『枕草子』木の花は 現代語訳・品詞分解・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. 紅梅・桜・藤
  4. 橘
  5. 梨
  6. 桐
  7. 楝
  8. テスト予想問題

『枕草子(まくらのそうし)』「木の花は」の現代語訳・品詞分解・解説です。

紅梅・桜・藤に始まり、橘・梨・桐・楝(あふち)と、木に咲く花を次々に取り上げて、清少納言がどこに心ひかれるのかを述べた段です。日本では評判のよくない梨の花を、中国の詩をきっかけに見直していくところや、桐と鳳凰・琴の結びつきなど、和歌や漢詩の知識をふまえた見方がよく問われます。

原文の読み方

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現代語訳・品詞分解・解説

紅梅・桜・藤

原文
木の格助体修花は係助区別、濃きク連体も係助並列薄きク連体も係助並列紅梅こうばい。

現代語訳木に咲く花では、濃い色でも薄い色でも、紅梅(がすばらしい)。

紅梅(こうばい)
紅色の花の咲く梅。
解説

あとに「よし(よい)」などの言葉が省略されている。次の桜の文も同じ。

原文
桜は係助区別、花びら大きにナリ連用、葉の格助体修色濃きク連体が格助主格、枝細くク連用て接助状態咲きカ四連用たる存続連体。

現代語訳桜は、花びらが大きく、葉の色の濃いのが、細い枝に咲いているの(がよい)。

解説

桜は、花びらが大きく、葉の色が濃く、細い枝に咲いているものがよいと述べている。

原文
藤の格助体修花は係助区別、しなひ長くク連用、色濃くク連用咲きカ四連用たる存続連体、いと副めでたしク終止。

現代語訳藤の花は、しなやかに垂れた花房が長くて、濃い色に咲いているのが、とてもすばらしい。

しなひ
(藤の花房の)しなやかにたわむさま。
めでたし
すばらしい。

橘

原文
四月うづきの格助体修つごもり、五月さつきの格助体修ついたちの格助体修ころほひ、橘たちばなの格助体修葉の格助主格濃くク連用青きク連体に格助場所、花の格助主格いと副白うク連用・音咲きカ四連用たる存続連体が格助主格、

現代語訳四月の末から五月の初めのころ、橘の葉が濃く青々としているところに、花がたいそう白く咲いているのが、

四月(うづき)
陰暦の四月。夏のはじめ。
つごもり
月末。
ついたち
月のはじめ。
ころほひ
ころ。
解説

「葉の」「花の」の「の」は主格(〜が)。

原文
雨うち降りラ四連用たる存続連体つとめてなど副助例示は係助強意、世に格助場所なうク連用・音心あるラ変連体さまに断定連用をかしシク終止。

現代語訳雨がさっと降った早朝などは、世にまたとないほど風情のある様子でおもしろい。

つとめて
早朝。
世になし
世にまたとない。
心あり
風情がある。
解説

筆者が、橘が最も美しいとしているのは、雨が降った早朝。濃い青の葉と白い花が、雨にぬれている様子である。

原文
花の格助体修中なかより格助起点黄金こがねの格助体修玉か係助疑問と格助引用見えヤ下二連用て接助単純接続、いみじうシク連用・音あざやかにナリ連用見えヤ下二連用たる存続連体など副助例示、朝露あさつゆに格助原因ぬれラ下二連用たる存続連体あさぼらけの格助体修桜に格助比較おとらラ四未然ず打消終止。

現代語訳花の中から(実が)黄金の玉かと思うように見えて、たいそう鮮やかに見えているのなどは、朝露にぬれた夜明け方の桜に劣らない。

黄金(こがね)
金。
あさぼらけ
夜明け方。
解説

「黄金の玉」は、白い花の中に見える、黄色く色づいた橘の実のたとえ。

「朝露にぬれたる」のは桜。雨にぬれた早朝の橘と、朝露にぬれた夜明けの桜を比べ、橘の花と実の美しさは桜に劣らないと述べている。

原文
ほととぎすの格助体修よすがと格助引用さへ副助添加思へハ四已然ば接助順接確定に断定連用や係助疑問、なほ副さらに副言ふハ四終止べう可能連用・音も係助強意あらラ変未然ず打消終止。

現代語訳ほととぎすがとまる木だとまで思うからであろうか、やはり、今さら言葉にできないほどすばらしい。

よすが
身を寄せるところ、ゆかり。
さらに
改めて。
解説

ほととぎすは橘の木を好んで宿るとされ、古歌にもよまれている。「さへ」は添加(〜までも)で、見た目の美しさに加えて、ほととぎすとゆかりが深いことを、橘をほめる理由として付け加えている。

「にや」のあとに「あらむ」などが省略されている(結びの省略)。「〜であろうか」と訳す。

「なほさらに言ふべうもあらず」は、やはり、今さら言葉にできないほどすばらしい、ということ。

梨

原文
梨の格助体修花、世よに副すさまじきシク連体ものに断定連用しサ変連用て接助単純接続、近うク連用・音もてなさサ四未然ず打消連用、はかなきク連体文ふみつけなど副助例示だに副助類推せサ変未然ず打消終止。

現代語訳梨の花は、実におもしろみのないものとして、身近に置いてもてはやすこともなく、ちょっとした手紙を結びつけることさえしない。

よに
実に、非常に。
すさまじ
興ざめだ、おもしろみがない。
もてなす
大切に扱う、もてはやす。
はかなき文
ちょっとした手紙。手紙を花の枝に結びつけて贈る習慣があった。
解説

「だに」は類推(〜さえ)。ちょっとした手紙さえ結びつけないのだから、まして大切な手紙は言うまでもない、という気持ち。

原文
愛敬あいぎやうおくれラ下二連用たる存続連体人の格助体修顔など副助婉曲を格助対象見マ上一連用て接助単純接続は係助強意、たとひに格助手段言ふハ四連体も係助添加、げに副、葉の格助体修色より格助起点はじめマ下二連用て接助単純接続、あいなくク連用見ゆるヤ下二連体を接助逆接確定、

現代語訳かわいげのない人の顔などを見ると、(梨の花のようだと)たとえて言うのも、なるほど(もっともで)、葉の色から始まって、どこもつまらなく見えるのだが、

愛敬(あいぎやう)
かわいらしさ、魅力。
おくる
劣る、欠けている。
あいなし
つまらない、感心しない。
解説

「たとひに言ふ」は、かわいらしさに欠ける人の顔を、梨の花にたとえて言うこと。

「げに」は、梨の花がそのようにたとえられるのも、なるほどもっともだと同意する気持ち。

原文
唐土もろこしに格助場所は係助区別限りなきク連体ものに断定連用て接助単純接続、文ふみに格助結果も係助添加作るラ四連体、なほ副さりとも接やうあらラ変未然む推量終止と格助引用、せめて副見れマ上一已然ば接助順接確定、

現代語訳中国ではこの上ないものとして、詩文にも作るのは、やはりそうはいってもわけがあるのだろうと、強いて(よく)見ると、

唐土(もろこし)
中国。
文(ふみ)
漢詩文。
さりとも
そうはいっても。
やう
理由、わけ。
せめて
強いて、無理に。
解説

「せめて見れば」は、日本ではつまらない花とされるが、中国ではこの上ないものとして詩文にも作られるので、そのわけを見つけようとして、よくよく見ると、ということ。

原文
花びらの格助体修端はしに格助場所、をかしきシク連体にほひこそ係助強意、心もとなうク連用・音つきカ四連用た存続連体・音めれ推定已然。

現代語訳花びらの端に、美しい色つやが、ほのかについているようだ。

にほひ
美しい色つや。
心もとなし
ほのかだ、はっきりしない。
解説

「心もとなう」は「心もとなく」のウ音便。「つきためれ」の「た」は「たる」の撥音便「たん」の「ん」が書かれていない形。

「こそ」の結びは「めれ」(「めり」の已然形)。

原文
楊貴妃やうきひの格助主格、帝みかどの格助体修御使ひに格助対象会ひハ四連用て接助単純接続泣きカ四連用ける過去連体顔に格助対象似せサ下二連用て接助単純接続、「梨花りくわ一枝いつし、春、雨を格助対象帯びバ上二連用たり存続終止。」など副助引用言ひハ四連用たる完了連体は係助区別、

現代語訳楊貴妃が、玄宗皇帝の使者に会って涙を流した顔にたとえて、「一枝の梨の花が、春、雨にぬれている。」などと詠んだのは、

楊貴妃(やうきひ)
唐の玄宗皇帝に愛された妃。
解説

「梨花一枝、春、雨を帯びたり」は、白居易(白楽天)の「長恨歌」の一節。亡くなった楊貴妃が、仙界で玄宗の使いに会って涙を流す顔を、春の雨にぬれた一枝の梨の花にたとえたもの。「梨花」は楊貴妃の顔、「春雨」は涙にあたる。

原文
おぼろけならナリ未然じ打消推量終止と格助引用思ふハ四連体に接助添加、なほ副いみじうシク連用・音めでたきク連体ことは係助強意、たぐひあらラ変未然じ打消推量終止と格助引用おぼえヤ下二連用たり完了終止。

現代語訳ありふれたことではないだろうと思うにつけても、やはりこの上なくすばらしい点は、比べるものがないだろうと思われた。

おぼろけなり
並ひととおりだ。
たぐひ
同類のもの、並ぶもの。
解説

白居易が楊貴妃の顔を梨の花にたとえたのは、並ひととおりのことではないはずだと考え、筆者は梨の花の評価を改めた。日本での評価(すさまじ・あいなし)と、中国での評価(限りなきもの)が対比されている。

桐

原文
桐きりの格助体修木の格助体修花、紫に格助状態咲きカ四連用たる存続連体は係助区別、なほ副をかしきシク連体に接助逆接確定、葉の格助体修広ごりざまぞ係助強意、うたて副こちたけれク已然ど接助逆接確定、

現代語訳紫色に咲いている桐の木の花は、やはり趣があるが、葉の広がり具合がいやに仰々しいけれど、

広ごりざま
広がり方。
うたて
いやに、不快に。
こちたし
大げさだ、ぎょうぎょうしい。
解説

「ぞ」の結びになるはずの「こちたけれ」は、接続助詞「ど」が付いて文が続いているので、係り結びが成立していない(結びの流れ)。

原文
異木どもと格助比較等しうシク連用・音言ふハ四終止べき可能連体に断定連用も係助強意あらラ変未然ず打消終止。

現代語訳ほかの木々と同列に論じることのできるものでもない。

異木(ことき)ども
ほかの木々。
解説

桐は、葉の様子は大げさだが、ほかの木と同列に論じられないほど特別な木だと述べている。

原文
唐土もろこしに格助場所ことごとしきシク連体名つきカ四連用たる存続連体鳥の格助主格、えりラ四連用て接助単純接続これ代名に格助場所のみ副助限定ゐるワ上一終止らむ伝聞連体、いみじうシク連用・音心ことなりナリ終止。

現代語訳中国で大げさな名のついた鳥が、わざわざ選んで、この木にばかりとまるというのは、格別な感じがする。

ことごとし
大げさだ、仰々しい。
心ことなり
格別だ。
解説

「ことごとしき名つきたる鳥」は鳳凰。中国で、鳳凰は桐の木にだけとまるとされた。

原文
まいて副琴ことに格助結果作りラ四連用て接助単純接続、さまざまなるナリ連体音ねの格助主格出で来いでくるカ変連体など副助婉曲は係助強意、をかしシク終止など副助婉曲世の格助体修常に格助手段言ふハ四終止べく可能連用やは係助反語あるラ変連体。

現代語訳まして琴に作って、さまざまな音が出てくるのなどは、おもしろいなどと世間並みの言葉で言ってよいものだろうか、いや、言えはしない。

まいて
まして。
世の常
世間並み、ありきたり。
解説

「やは」は反語。琴の材料になって、さまざまな音が出てくることなどは、「をかし」などとありきたりの言葉で言えるものではない、ということ。

現代語訳実にすばらしいものだ。

楝

原文
木の格助体修さまにくげなれナリ已然ど接助逆接確定、楝あふちの格助体修花いと副をかしシク終止。

現代語訳木の姿は見苦しいけれど、楝の花はたいそうおもしろい。

にくげなり
見苦しい、感じがよくない。
楝(あふち)
センダンの古名。初夏に薄紫の小さな花が咲く。
原文
かれがれにナリ連用、さまことにナリ連用咲きカ四連用て接助単純接続、必ず副五月五日さつきいつかに格助時間あふハ四連体も係助添加をかしシク終止。

現代語訳枯れかかったような姿で、ほかと違った咲き方をし、五月五日(の節句)には決まって咲き合うのもおもしろい。

かれがれなり
枯れたような感じだ。
さまことなり
風変わりだ。
解説

楝の花を「をかし」とするのは、①枯れたような感じで風変わりに咲くこと、②必ず五月五日(端午の節句)に咲き合うことの二点。

「あふ」は「あふち(楝)」の名にかけた言葉遊びになっている。

『枕草子』のほかの章段:春はあけぼの / 二月つごもりごろに / 頭の弁の、職に参り給ひて① / 大納言殿参り給ひて / 九月ばかり / すさまじきもの① / 雪のいと高う降りたるを / 中納言参りたまひて

テスト予想問題

A 読み・語句

  1. 次の語の読みを現代仮名遣いで答えよ。
    ①四月
    ②黄金
    ③愛敬
    ④唐土
    ⑤楝

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    ①うづき
    ②こがね
    ③あいぎょう
    ④もろこし
    ⑤おうち

  2. 次の語の、本文中での意味を答えよ。
    ①つとめて
    ②すさまじき
    ③あいなく
    ④せめて
    ⑤心もとなう
    ⑥おぼろけなら(じ)
    ⑦こちたけれ
    ⑧世の常

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    ①早朝
    ②興ざめだ(おもしろみがない)
    ③つまらない
    ④強いて
    ⑤ほのかに
    ⑥並ひととおりだ
    ⑦大げさだ
    ⑧世間並み(ありきたり)

B 文法

  1. 次の傍線部の副助詞・係助詞の意味を答えよ。
    ①ほととぎすのよすがと【さへ】思へば
    ②はかなき文つけなど【だに】せず
    ③これに【のみ】ゐるらむ
    ④世の常に言ふべく【やは】ある

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    ①添加
    ②類推
    ③限定
    ④反語

  2. 次の各文の係り結びがどうなっているか説明せよ。
    ①「ほととぎすのよすがとさへ思へばにや、」
    ②「葉の広ごりざまぞ、うたてこちたけれど、」
    ③「をかしきにほひこそ、心もとなうつきためれ。」

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    ①「や」の結びの「あらむ」などが省略されている(結びの省略)。
    ②「ぞ」の結びになるはずの「こちたけれ」に接続助詞「ど」が付いて文が続き、係り結びが成立していない(結びの流れ)。
    ③「こそ」の結びは、推定の助動詞「めり」の已然形「めれ」。

  3. 「をかしきにほひこそ、心もとなうつきためれ」の中で音便化している語を二つ探して元の形を書き、全体を現代語訳せよ。

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    心もとなう→心もとなく た→たる 訳=美しい色つやが、ほのかについているようだ。

C 内容

  1. 橘について、①筆者が最も美しいとしているのは、どのような天気の、どの時間帯か。②「黄金の玉」は何をたとえたものか。③「朝露にぬれたる」のは何か。

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    ①雨が降った(雨の上がった)早朝。
    ②橘の実。
    ③(夜明け方の)桜。

  2. 「なほさらに言ふべうもあらず」を現代語訳せよ。また、筆者がそう思う理由として、見た目の美しさに加えて挙げていることは何か。

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    訳=やはり、今さら言葉にできないほどすばらしい。理由=橘が、ほととぎすが身を寄せる木(ほととぎすとゆかりの深い木)であること。

  3. 梨の花について、①日本での評価を表す形容詞を二つ、終止形で抜き出せ。②筆者が「せめて見」たのはなぜか。

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    ①すさまじ・あいなし
    ②日本ではつまらない花とされるのに、中国ではこの上ないものとして詩文にも作られるので、その理由を見つけようとしたから。

  4. 「梨花一枝、春、雨を帯びたり」について、①この詩句の出典となった詩の題名と作者名を答えよ。②「梨花」「春雨」はそれぞれ何をたとえたものか。

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    ①「長恨歌」・白居易(白楽天)
    ②梨花=楊貴妃の(泣いている)顔 春雨=(楊貴妃の)涙

  5. 「ことごとしき名つきたる鳥」とは何か。また、筆者が桐を「異木どもと等しう言ふべきにもあらず」とするのは、どのような点からか。二つ答えよ。

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    鳳凰。①中国で、鳳凰が選んで桐の木にだけとまるとされている点。②琴の材料になって、さまざまな音が出てくる点。

  6. 筆者が楝の花を「をかし」とする点を二つ説明せよ。

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    ①枯れたような感じで、風変わりに咲く点。②必ず五月五日(端午の節句)に咲き合う点。