『源氏物語』若菜上(女三の宮の降嫁)③ 現代語訳・品詞分解・敬語・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. 紫の上の不安
  4. 女房たちの嘆き
  5. 紫の上の言葉
  6. 眠れない夜
  7. テスト予想問題

『源氏物語(げんじものがたり)』若菜上(わかなじょう)の巻、「女三の宮の降嫁(おんなさんのみやのこうか)」の場面の後半、「年ごろ、さもやあらむと思ひしことどもも」から「夜深き鶏の声の聞こえたるも、ものあはれなり」までの現代語訳・品詞分解・敬語・解説です(全3回の③)。若菜上②の続きです。

光源氏が女三の宮のもとへ出かけた夜。紫の上は、これから先への不安を胸におさめ、女房たちの前でも平静にふるまいます。ひとりで床に入ってからは、須磨の別れを思い出して心を立て直そうとしますが、眠れないまま夜が明けていきます。

原文の読み方

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現代語訳・品詞分解・解説

紫の上の不安

原文
年としごろ、さ副も係助強意や係助疑問あらラ変未然む推量連体と格助引用思ひハ四連用し過去連体ことどもも係助添加、今はと格助引用のみ副助限定もて離はなれラ下二連用給ひ補・ハ四連用尊→光源氏つつ接助反復、さらば接かく副に断定連用こそ係助強意は係助強意と格助引用、うち解けゆくカ四連体末すゑに格助時間、

現代語訳長年の間、そういうこともあるだろうかと心配していたことも、(光源氏は)今はもうすっかり遠ざかりなさって、それならばこのまま(変わらないの)だろうと、(紫の上が)安心しきっていたその果てに、

もて離る
遠ざかる。
うち解く
安心する。気をゆるす。
解説

「さもやあらむ」の「さ」は、光源氏がほかの女性に心を移すこと。紫の上は長年そのことを心配していた。

「さらばかくにこそは」は、それならこのまま、光源氏の自分への愛情は変わらないだろう、ということ。

原文
ありありて、かく副世の格助体修聞き耳ききみみも係助強意なのめならナリ未然ぬ打消連体ことの格助主格出で来いできカ変連用ぬる完了連体よ終助詠嘆、

現代語訳あげくの果てに、こんなに世間の聞こえもただごとではないことが起こってしまったことよ、

ありありて
あげくの果てに。
聞き耳
世間の聞こえ。評判。
なのめならず
ひととおりではない。
解説

「かく世の聞き耳もなのめならぬこと」は、女三の宮の降嫁。安心しきっていたところに起こった出来事への、紫の上の驚きと嘆きが表れている。

原文
思ひ定むマ下二終止べき可能連体世の格助体修ありさまに断定連用も係助強意あら補・ラ変未然ざり打消連用けれ過去已然ば接助順接確定、今より格助起点後のちも係助添加後うしろめたくク連用ぞ係助強意思おぼしなりラ四連用尊→紫の上ぬる完了連体。

現代語訳安心して身をゆだねられる夫婦の仲ではなかったのだから、今後も気がかりなことだと(紫の上は)思うようにおなりになった。

思ひ定む
(安心して)心を決める。
後ろめたし
不安だ。気がかりだ。
解説

二人の仲は安心しきってよいものではなかったと知り、紫の上はこれから先も不安に思うようになった。

女房たちの嘆き

現代語訳(紫の上は)あのようにさりげなく紛らしていらっしゃるけれど、お仕えする女房たちも、「思いもよらない夫婦の成り行きですこと。

つれなし
平然としている。何気ない。
紛らはす
(心の内を)ごまかす。
思はずなり
意外だ。思いがけない。
解説

「さこそつれなく紛らはし給へど」は、紫の上が心の内を見せずに平然とふるまっていることを言う。

ここから「出で来なむかし」までは、紫の上に仕える女房たちの言葉。

原文
あまた副ものしサ変連用給ふ補・ハ四終止尊→光源氏の夫人方やうなれ比況已然ど接助逆接確定、いづ方かた代名も係助強意、皆みな副、こなた代名の格助体修御おほんけはひに格助対象は係助区別方避かたさりラ四連用憚はばかるラ四連体さまにて格助状態

現代語訳(殿には)大勢の方がいらっしゃるようだけれど、どなたも皆、こちら(紫の上)のご威勢には遠慮し、気がねする様子で

あまた
たくさん。
ものす
(ここでは)いる。いらっしゃる。
方避る
遠慮して避ける。
憚る
気がねする。
解説

「あまたものし給ふ」のは、光源氏のほかの夫人たち。

「こなた」は紫の上。

原文
過ぐしサ四連用給へ補・ハ四已然尊→光源氏の夫人方ば接助順接確定こそ係助強意、事なくク連用なだらかにナリ連用も係助強意あれ補・ラ変已然。押し立ちタ四連用て接助状態かばかり副なる断定連体ありさまに格助対象、消けたタ四未然れ受身連用て接助状態も係助強意え副過ぐしサ四連用給は補・ハ四未然尊→紫の上じ打消推量終止。

現代語訳お過ごしになっているからこそ、何事もなく穏やかに済んでいるのです。(女三の宮の)強引なこれほどのなさりように、(紫の上が)押されたままでお過ごしになることはできないでしょう。

なだらかなり
穏やかだ。
押し立つ
我を通す。強引にする。
消つ
圧倒する。
解説

これまで事が穏やかに済んでいたのは、ほかの夫人たちが紫の上に遠慮していたから。

「押し立ちてかばかりなるありさま」は、女三の宮の、遠慮のない強引なこれほどのありさま。

「消たれてもえ過ぐし給はじ」の主語は紫の上。

原文
また接、さりとて接、はかなきク連体ことに格助対象つけカ下二連用て接助単純接続も係助強意やすからク未然ぬ打消連体ことの格助主格あらラ変未然む婉曲連体折々をりをり、必かならず副わづらはしきシク連体ことども出で来いできカ変連用な強意未然む推量終止かし終助念押し。」

現代語訳しかしまた、そうかといって、ちょっとしたことにつけても穏やかでないことが起こるような折々には、きっと面倒なことがいろいろ起こってくるでしょうよ。」

はかなし
ちょっとした。
やすからず
穏やかでない。
わづらはし
面倒だ。厄介だ。
原文
など副助引用、おのがじし副うち語らひハ四連用嘆かしげなるナリ連体を格助対象、つゆ副も係助強意見知らラ四未然ぬ打消連体やうに比況連用、

現代語訳などと、めいめいに話し合って嘆かわしそうにしているのを、(紫の上は)まったく気づかないかのように、

おのがじし
めいめいに。
うち語らふ
話し合う。
つゆ〜打消
少しも〜ない。
解説

「つゆも見知らぬやうに」は、紫の上が、女房たちの嘆きにまったく気づかないかのようにふるまうということ。

現代語訳とても和やかな雰囲気で世間話などをなさっては、夜がふけるまでお休みにならずにいらっしゃる。

けはひ
感じ。雰囲気。
物語
世間話。
解説

紫の上は、悲しみを女房たちにも見せず、平静を装って夜更けまで起きている。

紫の上の言葉

原文
かう副人の格助主格ただならナリ未然ず打消連用言ひ思ひハ四連用たる存続連体も係助強意聞きにくしク終止と格助引用思おぼしサ四連用尊→紫の上て接助単純接続、

現代語訳このように女房たちがただごとではないと口に出したり心に思ったりしているのも、聞くにたえないとお思いになって、

聞きにくし
聞き苦しい。
解説

「人」は、紫の上に仕える女房たち。

原文
「かく副これかれ代名あまた副ものしサ変連用給ふ補・ハ四終止尊→光源氏の夫人方めれ推定已然ど接助逆接確定、御心みこころに格助対象かなひハ四連用て接助状態今いまめかしくシク連用優すぐれラ下二連用たる存続連体際きはに断定連用も係助強意あら補・ラ変未然ず打消終止と格助引用、

現代語訳「このように、あの方この方と大勢いらっしゃるようですが、(殿の)お心にかなうような、当世風で身分の高い方でもないと、

これかれ
あの方この方。
今めかし
当世風だ。はなやかだ。
際
身分。
解説

ここから「なむ思ふ」までは、紫の上が女房たちに言った言葉。

「今めかしく優れたる際にもあらず」は、これまでの光源氏の夫人たちが、光源氏の心にかなうような当世風で身分の高い方ではなかった、ということ。

原文
目めなれラ下二連用て接助状態さうざうしくシク連用思おぼしサ四連用尊→光源氏たり存続連用つる完了連体に接助順接確定、こ代名の格助体修宮の格助主格かく副渡りラ四連用給へ補・ハ四已然尊→女三の宮る完了連体こそ係助強意目めやすけれク已然。

現代語訳見慣れてもの足りなく思っていらっしゃったので、この宮がこうしてお越しになったのは、ちょうどよいことです。

目なる
見慣れる。
さうざうし
もの足りない。
目やすし
見た目に感じがよい。好ましい。
解説

「さうざうしく思したりつる」の主語は光源氏。

「この宮」は女三の宮。

原文
なほ副童心わらはごころの格助主格失うせサ下二未然ぬ打消連体に断定連用や係助疑問あら補・ラ変未然む推量連体、我代名も係助添加むつびバ四連用聞こえ補・ヤ下二連用謙→女三の宮て接助状態あらラ変未然まほしき希望連体を接助逆接確定、あいなくク連用隔へだてあるラ変連体さまに格助内容人々や係助疑問とりなさサ四未然む推量終止と格助引用すサ変終止らむ現在推量連体。

現代語訳やはり子どもっぽい心がなくならないのでしょうか、私も(宮と)親しくさせていただきたいのに、困ったことに、隔てがあるように女房たちがとりざたしようとしているのでしょうか。

童心(わらはごころ)
子どもっぽい心。
むつぶ
親しくする。
あいなし
困ったことに。筋違いに。
とりなす
(事実と違うように)言いなす。
解説

「むつび聞こえて」の「聞こえ」は、紫の上から女三の宮への敬意を表す謙譲語。

原文
等ひとしきシク連体ほど、劣おとりざまなど副助例示思ふハ四連体人に格助対象こそ係助強意、ただならナリ未然ず打消連用耳立みみたつタ四連体ことも係助強意おのづから副出で来いでくるカ変連体わざなれ断定已然。

現代語訳(自分と)同じくらいの身分だとか、劣っているなどと思う相手に対してこそ、穏やかでなく聞きとがめたくなることも自然と出てくるものです。

耳立つ
(話などが)耳にとまる。聞きとがめる。
解説

「等しきほど、劣りざまなど思ふ人」は、自分と同じくらいか、劣っていると思う相手。身分の高い女三の宮はそういう相手ではないので、張り合う気持ちはない、と紫の上は言っている。

現代語訳(宮は)おそれ多くお気の毒なご身の上のようですから、なんとかして隔て心を置かれ申し上げないようにしようと思っています。」などとおっしゃるので、

かたじけなし
おそれ多い。
心苦し
気の毒だ。
いかで
なんとかして。
心置く
隔て心を持つ。
原文
中務なかつかさ・中将の君ちゆうじやうのきみなど副助例示やうの格助体修人々、目を格助対象くはせサ下二連用つつ接助反復、「あまりなるナリ連体御思おほんおもひやりかな終助詠嘆。」など副助引用言ふハ四終止べし推量終止。

現代語訳中務や中将の君などといった女房たちは、目くばせをしながら、「あまりにも行き届きすぎたお心づかいですこと。」などと言っているようだ。

中務(なかつかさ)・中将の君
紫の上に仕える女房。
目をくはす
目くばせする。
思ひやり
思いやり。心づかい。
解説

女房たちは、紫の上の言葉を思いやりが過ぎると受け取っている。

原文
昔は係助区別、ただならナリ未然ぬ打消連体さまに格助状態、使つかひならしサ四連用給ひ補・ハ四連用尊→光源氏し過去連体人どもなれ断定已然ど接助逆接確定、年としごろは係助区別こ代名の格助体修御方おほんかたに格助対象候さぶらひハ四連用謙→紫の上て接助単純接続、皆みな副心寄こころよせサ下二連用聞こえ補・ヤ下二連用謙→紫の上たる存続連体な断定連体・音めり推定終止。

現代語訳昔は、(光源氏が)特別な扱いで召し使っていらっしゃった女房たちだが、長年この御方(紫の上)にお仕えして、みな(紫の上に)お味方申し上げているようだ。

使ひならす
いつも使って手なれさせる。
心寄す
味方する。好意を寄せる。
解説

「使ひならし給ひし」の主語は光源氏。中務や中将の君は、もとは光源氏が特別に目をかけて使っていた女房だが、今では皆、紫の上の味方になっている。

原文
異御方々ことおほんかたがたより格助起点も係助添加、「いかに副思おぼすサ四終止尊→紫の上らむ現在推量連体。もとより副思ひ離れラ下二連用たる存続連体人々は係助区別、なかなか副心やすきク連体を終助詠嘆。」

現代語訳ほかのご夫人方からも、「(紫の上は)どんなお気持ちでしょう。私たちのように最初から(殿の愛情を)あきらめている者は、かえって気楽なのですが。」

異御方々(ことおおんかたがた)
(光源氏の)ほかの夫人たち。
思ひ離る
あきらめる。
なかなか
かえって。
解説

ほかの夫人たちは、自分たちは初めから光源氏の愛情をあきらめているので気楽だ、と言って、紫の上の気持ちを探っている。

現代語訳などと、(紫の上の)気持ちを探るようにお見舞い申し上げなさる方もいるが、(紫の上は)このように推し量る人こそ、かえってつらいことだ、

おもむく
(気持ちを)探る。それとなく水を向ける。
訪(とぶら)ふ
見舞う。
推し量る
推測する。
解説

「かく推し量る人」は、紫の上の心中を推し量って見舞ってくるほかの夫人たち。そういう人がいることが、紫の上にはかえってつらい。

原文
世の中よのなかも係助強意いと副常つねなきク連体ものを接助順接確定、などてか副、さ副のみ副助限定は係助強意思ひなやまマ四未然む推量連体など副助引用思おぼすサ四終止尊→紫の上。

現代語訳世の中もたいそう無常なものなのに、どうしてそんなにばかり思い悩むことがあろうか、などとお思いになる。

常なし
無常だ。
などてか
どうして〜か。
解説

世の中は無常なのだから、どうしてそんなに思い悩むことがあろうか、と紫の上は自分に言い聞かせている。

眠れない夜

原文
あまり副久しきシク連体宵居よひゐも係助強意、例れいならず、人や係助疑問咎とがめマ下二未然む推量連体と格助引用、心の鬼こころのおにに格助状態思おぼしサ四連用尊→紫の上て接助原因入りラ四連用給ひ補・ハ四連用尊→紫の上ぬれ完了已然ば接助順接確定、御衾おほんふすま参まゐりラ四連用謙→紫の上ぬれ完了已然ど接助逆接確定、

現代語訳あまりに遅くまで起きているのも、ふだんと違うと女房たちが不審に思うかもしれないと、心がとがめて寝所にお入りになると、(女房が)夜具をおかけ申し上げたが、

宵居(よいい)
夜遅くまで起きていること。
例ならず
いつもと違う。
心の鬼
良心のとがめ。気のとがめ。
御衾(おおんふすま)
夜具。
解説

いつもと違って夜ふかしをしていると、女房たちが(紫の上の心中を)怪しむだろうと思い、気がとがめて寝所に入った。

「御衾参り」の主語は女房。「参り」は作者から紫の上への敬意を表す謙譲語。

原文
げに副、傍かたはら寂さびしきシク連体夜な夜よなよな経へハ下二連用に完了連用ける過去連体も係助強意、なほ副ただならナリ未然ぬ打消連体心地すれサ変已然ど接助逆接確定、

現代語訳なるほど、(夫が)そばにいない寂しい夜を幾晩も過ごしてきたことも、やはり穏やかではいられない心持ちがするが、

傍ら寂し
そばに(夫が)いなくて寂しい。
経(ふ)
(時を)過ごす。
原文
か代名の格助体修須磨すまの格助体修御別おほんわかれの格助体修折など副助例示を格助対象思し出おぼしいづれダ下二已然尊→紫の上ば接助順接確定、今はと格助引用かけ離れラ下二連用給ひ補・ハ四連用尊→光源氏て接助状態も係助強意、ただ副同じシク連体世の格助体修内うちに格助状態聞きカ四連用奉たてまつら補・ラ四未然謙→光源氏ましか反実仮想未然ば接助順接仮定と格助引用、

現代語訳あの須磨へのお別れの時などをお思い出しになると、(あのとき光源氏が)もうこれまでと遠く離れてしまわれても、ただ同じこの世に生きていらっしゃるとお聞きできるのなら(それでいい)と、

須磨の御別れ
光源氏が須磨に退去したときの別れ。
かけ離る
遠く離れる。
解説

「かけ離れ給ひ」の主語は光源氏。

「聞き奉らましかば」の後には、「(どんなに)うれしいだろう」という意味の言葉が省略されている。遠く離れても、光源氏が同じこの世に生きていると聞けるなら、それだけでよいと思ったのである。

原文
わ代名が格助体修身まで副助範囲の格助体修ことは係助区別うちおきカ四連用、あたらしくシク連用悲しかりシク連用し過去連体ありさまぞ終助強意かし終助念押し、

現代語訳自分の身のことはさしおいて、(光源氏の身を)惜しく悲しく思ったありさまだったのだよ、

あたらし
惜しい。もったいない。
解説

「あたらしく悲しかりしありさま」は、須磨に退去した光源氏の様子。紫の上は自分のことはさておき、光源氏の身を惜しみ悲しんだ。

原文
さて副、そ代名の格助体修紛まぎれに格助状態、我代名も係助並列人も係助並列命耐たへハ下二未然ず打消連用なりラ四連用な強意未然ましか反実仮想未然ば接助順接仮定、言いふかひあらラ変未然まし反実仮想連体世かは終助反語と格助引用思し直おぼしなほすサ四終止尊→紫の上。

現代語訳もしあのまま、その騒ぎの中で、私も殿も命がもたなくなっていたとしたら、言うかいのある二人の仲だっただろうか、いや、そうではない、と思い直しなさる。

紛れ
混乱。騒ぎ。
言ふかひあり
言うだけのかいがある。
解説

「我も人も」は、紫の上も光源氏も。

「言ふかひあらまし世かは」の「かは」は反語。あのとき二人とも死んでいたら、今のような夫婦の仲もなかった、と考えて、紫の上は心を立て直している。

原文
風うち吹きカ四連用たる存続連体夜よるの格助体修けはひ冷ひややかにナリ連用て接助状態、ふと副も係助強意寝入ねいらラ四未然れ可能連用給は補・ハ四未然尊→紫の上ぬ打消連体を格助対象、

現代語訳風が吹いている夜の気配は冷え冷えとして、すぐには寝つくこともおできにならないのを、

冷ややかなり
冷え冷えとしている。
ふと
すぐに。
原文
近くク連用候さぶらふハ四連体謙→紫の上人々、あやしシク終止と格助引用や係助疑問聞かカ四未然む推量連体と格助引用、うちも係助強意身みじろきカ四連用給は補・ハ四未然尊→紫の上ぬ打消連体も係助添加、なほ副いと副苦しげなりナリ終止。

現代語訳おそばに仕える女房たちが変だと聞きつけるだろうかと、身動きひとつなさらないのも、やはりたいそう苦しそうである。

あやし
変だ。不審だ。
身じろく
身動きする。
解説

紫の上が身動きもしないのは、眠れずにいるのを近くの女房たちに気づかれないようにするため。人の目を意識して、心の内を見せまいとしている。

原文
夜よ深きク連体鶏とりの格助体修声の格助主格聞こえヤ下二連用たる存続連体も係助添加、ものあはれなりナリ終止。

現代語訳まだ夜深いうちに鳴く鶏の声が聞こえてくるのも、しみじみともの悲しい。

夜深し
(明け方には)まだ間がある。
鶏(とり)
にわとり。夜明けを告げる。
解説

紫の上が眠れないまま、夜明けが近づいていく。

源氏物語のほかの場面:桐壺①「いづれの御時にか」 藤壺の入内 若紫①「北山の垣間見」 須磨① 御法①(紫の上の死) 明石の君の苦悩① 明石の姫君の入内①

テスト予想問題

A 読み・語句

  1. 次の語の読みを現代仮名遣いで答えよ。
    ①候ふ
    ②方避り
    ③中務
    ④異御方々
    ⑤宵居
    ⑥御衾
    ⑦鶏

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    ①さぶらう(そうろう)
    ②かたさり
    ③なかつかさ
    ④ことおおんかたがた(ことおんかたがた)
    ⑤よいい
    ⑥おおんふすま(おんふすま)
    ⑦とり

  2. 次の語の本文中での意味を答えよ。
    ①ありありて
    ②後ろめたし
    ③つれなし
    ④ものす
    ⑤今めかし
    ⑥あいなし
    ⑦かたじけなし
    ⑧心の鬼
    ⑨あたらし

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    ①あげくの果てに
    ②不安だ
    ③平然としている
    ④いる・いらっしゃる
    ⑤当世風だ
    ⑥困ったことだ・筋違いだ
    ⑦おそれ多い
    ⑧良心のとがめ・気のとがめ
    ⑨惜しい

B 文法・敬語

  1. 次の助動詞の意味を答えよ。
    ①思ひ定むべき世のありさま(べき)
    ②消たれても(れ)
    ③え過ぐし給はじ(じ)
    ④出で来なむかし(な・む)
    ⑤いかで心置かれ奉らじ(じ)
    ⑥夜な夜な経にけるも(に)
    ⑦聞き奉らましかば(ましか)
    ⑧ふとも寝入られ給はぬを(れ)

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    ①可能
    ②受身
    ③打消推量
    ④な=強意、む=推量
    ⑤打消意志
    ⑥完了
    ⑦反実仮想
    ⑧可能

  2. 次の語について、敬語の種類を答え、だれからだれへの敬意かを示せ。敬語でないものは「敬語ではない」と答えよ。
    ①候ふ人々も
    ②我もむつび聞こえて(聞こえ)
    ③須磨の御別れの折などを思し出づれば(思し出づれ)
    ④夜深き鶏の声の聞こえたるも(聞こえ)

    解答を見る

    ①謙譲語。作者から紫の上へ。
    ②謙譲語。紫の上から女三の宮へ。
    ③尊敬語。作者から紫の上へ。
    ④敬語ではない(「聞こえる」の意の動詞)。

C 現代語訳・内容

  1. 「さもやあらむと思ひしことども」「さらばかくにこそは」について、①「さ」とはどのようなことか。②「さらばかくにこそは」とは、紫の上のどのような気持ちか。③「かく世の聞き耳もなのめならぬこと」とは何か。十字以内で答えよ。

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    ①光源氏がほかの女性に心を移すこと。②それならこのまま、光源氏の自分への愛情は変わらないだろうと安心する気持ち。③女三の宮の降嫁(七字)

  2. 「さこそつれなく紛らはし給へど」を、主語を補って現代語訳せよ。

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    (紫の上は)あのようにさりげなく(心の内を)紛らしていらっしゃるけれど。

  3. 女房たちの言葉について、①「こなた」とはだれか。②これまで「事なくなだらか」であったのはなぜか。③「押し立ちてかばかりなるありさま」とは、だれのどのような様子か。

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    ①紫の上
    ②光源氏のほかの夫人たちが、皆、紫の上に遠慮して控えめに過ごしていたから。③女三の宮の、遠慮のない強引なありさま。

  4. 「つゆも見知らぬやうに」を、「だれが」「何を」を補って現代語訳せよ。

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    (紫の上が、女房たちが嘆き合っているのを)まったく気づかないかのように。

  5. 「なほ童心の失せぬにやあらむ、我もむつび聞こえてあらまほしきを」を現代語訳せよ。また、だれがだれと親しくしたいと言っているのか。

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    訳=やはり子どもっぽい心がなくならないのでしょうか、私も親しくさせていただきたいのに。紫の上が、女三の宮と。

  6. 「いかで心置かれ奉らじとなむ思ふ」を現代語訳せよ。また、紫の上が女三の宮と張り合う気持ちはないと言うのは、女三の宮がどのような相手だからか。

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    訳=なんとかして(宮に)隔て心を置かれ申し上げないようにしようと思います。理由=女三の宮は、自分と同じくらいか劣っていると思うような相手ではなく、身分の高いおそれ多い方だから。

  7. 「かく推し量る人こそ、なかなか苦しけれ」について、①「推し量る人」とはだれか。②現代語訳せよ。

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    ①光源氏のほかの夫人たち(異御方々)
    ②このように(私の心を)推し量る人こそ、かえってつらいことだ。

  8. 「心の鬼に思して入り給ひぬれば」を現代語訳せよ。また、紫の上が気がとがめたのはなぜか。

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    訳=気がとがめなさって(寝所に)お入りになったので。理由=いつもと違って夜遅くまで起きていると、女房たちが(自分の心中を)怪しむだろうと思ったから。

  9. 「ただ同じ世の内に聞き奉らましかば」「あたらしく悲しかりしありさま」「言ふかひあらまし世かは」について、①「聞き奉らましかば」の後に省略されている内容を補え。②「あたらしく悲しかりしありさま」は何について言ったものか。③「言ふかひあらまし世かは」を現代語訳せよ。

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    ①(どんなに)うれしいだろう。②須磨に退去した光源氏の様子。③言うかいのある二人の仲であっただろうか、いや、そうではない(今のような夫婦の仲はなかっただろう)。