらして移せるように、組み立てや解体の手間を省くための工夫。

原文
もし副心に格助対象かなはハ四未然ぬ打消連体ことあらラ変未然ば接助順接仮定、やすくク連用ほかへ格助方向移さサ四未然ん意志連体が格助体修ためなり断定終止。

現代語訳もし気に入らないことがあったら、たやすくほかの場所へ移そうと思うためである。

心にかなはぬ
気に入らない。
やすし
たやすい。
解説

「移さん」の目的語は庵。

原文
そ代名の格助体修改め作るラ四連体こと、いくばく副の格助体修煩わづらひか係助反語あるラ変連体。

現代語訳庵を建て直すのに、どれほどの手間がかかろうか、いや、たいした手間ではない。

いくばく
どれほど。
煩ひ
面倒。手間。
解説

「か」は反語。手間などほとんどかからない、ということ。結びは「ある」(連体形)。

原文
積むマ四連体ところわづかにナリ連用二両にりやう、車の格助体修力を格助対象報むくふハ四連体ほかに格助対象は係助提示、さらに副他たの格助体修用途ようどういらラ四未然ず打消終止。

現代語訳車に積めばわずか二台分で、運び賃を払う以外には、何の費用もかからない。

車の力を報ふ
車で運んでもらったお礼(運び賃)を払う。
さらに〜打消
まったく〜ない。
用途(ようどう)
費用。

庵の中のようす

原文
いま副日野山ひのやまの格助体修奥に格助場所跡を格助対象隠しサ四連用て接助単純接続のち、東ひんがしに格助場所三尺余さんじやくあまりの格助体修庇ひさしを格助対象さしサ四連用て接助単純接続、柴しば折りラ四連用くぶるバ下二連体よすがと格助結果すサ変終止。

現代語訳今、日野山の奥に世を逃れて住むようになってから、(庵の)東に三尺あまりの庇を出して、柴を折ってくべる(炊事の)場所とする。

跡を隠す
俗世間を離れて、人里離れた所に隠れ住む。
よすが
都合のよい場所。
解説

「柴折りくぶる」は、柴を折って火にくべること。つまり炊事をすること。

原文
南みなみ、竹の格助体修簀子すのこを格助対象敷きカ四連用、そ代名の格助体修西に格助場所閼伽棚あかだなを格助対象作りラ四連用、

現代語訳南側には竹の簀子を敷いて、その西に閼伽棚をこしらえ、

閼伽棚(あかだな)
仏に供える水や花を置く棚。
原文
北に格助場所寄せサ下二連用て接助単純接続障子しやうじを格助対象へだてタ下二連用て接助単純接続阿弥陀あみだの格助体修絵像ゑざうを格助対象安置しサ変連用、そばに格助場所普賢ふげんを格助対象画かきカ四連用、前に格助場所法華経ほけきやうを格助対象置けカ四已然り存続終止。

現代語訳(室内の)北側に寄せ、衝立で仕切って阿弥陀仏の絵姿をまつり、かたわらに普賢菩薩の絵を掛け、前には法華経を置いている。

障子
ここでは衝立のこと。
普賢
普賢菩薩。
解説

阿弥陀仏の絵像、普賢菩薩の像、法華経と、仏道修行のための物が置かれている。

原文
東ひんがしの格助体修きはに格助場所蕨わらびの格助体修ほとろを格助対象敷きカ四連用て接助単純接続、夜よるの格助体修床ゆかと格助結果すサ変終止。

現代語訳東の端に、蕨の穂がのびてほうけたものを敷いて、夜の寝床とする。

きは
端。
ほとろ
蕨の穂がのびて、ほうけたもの。
原文
西南にしみなみに格助場所竹の格助体修吊り棚つりだなを格助対象構へハ下二連用て接助単純接続、黒きク連体皮籠かはご三合さんがふを格助対象置けカ四已然り存続終止。

現代語訳西南に竹の吊り棚をこしらえて、黒い皮張りの箱を三つ置いてある。

構ふ
こしらえる。
皮籠
皮張りの箱。
原文
すなはち接、和歌、管弦くわんげん、往生要集わうじやうえうしふごとき例示連体の格助体修抄物せうもつを格助対象入れラ下二連用たり存続終止。

現代語訳つまり、(その中には)和歌や管弦の書物、『往生要集』などの抜き書きを入れてある。

管弦
音楽。
抄物(せうもつ)
抜き書き。
解説

「往生要集ごとき」の「ごとき」は例示(〜などの)。

原文
傍かたはらに格助場所琴こと、琵琶びは、おのおの副一張いつちやうを格助対象立つタ下二終止。いはゆる連体折琴をりごと、継琵琶つぎびは、これ代名なり断定終止。

現代語訳そばに琴と琵琶をそれぞれ一つずつ立ててある。いわゆる折琴、継琵琶がこれである。

一張(いつちやう)
琴や琵琶を数える言葉で、一つ。
折琴・継琵琶
折りたたんだり分解したりして、持ち運びできる琴と琵琶。
解説

和歌・管弦の書物、折琴、継琵琶からは、仏道修行のかたわら、和歌や音楽といった風雅の道も楽しんでいたことがわかる。

原文
仮の格助体修庵いほりの格助体修ありやう、かく副の格助体修ごとし比況終止。

現代語訳仮の庵のようすは、このようなものである。

解説

ここまでが、庵の中のようす。東→南→西→北と順に、置かれた物を簡潔に書いている。

庵の周りと四季の風物

原文
そ代名の格助体修所の格助体修さまを格助対象言はハ四未然ば接助順接仮定、南みなみに格助場所懸樋かけひありラ変終止。岩を格助対象立てタ下二連用て接助単純接続水を格助対象ためマ下二連用たり存続終止。

現代語訳その庵のある所のようすを言うと、南に懸樋がある。岩を立てて水をためてある。

懸樋(かけひ)
水を引くために、地上にかけわたした樋(とい)。
原文
林の格助体修木近けれク已然ば接助順接確定、爪木つまぎを格助対象拾ふハ四連体に格助目的乏しからシク未然ず打消終止。名を格助対象音羽山おとはやまと格助引用いふハ四終止。

現代語訳林の木が近いので、たきぎにする小枝を拾うのに不自由しない。(この山の)名を音羽山という。

爪木
たきぎにする小枝。
乏し
足りない。不自由だ。
原文
まさきのかづら、跡埋うづめマ四已然り存続終止。谷しげけれク已然ど接助逆接確定、西晴れラ下二連用たり存続終止。観念くわんねんの格助体修たより、なきク連体に断定連用しも副助強意あら補・ラ変未然ず打消終止。

現代語訳まさきのかずらが、(人の通った)跡をうずめている。谷は木が茂っているが、西は開けて見晴らしがよい。西方浄土を思い浮かべる手がかりが、ないわけではない。

まさきのかづら
つる草の名。
観念
心を静めて、仏や極楽浄土を思い浮かべること。
たより
手がかり。
解説

西が開けていることが「観念のたより」になるのは、極楽浄土は西方にあるとされていたから。

「なきにしもあらず」は「ないわけではない」。

原文
春は係助対比、藤波ふぢなみを格助対象見るマ上一終止。紫雲しうんの格助体修ごとく比況連用して接助単純接続西方さいはうに格助場所にほふハ四終止。

現代語訳春は、藤の花が波のようにゆれるのを見る。(それは阿弥陀仏が乗って迎えに来る)紫の雲のようで、西の方に美しく咲いている。

藤波
藤の花房が風にゆれて、波のように見えるもの。
にほふ
美しく色づく。
解説

風にゆれる藤の花房を、阿弥陀仏が極楽往生する人を迎えに来るときに乗るという紫雲に見立てている。「西方」は極楽浄土の方角。

原文
夏は係助対比、郭公ほととぎすを格助対象聞くカ四終止。語らふハ四連体ごとに格助時間死出しでの格助体修山路やまぢを格助対象契るラ四終止。

現代語訳夏は、ほととぎす(の声)を聞く。鳴いて語りかけるたびに、死出の山路の道案内を約束する。

語らふ
親しく語りかける。
死出の山路
死後に越えるという冥土の山道。
契る
約束する。
解説

郭公(ほととぎす)は冥土に通う鳥と考えられていた。鳴くたびに、自分が死んで冥土へ行くときの道案内を約束する、ということ。

原文
秋は係助対比、蜩ひぐらしの格助体修声耳に格助場所満てタ四已然り存続終止。空蟬うつせみの格助体修世を格助対象悲しむマ四連体楽がくと格助比喩聞こゆヤ下二終止。

現代語訳秋は、ひぐらしの声が耳に満ちる。その声は、はかない世を嘆き悲しむ楽の音のように聞こえる。

空蟬(うつせみ)の世
はかないこの世。
楽(がく)
音楽。
解説

蜩の鳴き声を、無常の世を嘆く楽の音として聞いている。

原文
冬は係助対比、雪を格助対象あはれぶバ四終止。積もりラ四連用消ゆるヤ下二連体さま、罪障ざいしやうに格助対象たとへハ下二連用つ強意終止べし可能終止。

現代語訳冬は、雪をしみじみと味わう。(雪が)積もっては消えるようすは、(人の)罪障にきっとたとえることができるだろう。

あはれぶ
しみじみと味わう。めでる。
罪障
極楽往生のさまたげとなる罪。
解説

雪が積もっては消えるようすを、人の罪障が積もっては消えるのにたとえている。

春の藤波、夏の郭公、秋の蜩、冬の雪と、四季の風物はどれも仏道修行をする者に関係の深いものとして描かれている。

気ままな修行の暮らし

原文
もし副念仏ねんぶつもの憂うくク連用、読経どきやうまめならナリ未然ぬ打消連体時は係助提示、自みづから副休みマ四連用、自みづから副怠るラ四終止。

現代語訳もし念仏をするのがおっくうで、読経に身が入らないときは、自分から休み、自分から怠ける。

もの憂し
なんとなく気が進まない。おっくうだ。
まめなり
熱心だ。
解説

念仏や読経が気の進まないときには、だれにも気がねせず、自分の意志で休む。

原文
妨さまたぐるガ下二連体人も係助並列なくク連用、また接、恥づダ上二終止べき当然連体人も係助並列なしク終止。

現代語訳それを妨げる人もなく、また、恥ずかしく思わなければならない相手もいない。

解説

「妨ぐる」のは、作者が念仏や読経を休んだり怠けたりすること。

「恥づべき人」は、作者が修行を怠けるのをとがめる人。ひとりで暮らしているので、そうした人もいない。このことが、気ままに休める理由になっている。

原文
ことさらに副無言むごんを格助対象せサ変未然ざれ打消已然ども接助逆接確定、独ひとりをれラ変已然ば接助順接確定、口業くごふを格助対象修をさめマ下二連用つ強意終止べし可能終止。

現代語訳わざわざ無言の行をするわけではないけれども、ひとりでいるので、言葉による罪をきっと慎むことができる。

ことさらに
わざわざ。
無言
無言の行(言葉を発しない修行)。
口業(くごふ)
言葉による罪。
修む
慎む。(悪い行いをしないように)身を守る。
解説

ひとりでいるので話す相手がなく、わざわざ無言の行をしなくても、言葉による罪を犯さずにすむ、ということ。

原文
必ず副禁戒きんかいを格助対象守るラ四終止と格助引用しも副助強意なくク連用とも接助逆接仮定、境界きやうがいなけれク已然ば接助順接確定、何代名に格助対象つけカ下二連用て接助単純接続か係助反語破らラ四未然ん推量連体。

現代語訳必ずしも戒律を守ろうとしなくても、(戒律を破らせるような)環境がないので、何によって戒律を破ることがあろうか、いや、破ることはない。

禁戒
仏教の戒律。
境界(きやうがい)
ここでは、戒律を破ってしまうような環境。
解説

「か」は反語。結びは「ん」(連体形)。戒律を破らせるような環境がないので、破ることなどない、ということ。

和歌と音楽を楽しむ

原文
もし副跡の格助体修白波しらなみに格助対象こ代名の格助体修身を格助対象寄するサ下二連体朝あしたに格助時間は係助対比、岡屋をかのやに格助場所行き交ふハ四連体船を格助対象眺めマ下二連用て接助単純接続満沙弥まんしやみが格助体修風情ふぜいを格助対象盗みマ四連用、

現代語訳もし、船の跡に立つ白波(のようなはかなさ)にわが身を重ねる朝には、岡屋を行き交う船を眺め、満沙弥にならって(歌を詠み)、

朝(あした)
朝。
岡屋
宇治川の岸の地名。
風情を盗む
風流をまねる。
解説

満沙弥(まんしやみ)の歌「世の中を何にたとへむ朝ぼらけ漕ぎ行く船の跡の白波」をふまえる。「跡の白波にこの身を寄する」は、船の跡の白波のように、はかない無常の思いにわが身を重ねること。

そういう朝には、宇治川を行き来する船を眺めて、満沙弥のように和歌を詠む。

原文
もし副桂かつらの格助体修風、葉を格助対象鳴らすサ四連体夕ゆふべに格助時間は係助対比、尋陽の江じんやうのえを格助対象思ひやりラ四連用て接助単純接続源都督げんととくの格助体修行ひを格助対象ならふハ四終止。

現代語訳もし、桂の木に吹く風が葉を鳴らす夕方には、尋陽の江(の故事)を思いやって、源都督のしたようにまねて(琵琶を弾く)。

尋陽の江
白居易が「琵琶行」を詠んだ、川の名。
源都督
源経信(みなもとのつねのぶ)。桂の大納言と呼ばれた琵琶の名手。
解説

桂の葉を鳴らす風の音から、白居易の「琵琶行」や桂の大納言を思い起こし、源都督にならって琵琶を弾く、ということ。

原文
もし副余興よきようあれラ変已然ば接助順接確定、しばしば副松の格助体修響きに格助対象秋風楽しうふうらくを格助対象たぐへハ下二連用、水の格助体修音に格助対象流泉の曲りうせんのきよくを格助対象あやつるラ四終止。

現代語訳もし興がさらにわいてくれば、たびたび松風の音に合わせて秋風楽を弾き、水の音に合わせて流泉の曲を奏でる。

余興
興がさらにわくこと。
たぐふ
合わせる。
あやつる
(楽器を)奏でる。
解説

秋風楽・流泉の曲は、どちらも曲の名。

原文
芸げいは係助提示これ代名つたなけれク已然ども接助逆接確定、人の格助体修耳を格助対象よろこばバ四未然しめ使役未然ん意志終止と格助引用に断定連用は係助提示あら補・ラ変未然ず打消終止。

現代語訳腕前はへただけれども、人の耳を喜ばせようというのではない。

芸
(琴や琵琶の)腕前。
つたなし
へただ。
解説

人に聞かせるためではない、という点が大切。

原文
独ひとり調べバ下二連用、独ひとり詠じサ変連用て接助単純接続、自みづから副情を格助対象やしなふハ四連体ばかり副助限定なり断定終止。

現代語訳ひとりで奏で、ひとりで(詩歌を)口ずさんで、自分で自分の心を慰めるだけである。

調ぶ
(楽器を)奏でる。
詠ず
(詩歌を)口ずさむ。
情(こころ)をやしなふ
心を慰める。
解説

他人からの束縛や気がねがなく、ひとりで自由に、仏道と風雅を楽しむ暮らしを述べて結んでいる。

『方丈記』のほかの場面:ゆく河の流れ / 安元の大火 / 養和の飢饉

テスト予想問題

A 読み・語句

  1. 次の語の読みを現代仮名遣いで答えよ。
    ①六十
    ②齢
    ③方丈
    ④庇
    ⑤閼伽棚
    ⑥皮籠
    ⑦懸樋
    ⑧郭公
    ⑨読経
    ⑩口業
    ⑪境界

    解答を見る

    ①むそじ
    ②よわい
    ③ほうじょう
    ④ひさし
    ⑤あかだな
    ⑥かわご
    ⑦かけい
    ⑧ほととぎす
    ⑨どきょう
    ⑩くごう
    ⑪きょうがい

  2. 本文中で使われている意味を、次の語句それぞれについて答えよ。
    ①末葉の宿り
    ②跡を隠す
    ③よすが
    ④抄物
    ⑤爪木
    ⑥空蟬の世
    ⑦あはれぶ
    ⑧もの憂し
    ⑨まめなり

    解答を見る

    ①晩年の住まい
    ②俗世間を離れて隠れ住む
    ③都合のよい場所
    ④抜き書き
    ⑤たきぎにする小枝
    ⑥はかないこの世
    ⑦しみじみと味わう・めでる
    ⑧なんとなく気が進まない・おっくうだ
    ⑨熱心だ

B 文法

  1. 次の【 】の助動詞の意味を答えよ。
    ①宿りを結べ【る】こと
    ②老い【たる】蚕
    ③繭を営むが【ごとし】
    ④往生要集【ごとき】の抄物
    ⑤やすくほかへ移さ【ん】がため
    ⑥罪障にたとへ【つ】【べし】
    ⑦恥づ【べき】人
    ⑧人の耳をよろこば【しめ】ん

    解答を見る

    ①完了
    ②完了
    ③比況
    ④例示
    ⑤意志
    ⑥つ=強意 べし=可能
    ⑦当然
    ⑧使役

C 現代語訳・内容

  1. 「旅人の一夜の宿りを作り、老いたる蚕の繭を営むがごとし」とあるが、①「旅人の一夜の宿り」、②「老いたる蚕の繭」は、それぞれ作者のどのような住まいをたとえているか。

    解答を見る

    ①ほんのわずかな期間だけの、仮の住まい。
    ②年老いた作者が作った、人生最後の住まい。

  2. 「これを中ごろの栖に比ぶれば、また百分が一に及ばず。」を、「これ」の内容を補って現代語訳せよ。

    解答を見る

    この(日野山の)庵を、人生の半ばに住んだ家と比べてみると、やはり百分の一にも足りない。

  3. 「地を占めて造らず」とあるが、作者が土地を自分のものにせず、庵を組み立て式にした理由にあたる一続きの部分を、本文から抜き出して示せ。

    解答を見る

    もし心にかなはぬことあらば、やすくほかへ移さんがため

  4. 「その改め作ること、いくばくの煩ひかある。」を現代語訳せよ。

    解答を見る

    庵を建て直すのに、どれほどの手間がかかろうか、いや、たいした手間ではない。

  5. 庵の中に置かれた物のうち、作者が仏道修行のほかに楽しんでいたことがわかる物を、本文中から三つ抜き出せ。また、それは何を楽しんでいたことを示しているか。

    解答を見る

    物=和歌・管弦(の抄物)、折琴、継琵琶
    楽しみ=和歌や音楽といった風雅の道。

  6. 「観念のたより、なきにしもあらず。」について、①何が「観念のたより」となるのか。②この文を現代語訳せよ。

    解答を見る

    ①谷は木が茂っているが、西の方が開けていて見晴らしがよいこと。(極楽浄土は西方にあるとされたから)
    ②西方浄土を思い浮かべる手がかりが、ないわけではない。

  7. 春の「藤波」、夏の「郭公」、秋の「蜩」、冬の「雪」は、それぞれ何と結びつけて描かれているか。また、それらに共通することを答えよ。

    解答を見る

    春=阿弥陀仏が乗って迎えに来る紫雲 夏=冥土への道案内(死出の山路) 秋=はかないこの世を悲しむ音楽 冬=積もっては消える罪障
    共通すること=どれも仏道修行をする者にとって関係の深いものとして描かれている。

  8. 「もし念仏もの憂く、読経まめならぬ時は、自ら休み、自ら怠る」ことができる理由を、三十字以内で答えよ。

    解答を見る

    怠けるのを妨げる人も、気がねしなければならない人もいないから。(30字)

  9. 「境界なければ、何につけてか破らん。」を、「境界」がどのような環境かがわかるように現代語訳せよ。

    解答を見る

    戒律を破ってしまうような環境がないので、何によって(戒律を)破ることがあろうか、いや、破ることはない。

  10. 「芸はこれつたなけれども、人の耳をよろこばしめんとにはあらず。」を現代語訳せよ。また、本文の最後の部分から、作者のどのような暮らしぶりが読み取れるか、説明せよ。

    解答を見る

    訳=腕前はへただけれども、人の耳を喜ばせようというのではない。
    暮らしぶり=他人からの束縛や気がねがなく、ひとりで自由に、和歌や音楽を楽しみながら仏道にかなった生活をし、自分の心を慰めている。