源氏物語「光源氏の誕生」(桐壺)②上達部、上人なども 現代語訳・品詞分解・敬語・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. 目をそむける人々と、楊貴妃の例
  4. 後ろ盾のない更衣
  5. テスト予想問題

『源氏物語』桐壺の巻、「上達部、上人なども」から「なほ拠りどころなく心細げなり」までの現代語訳・品詞分解・敬語・解説です。桐壺①「いづれの御時にか」の続きです。

帝の寵愛が度を越し、世間では楊貴妃の例まで引き合いに出されそうになります。更衣は帝の愛情だけを頼りに宮仕えを続けますが、父はすでに亡く、頼れる後ろ盾がありません。

原文の読み方

原文の一語一語に、活用や助動詞・助詞の意味を示しています。緑の下線は敬語です。下のボタンで、用言・助動詞・助詞などのラベルを別々に出したり消したりできます。ラベルを押すと古典文法一覧の説明に飛びます。

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現代語訳・品詞分解・解説

目をそむける人々と、楊貴妃の例

原文
上達部かんだちめ、上人うへびとなど副助例示も係助添加あいなくク連用目を格助対象そばめマ下二連用つつ接助反復、いと副まばゆきク連体人の格助体修御おぼえなり断定終止。

現代語訳上達部や殿上人までもが、困ったものだと目をそらすほどで、まともに見ていられないような更衣へのご寵愛である。

あいなし
不快げに、つまらなさそうに
側む
目を背ける、横を向く
まばゆし
まぶしい、じっと見ていられない
解説

「人の御おぼえ」の「人」は桐壺更衣のこと。更衣が帝から受けているご寵愛ぶりをいう。

「まばゆき」は「御おぼえ」にかかる。

原文
唐土もろこしに格助場所も係助並列、かかるラ変連体事の格助体修起こりに格助原因こそ係助強意、世も係助強意乱れラ下二連用悪あしかりシク連用けれ過去已然と格助引用、

現代語訳中国でも、こうしたことが原因で世の中が乱れ、ひどいことになったのだと、

かかる
このような=帝が一人の女性を寵愛すること
悪し
悪い
事のおこり
原因
原文
やうやう副天の下あめのしたに格助場所も係助添加、あぢきなうク連用・音、人の格助体修もて悩みぐさに格助結果なりラ四連用て接助単純接続、

現代語訳しだいに世間でも苦々しいこととして、人々の悩みの種になって、

あぢきなし
にがにがしい
原文
楊貴妃やうきひの格助体修例ためしも係助強意引き出でダ下二連用つ強意終止べく推量連用なりゆくカ四連体に接助順接確定、

現代語訳楊貴妃の先例まで引き合いに出されかねないありさまになっていくので、

楊貴妃の例
唐の玄宗皇帝が楊貴妃への愛におぼれて政治をおろそかにしたために、内乱(安禄山の乱)が起きた。白楽天の「長恨歌」がこのことについて詠んだ詩として有名。
解説

「引き出でつべく」は、楊貴妃の例を引き合いに出しかねないほどの状況、ということ。

現代語訳更衣は居心地の悪い思いをすることが多いが、身に余る帝の愛情がほかに例のないものであることを支えにして、宮仕えを続けておられる。

はしたなし
きまりが悪い、居場所がなくつらい。まわりから冷たくされていることを表す。
かたじけなき御心
桐壺帝の(桐壺更衣に対する)もったいない御愛情
解説

「交じらひ給ふ」の主語は桐壺更衣。頼りは帝の愛情だけである。

後ろ盾のない更衣

原文
父の格助体修大納言だいなごんは係助区別亡くなりラ四連用て接助単純接続、母北の方きたのかたなむ係助強意、いにしへの格助体修人の格助同格よしあるラ変連体に断定連用て接助単純接続、

現代語訳父の大納言はすでに世を去り、母の北の方は、古風な人で教養もある方であって、

北の方
正妻
よし
教養
いにしへの人のよしあるにて
「の」は同格の格助詞。「~人で、~人であって」などと訳す。
解説

「母北の方なむ」の「なむ」は、本来なら連体形で「~もてなし給ひける」と結ぶところだが、接続助詞「ど」が付いて文が先へ続くので、結びが成立しない(結びの流れ・結びの消滅)。

原文
親うち具ぐしサ変連用、さしあたりラ四連用て接助単純接続世の格助体修おぼえ華やかなるナリ連体御方々に格助比較も係助強意いたうク連用・音劣らラ四未然ず打消連用、

現代語訳両親がそろっていて今のところ世間の評判も華やかな方々にも、さほど見劣りすることなく、

世のおぼえ
世間の評判
うち具す
そろう。「親うち具し」は、両親がそろっていること(ほかの御方々の様子)
さしあたりて
現在、さしあたって
原文

現代語訳どんな儀式も取り計らいなさったけれども、

もてなす
取り計らう
もてなし給ひ
「給ひ」は尊敬の補助動詞で、作者が母北の方を敬っている。
原文
とりたてタ下二連用て接助単純接続はかばかしきシク連体後ろ見うしろみし副助強意なけれク已然ば接助順接確定、事あるラ変連体時は係助区別、なほ副拠よりどころなくク連用心細げなりナリ終止。

現代語訳(更衣は)これというしっかりした後ろ盾がないため、改まった行事のたびに、やはり頼れる先がなく心細そうにしている。

はかばかし
しっかりした
後ろ見
後ろ盾。経済的・政治的に支援する人。
なほ
やはり
し
強めの副助詞。なくても文の意味は変わらない。
解説

しっかりした「後ろ見」(後ろ盾)がないことが、更衣が心細い理由。

続き:桐壺③「光源氏の誕生」

テスト予想問題

A 読み・語句

  1. 「かたじけなき御心ばへ」とは、誰の、誰に対するどのような気持ちか。

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    帝の、桐壺更衣に対する、もったいないほどのご愛情。

  2. 「いにしへの人のよしあるにて」とは、母北の方がどのような人だということか。

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    古風な(昔の気風を保った)人で、教養のある人だということ。

B 文法・敬語

  1. 次の【 】内の助動詞について、意味と活用形を答えよ。
    ①いとまばゆき人の御おぼえ【なり】
    ②楊貴妃の例も引き出で【つ】【べく】なりゆくに
    ③よしある【に】て

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    ①断定・終止形
    ②つ=強意・終止形、べく=推量・連用形
    ③断定・連用形(「なり」)

  2. 「いにしへの人のよしあるにて」の「の」の用法を答えよ。

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    同格

  3. 「交じらひ給ふ」「もてなし給ひけれど」の主語と、「給ふ(給ひ)」が誰への敬意かをそれぞれ答えよ。

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    「交じらひ給ふ」=主語は桐壺更衣、語り手から桐壺更衣への敬意。「もてなし給ひけれど」=主語は母北の方、語り手から母北の方への敬意。

  4. 次の係り結びについて、それぞれ説明せよ。
    ①「かかる事の起こりにこそ、世も乱れ悪しかりけれ」
    ②「母北の方なむ、……何事の儀式をももてなし給ひけれど」

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    ①係助詞「こそ」を受けて、過去の助動詞「けり」の已然形「けれ」で結んでいる。
    ②係助詞「なむ」を受けて本来は連体形「ける」で結ぶはずだが、接続助詞「ど」が付いて文が続くため、結びが流れている(結びの流れ・消滅)。

C 現代語訳・内容

  1. 「かかる事」とは、どのようなことを指すか。

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    帝が特定の一人の女性(桐壺更衣)を溺愛すること。

  2. 「唐土にも、かかる事の起こりにこそ、世も乱れ悪しかりけれ」について、次の空欄を埋めよ。
    中国の(①)の時代に、(②)皇帝が(③)を溺愛して政治を顧みず、(④)の乱が起こった。この故事を歌った漢詩に(⑤)の「(⑥)」がある。

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    ①唐
    ②玄宗
    ③楊貴妃
    ④安史(安禄山)
    ⑤白居易(白楽天)
    ⑥長恨歌

  3. 「引き出でつべくなりゆく」とは、どのような状況か。

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    世間の人々が、国を傾けた楊貴妃の例を引き合いに出しかねないほど、危うい状況になっていくこと。

  4. 「いとはしたなきこと多かれど」を現代語訳せよ。また、「はしたなきこと」とは具体的にどのようなことか。

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    訳=とても居心地の悪いことが多いけれども。周囲の女御・更衣たちから疎まれ、いじめられること。

  5. 「かたじけなき御心ばへの類ひなきを頼みにて交じらひ給ふ」を現代語訳せよ。

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    もったいないほどの(帝の)ご愛情が比類のないことを頼りにして、宮仕えをしていらっしゃる。

  6. 更衣が「心細げなり」なのはなぜか。

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    父の大納言が亡くなっていて、頼みになる後ろ盾がないため、改まった行事のときに頼れる先がないから。