『徒然草』花は盛りに② 現代語訳・品詞分解・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. 趣深い月
  4. 心で味わう月と花
  5. よき人と片田舎の人
  6. テスト予想問題

『徒然草(つれづれぐさ)』第百三十七段「花は盛りに」の後半(望月のくまなきを〜よそながら見ることなし)の現代語訳・品詞分解・解説です。

満月よりも、明け方近くにやっと出た月や雲に隠れた月にこそ趣があると述べ、月や花は目で見るだけでなく心で味わうものだと説きます。最後に、教養のある「よき人」と「片田舎の人」の楽しみ方を比べます。省略された語、対比、係り結びがよく問われます。前半は『徒然草』花は盛りに①へ。

原文の読み方

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現代語訳・品詞分解・解説

趣深い月

原文
望月もちづきの格助同格くまなきク連体を格助対象千里ちさとの格助体修ほかまで副助範囲眺めマ下二連用たる存続連体より格助比較も係助強意、

現代語訳満月で曇りのない月をはるか遠くまで眺めているよりも、

望月(もちづき)
満月。
千里(ちさと)のほか
はるか遠く。
解説

※「千里のほか」は、白居易の詩「三五夜中新月の色 二千里外故人の心」をふまえた表現。

原文
暁あかつき近くク連用なりラ四連用て接助単純接続待ち出でダ下二連用たる完了連体が格助主格、いと副心深うク連用・音、青みマ四連用たる存続連体やうに様子連用て接助単純接続、深きク連体山の格助体修杉の格助体修梢こずゑに格助場所見えヤ下二連用たる存続連体、

現代語訳夜明けが近づいて、待ちわびた末にようやく昇ってきた(月)が、とても情趣があり、青白く見えるようで、奥深い山の杉の梢のあいだからのぞいている姿や、

暁
夜明け前のまだ暗いころ。
待ち出づ
出てくるのを待ち受ける。
心深し
趣が深い。
解説

「待ち出でたる」のあとに「月」が省略されている。「(明け方近くになってやっと出てきた)月が、たいそう趣深く、青みを帯びたようで」とつながる。

原文
木の格助体修間の格助体修影、うちしぐれラ下二連用たる存続連体むら雲隠れの格助体修ほど、またなくク連用あはれなりナリ終止。

現代語訳木々のすき間から漏れてくる月光や、ひとしきり時雨を降らせた雲のかたまりに(月が)隠れているありさまは、またとないほどしみじみと心を打つ。

影
光。
うちしぐる
さっと時雨が降る。
むら雲
群がり集まった雲。
またなし
このうえない。
解説

作者が趣を感じる月は、明け方近くに出た月、木の間からもれる月の光、雲に隠れている月。満月を遠くまで眺めることよりも、こうした月のほうが趣深いと言っている。

原文
椎柴しひしば・白樫しらかしなど副助例示の格助体修、ぬれラ下二連用たる存続連体やうなる比況連体葉の格助体修上に格助場所きらめきカ四連用たる存続連体こそ係助強意、

現代語訳椎の木や白樫などの、ぬれているようにつやつやした葉の上に(月の光が)きらめいているのは、

椎柴(しいしば)
椎の木。
白樫
樫の一種。
きらめく
きらきら光る。
解説

葉の上にきらめいているのは、月の光。

原文
身に格助対象しみマ四連用て接助単純接続、心あらラ変未然ん婉曲連体友もがな終助願望と格助引用、都恋しうシク連用・音おぼゆれヤ下二已然。

現代語訳身にしみて、情趣のわかる友がいればなあと、都が恋しく思われる。

心あり
情趣を解する。
もがな
〜があればなあ(願望)。
解説

作者は都を離れた田舎(山里)にいる。都には情趣を語り合える友がいるので、都が恋しくなっている。

「こそ〜おぼゆれ」の係り結び。

心で味わう月と花

原文
すべて副、月・花を格助対象ば係助強調、さ副のみ副助限定目にて格助手段見るマ上一連体ものかは係助反語。

現代語訳総じて、月や花を、そんなふうに目だけで味わうものだろうか。決してそうではない。

すべて
だいたい、総じて。
さのみ
そのようにばかり。
解説

「ものかは」は反語。月や花は目で見るだけのものではなく、心で思い描いて味わうものだ、ということ。

原文
春は係助区別家を格助対象立ち去らラ四未然で接助打消接続も係助並列、月の格助体修夜は係助区別閨ねやの格助体修内ながらも係助並列思へハ四已然る存続連体こそ係助強意、いと副たのもしうシク連用・音、をかしけれシク已然。

現代語訳春は家を出なくても、月夜は寝室にこもったままでも、(花や月に)思いをめぐらせていることこそ、とても先が楽しみで、趣がある。

閨(ねや)
寝室。
たのもし
楽しみだ、期待が持てる。
解説

「春は家を立ち去らでも」は「思へるこそ」にかかる。「春は(花を)家を立ち去らでも」と「月の夜は(月を)閨の内ながらも」が対になっている。

「こそ〜をかしけれ」の係り結び。

よき人と片田舎の人

原文
よきク連体人は係助区別、ひとへに副好すけカ四已然る存続連体さまに格助内容も係助並列見えヤ下二未然ず打消連用、興ずるサ変連体さまも係助並列なほざりなりナリ終止。

現代語訳教養ある人は、ひたすら風流に打ちこんでいるようにも見えず、楽しむ様子もさらりとしている。

よき人
教養があり、情趣を解する人。
好く
風流に心を寄せる。
興ず
おもしろがる。
なほざりなり
あっさりしている。
原文
片田舎かたゐなかの格助体修人こそ係助強意、色濃くク連用よろづは係助強調もて興ずれサ変已然。

現代語訳片田舎の人に限って、しつこく何でもおもしろがるものだ。

色濃し
しつこい。
もて興ず
ことさらにおもしろがる。
解説

「よき人」の「なほざりなり」と、「片田舎の人」の「色濃く」が対になっている。

「こそ〜もて興ずれ」の係り結び。

原文
花の格助体修もとに格助場所は係助区別、ねぢ寄りラ四連用立ち寄りラ四連用、あからめも係助強意せサ変未然ず打消連用まもりラ四連用て接助単純接続、酒飲みマ四連用、連歌しサ変連用て接助単純接続、

現代語訳花の下には、身をよじるようにして人をかき分けて近寄り、わき見もせずにじっと見つめて、酒を飲み、連歌をして、

ねぢ寄る
身をよじるようにして近寄る。
あからめ
わき見。
まもる
じっと見つめる。
連歌
何人かで上の句・下の句をつなげて詠む歌。
解説

主語は片田舎の人。

原文
果ては係助区別、大きなるナリ連体枝、心なくク連用折り取りラ四連用ぬ完了終止。

現代語訳しまいには、大きな枝を、考えもなく折り取ってしまう。

心なし
思慮がない、分別がない。
原文
泉に格助場所は係助区別手・足さしひたしサ四連用て接助単純接続、雪に格助場所は係助区別下り立おりたちタ四連用て接助単純接続跡つけカ下二連用など副助例示、よろづの格助体修もの、よそながら見るマ上一連体ことなしク終止。

現代語訳泉には手や足をひたし、雪には降り立って足跡をつけるなど、どんなものでも、離れたところから見るということがない。

よそながら
離れたままで、それとなく。
解説

片田舎の人がおもしろがる対象として、花・泉・雪が挙げられている(春・夏・冬)。

「よそながら見る」のは、よき人の見方。反対の見方が、片田舎の人の「あからめもせずまもりて」である。

テスト予想問題

A 読み・語句

  1. 次の語の読みを現代仮名遣いで答えよ。
    ①望月
    ②千里
    ③暁
    ④椎柴
    ⑤閨
    ⑥片田舎

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    ①もちづき
    ②ちさと
    ③あかつき
    ④しいしば
    ⑤ねや
    ⑥かたいなか

  2. 本文中で使われている意味を、次の語それぞれについて答えよ。
    ①心深し
    ②影
    ③またなし
    ④たのもし
    ⑤なほざりなり
    ⑥色濃し
    ⑦あからめ
    ⑧まもる
    ⑨よそながら

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    ①趣が深い
    ②光
    ③このうえない
    ④楽しみだ・期待が持てる
    ⑤あっさりしている
    ⑥しつこい
    ⑦わき見
    ⑧じっと見つめる
    ⑨離れたままで・それとなく

B 文法

  1. 次の【 】の係助詞に対する結びの語を本文から抜き出し、その終止形も答えよ。
    ①葉の上にきらめきたる【こそ】
    ②閨の内ながらも思へる【こそ】
    ③片田舎の人【こそ】

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    ①おぼゆれ(おぼゆ)
    ②をかしけれ(をかし)
    ③もて興ずれ(もて興ず)

  2. 次の【 】の助動詞の意味と活用形を答えよ。
    ①千里のほかまで眺め【たる】よりも
    ②待ち出で【たる】が
    ③心あら【ん】友
    ④好け【る】さま
    ⑤心なく折り取り【ぬ】

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    ①存続・連体形
    ②完了・連体形
    ③婉曲・連体形
    ④存続・連体形
    ⑤完了・終止形

C 現代語訳・内容

  1. 「暁近くなりて待ち出でたるが、いと心深う」について、①「待ち出でたる」のあとに省略されている語を答えよ。②「心深し」と同じ意味で使われている形容動詞を本文から抜き出し、終止形で答えよ。

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    ①月
    ②あはれなり

  2. 「心あらん友もがなと、都恋しうおぼゆれ。」を現代語訳せよ。また、このとき作者はどこにいると考えられるか。

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    訳=情趣のわかる友がいればなあと、都が恋しく思われる。
    居場所=都を離れた田舎(山里)

  3. 「すべて、月・花をば、さのみ目にて見るものかは。」を現代語訳せよ。また、作者は月や花をどのように味わうのがよいと考えているか。「〜にて〜」の形で答えよ。

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    訳=総じて、月や花を、そんなふうに目だけで味わうものだろうか。決してそうではない。
    味わい方=心にて思ふ(心で思い描いて味わう)

  4. 「春は家を立ち去らでも、……をかしけれ。」の一文を現代語訳せよ。また、「春は家を立ち去らでも」はどの文節にかかるか。

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    訳=春は家を出なくても、月夜は寝室にこもったままでも、(花や月に)思いをめぐらせていることこそ、とても先が楽しみで、趣がある。
    かかる文節=思へるこそ

  5. 「よき人」と「片田舎の人」について、①「なほざりなり」と対になっている語を本文から抜き出し、終止形で答えよ。②片田舎の人が近寄っておもしろがる対象を、本文から三つ答えよ。

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    ①色濃し
    ②花・泉・雪

  6. 「よろづのもの、よそながら見ることなし。」の主語を答えよ。また、「よそながら見る」と反対の見方を、本文から十字以内で抜き出せ。

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    主語=片田舎の人
    反対の見方=あからめもせずまもり