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鶏口牛後② 書き下し文・現代語訳

蘇秦者、師鬼谷先生。

初出游、困而帰。 妻不下機、嫂不為炊。

・出游…地元を離れてほかのところへ行くこと。蘇秦が自分の意見を説いて回ったこと。

・ほかの人々は工業や商業で利益を得ているのに、口先の弁舌を仕事にしていることをばかにしている。

至是為従約長、并相六国。 行過洛陽。 車騎輜重、擬於王者。

昆弟妻嫂、側目不敢視。俯伏、侍取食。

〇蘇秦が遊説に失敗し困窮していたときは軽んじて相手にせず、同盟の長のなったときはひれ伏して対応した。親族の態度が大きく変わっている。

蘇秦笑曰、「何前倨而後恭也」。嫂曰、 「見季子位高金多也」。

秦喟然歎曰、 「此一人之身、 富貴則親戚畏懼之、貧賎則軽易之。況衆人乎。

蘇秦は、ため息をついて嘆いて言うことには 「私は(今も昔も)同じ人間の身であるのに、裕福で地位が高ければ親戚でさえ私のことを恐れはばかり、貧しく地位が低ければ、私のことをあなどり軽んじる。ましてや他人であればなおさらだ。

・況~乎…「いはんや~をや」まして~はなおさらだ。

※「親戚すら」相手が富貴か貧賤かで態度をかえる、「一般の人なら」なおさらそうだろう。そんな人間のあり方にため息をついた。

使我有洛陽負郭田二頃、豈能佩六国相印乎。」

我をして洛陽負郭の田二頃有らしめば、に能く六国の相印を佩びんや。」

もし私が洛陽近郊に二項の広さの良質な田地を持っていたなら、(それで満足しており)どうして六国の宰相の印を身につけることができただろうか、いやできなかっただろう。」と。

・城壁に近い部分は肥沃で良質な土地だった。

・使AB、…仮定「AをしてBしめば」AがBするならば、 

※「使」は使役の働きもあるが、ここでは仮定を意味するととる。「使し」と読むこともある。

・豈~乎…反語「豈に~んや」どうして~だろうか、いや~ない。

→豈能~乎「豈に能く~んや」どうして~できるだろうか、いやできないだろう。

於是、散千金、以賜宗族朋友。

『史記』には、これまで恩を受けた人々に恩返しをしたとの記述がある。

史記 全8巻セット (ちくま学芸文庫) 

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