『三冊子』師の風雅(不易流行) 現代語訳・品詞分解・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. 不易と変化、その根本
  4. 変化(流行)
  5. 師の教え
  6. テスト予想問題

『三冊子(さんぞうし)』「師の風雅」の現代語訳・品詞分解・解説です。教科書によっては「不易と変化」という題で載っています。

芭蕉の弟子の服部土芳が、師の俳諧についての考えを書き記した文章です。いつまでも変わらない「不易」と、時とともに変わっていく「変化(流行)」、その二つのもとにある「風雅の誠」とは何かを読み取りましょう。

原文の読み方

原文の一語一語に、活用や助動詞・助詞の意味を示しています。下のボタンで、用言・助動詞・助詞を別々に出したり消したりできます。ラベルを押すと古典文法一覧の説明に飛びます。

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現代語訳・品詞分解・解説

不易と変化、その根本

原文
師の格助体修風雅ふうがに格助場所、万代不易ばんだいふえきありラ変終止。一時いちじの格助体修変化へんくわありラ変終止。

現代語訳先生(芭蕉)の俳諧には、いつまでも変わらない面がある。また、その時々に変わっていく面がある。

風雅
ここでは俳諧。
万代不易
いつの世までも変わらないこと。
一時の変化
その時々に応じて変わること(流行)。
原文
こ代名の格助体修二ふたつに格助結果極きはまりラ四連用、そ代名の格助体修本もと一ひとつなり断定終止。そ代名の格助体修一ひとつと格助引用いふハ四連体は係助区別、風雅ふうがの格助体修誠まことなり断定終止。

現代語訳(先生の俳諧は)この二つに尽きるが、そのおおもとは一つだ。その一つとは、風雅の誠のことである。

極まる
行き着く。尽きる。
本(もと)
根本。
誠
真実。
解説

師の俳諧は「不易」と「一時の変化」の二つに尽きるが、その根本は「風雅の誠」一つである、ということ。

原文
不易ふえきを格助対象知らラ四未然ざれ打消已然ば接助順接確定、まことに副知れラ四已然る存続連体に断定連用あら補・ラ変未然ず打消終止。

現代語訳不易を知らなければ、本当に(俳諧を)わかっていることにはならない。

解説

「知れるにあらず」の「に」は断定の助動詞「なり」の連用形。「〜であるのではない」。

原文
不易ふえきと格助引用いふハ四連体は係助区別、新古しんこに格助対象よらラ四未然ず打消連用、変化へんくわ流行りうかうに格助対象も係助添加かかはらラ四未然ず打消連用、誠まことに格助場所よく副立ちタ四連用たる存続連体姿すがたなり断定終止。

現代語訳不易というのは、新しい古いに関係なく、変化や流行にもかかわらず、誠にしっかりと根ざして立っている姿である。

新古
新しいことと古いこと。
解説

不易とは、時代の新しさ古さや流行に左右されず、風雅の誠にしっかり根ざした姿のこと。

原文
代々よよの格助体修歌人かじんの格助体修歌を格助対象見るマ上一連体に接助順接確定、代々よよ、そ代名の格助体修変化へんくわありラ変終止。

現代語訳代々の歌人の歌を見ると、時代ごとに、その作風の変化がある。

代々(よよ)
それぞれの時代。
解説

「その変化」は、その時代時代の歌風(作風)の変化。

原文
また接、新古しんこに格助対象も係助添加わたらラ四未然ず打消連用、今見るマ上一連体ところ昔見マ上一連用し過去連体に格助対象変はらラ四未然ず打消連用、あはれなるナリ連体歌多しク終止。

現代語訳また一方で、新しい古いにかかわりなく、今の人が見ても昔の人が見たときと変わらず、しみじみと心にしみる歌が多い。

わたる
かかわる。
あはれなり
しみじみと心にしみる。
解説

今の人が読んでも、昔の人が読んだときと同じように心を打つ歌。これが「不易」の例。

原文
これ代名、まづ副、不易ふえきと格助引用心得こころうア下二終止べし当然終止。

現代語訳これを、まず不易と理解するのがよい。

心得
理解する。

変化(流行)

原文
また接、千変万化せんぺんばんくわするサ変連体ものは係助区別、自然じねんの格助体修理ことわりなり断定終止。変化へんくわに格助結果移らラ四未然ざれ打消已然ば接助順接確定、風ふう改あらたまらラ四未然ず打消終止。

現代語訳また、さまざまに移り変わるのは、自然の道理である。変化していかなければ、俳風は新しくならない。

千変万化
さまざまに変わること。
自然(じねん)の理(ことわり)
自然の道理。
風
俳風。詠みぶり。
解説

時代に合わせて俳諧も変わっていかなければ、俳風は新しくならない、ということ。

原文
これ代名に格助結果押し移おしうつらラ四未然ず打消終止と格助引用いふハ四連体は係助区別、一旦いつたんの格助体修流行りうかうに格助対象、口くちつき時を格助対象得えア下二連用たる存続連体ばかり副助限定に断定連用て接助状態、そ代名の格助体修誠まことを格助対象責せめマ下二未然ざる打消連体ゆゑなり断定終止。

現代語訳新しい俳風に移らないというのは、一時の流行に、たまたま詠みぶりが時代に合っただけで、風雅の誠を追い求めないからである。

一旦の
一時の。
口つき
詠みぶり。言葉づかい。
時を得
時流に合ってもてはやされる。
責む
追い求める。
解説

「これ」は、前の「変化」(新しい俳風)。

「その誠」は「風雅の誠」。新しい俳風に移れないのは、たまたま自分の詠みぶりが一時の流行に合っただけで、風雅の誠を追い求めていないからだ、ということ。

原文
責せめマ下二未然ず打消連用、心を格助対象凝こらさサ四未然ざる打消連体者もの、誠まことの格助体修変化へんくわを格助対象知るラ四終止と格助引用いふハ四連体ことなしク終止。ただ副、人に格助対象あやかりラ四連用て接助状態行くカ四連体のみ副助限定なり断定終止。

現代語訳誠を追い求めず、心を打ち込まない者は、誠に根ざした変化を知るということがない。ただ人のまねをしていくだけである。

凝らす
一つに集中させる。
あやかる
まねをする。影響を受けて似る。
解説

「人にあやかりて行く」は、自分で誠を求めず、人のまねをしてついていくだけ、ということ。

原文
責せむるマ下二連体者ものは係助対比、そ代名の格助体修地ちに格助場所足を格助対象据すゑがたくク連用、一歩いつぽ自然じねんに副進むマ四連体理ことわりなり断定終止。

現代語訳誠を追い求める者は、今いる所に足をとどめていられず、自然に一歩前へ進むのが道理である。

据ゑがたし
とどめておきにくい。
解説

誠を追い求める者は、今の境地にとどまっていられず、自然に一歩ずつ前へ進んでいく。これが誠に根ざした変化(流行)である。

師の教え

原文
行く末ゆくすゑ幾千変万化いくせんぺんばんくわするサ変連体とも接助逆接仮定、誠まことの格助体修変化へんくわは係助区別、皆みな副、師の格助体修俳諧はいかいなり断定終止。

現代語訳これから先、俳諧がどれほど変わっていったとしても、誠に根ざした変化は、すべて先生の俳諧なのである。

行く末
将来。
幾千変万化す
どれほど多く変わっていく。
原文
「仮かりにも副古人こじんの格助体修涎よだれを格助対象なむるマ下二連体ことなかれク命令。四時しいじの格助主格押し移おしうつるラ四連体ごとく比況連用もの改あらたまるラ四連体、皆みな副かく副の格助体修ごとし比況終止。」と格助引用も係助強調言いへハ四已然り完了終止。

現代語訳(先生は)「決して昔の人のまねをしてはならない。春夏秋冬が移っていくように物事は改まる、何もかもこれと同じだ」とも言った。

仮にも
かりそめにも。決して。
古人の涎をなむ
昔の人のまねをする。
四時(しいじ)
四季。春夏秋冬。
解説

「〜ことなかれ」は「〜してはならない」という禁止。

「古人の涎をなむる」とほぼ同じことを言っているのが、前の「人にあやかりて行く」。

四季が移り変わるように、物事はすべて新しく変わっていく。俳諧も同じだ、ということ。

テスト予想問題

A 読み・語句

  1. 次の語の読みを現代仮名遣いで答えよ。
    ①三冊子
    ②万代不易
    ③自然の理
    ④一旦
    ⑤口つき
    ⑥涎
    ⑦四時

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    ①さんぞうし
    ②ばんだいふえき
    ③じねんのことわり
    ④いったん
    ⑤くちつき
    ⑥よだれ
    ⑦しいじ

  2. 次の語の本文中での意味を答えよ。
    ①風雅
    ②極まり
    ③誠
    ④責め
    ⑤凝らさ
    ⑥あやかり
    ⑦仮にも
    ⑧四時

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    ①俳諧
    ②行き着き・尽き
    ③真実
    ④追い求め
    ⑤一つに集中させ
    ⑥まねをし
    ⑦かりそめにも・決して
    ⑧四季(春夏秋冬)

B 文法

  1. 「まことに知れるにあらず」の「る」「に」をそれぞれ文法的に説明せよ。また、「口つき時を得たるばかりにて」の「に」と文法的に同じか、違うか答えよ。

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    る=存続の助動詞「り」の連体形。に=断定の助動詞「なり」の連用形。「ばかりにて」の「に」も断定の助動詞「なり」の連用形で、同じ。

  2. 次の接続助詞の意味・用法を答えよ。
    ①不易を知らざれば
    ②代々の歌人の歌を見るに
    ③行く末幾千変万化するとも

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    ①順接の確定条件
    ②順接の確定条件(偶然条件)「〜すると」
    ③逆接の仮定条件「〜としても」

C 現代語訳・内容

  1. 「師の風雅に、万代不易あり。一時の変化あり。この二つに極まり、その本一つなり。」について、①「師」とはだれか。②「その本一つ」の「一つ」とは何か、本文中から抜き出せ。③全体を現代語訳せよ。

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    ①松尾芭蕉
    ②風雅の誠
    ③先生の俳諧には、いつまでも変わらない面があり、その時々に変わっていく面がある。(先生の俳諧は)この二つに尽きるが、その根本は一つである。

  2. 筆者は「不易」とはどのようなものだと述べているか。本文の歌の例にふれて説明せよ。

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    時代の新しさ古さや流行に関係なく、風雅の誠にしっかり根ざした姿のこと。たとえば、今の人が読んでも昔の人が読んだときと変わらず、しみじみと心を打つ歌がそれにあたる。

  3. 「変化に移らざれば、風改まらず」を現代語訳せよ。

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    (俳諧も)変化していかなければ、俳風は新しくならない。

  4. 「一旦の流行に、口つき時を得たるばかりにて、その誠を責めざるゆゑなり」について、①「口つき時を得たる」とはどういうことか。②「その誠」とは何の誠か。③新しい俳風に移れない人は、なぜ移れないと筆者は述べているか。

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    ①詠みぶりがたまたま時流に合って、もてはやされたということ。
    ②風雅の誠
    ③一時の流行に自分の詠みぶりが合っただけで満足し、風雅の誠を追い求めようとしないから。

  5. 本文中で「古人の涎をなむる」と同じようなことを言っている表現を、十字以内で抜き出せ。また、「仮にも古人の涎をなむることなかれ」を現代語訳せよ。

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    抜き出し=人にあやかりて行く。訳=かりそめにも、昔の人のまねをしてはならない。

  6. 「責むる者は、その地に足を据ゑがたく、一歩自然に進む理なり」とはどういうことか。説明せよ。

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    風雅の誠を追い求める者は、今の境地にとどまっていることができず、自然と一歩ずつ前へ進んで新しくなっていくのが道理だ、ということ。