『源氏物語』御法① 現代語訳・品詞分解・敬語・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. 秋になって
  4. 中宮の見舞い
  5. やせ細った紫の上
  6. テスト予想問題

『源氏物語(げんじものがたり)』御法(みのり)の巻、「紫の上の死」の場面の前半、「秋待ちつけて、世の中少し涼しくなりては」から「すずろにもの悲し」までの現代語訳・品詞分解・敬語・解説です(全2回の①)。

秋になっても、紫の上の病は重いままです。宮中に帰る前に、明石の中宮がみずから紫の上の部屋を訪ねます。

原文の読み方

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現代語訳・品詞分解・解説

秋になって

原文
秋待ちつけカ下二連用て接助単純接続、世の中少し副涼しくシク連用なりラ四連用て接助単純接続は係助区別、御心地おほんここちも係助類例いささか副さはやぐガ四連体やうなれ比況已然ど接助逆接確定、

現代語訳(待ちかねていた)秋がやって来て、世間が少し涼しくなってからは、(紫の上の)お加減もいくぶんさわやかになったようだけれど、

待ちつく
待っていたものが来る。
御心地
(紫の上の)ご気分。
いささか
少し。
さはやぐ
さっぱりする。気分がよくなる。
原文
なほ副ともすれば副かごとがましシク終止。

現代語訳やはりどうかすると(病状が悪くなり)恨めしく思われる。

ともすれば
どうかすると。
かごとがまし
恨みがましい。(病状がぶり返して)恨めしく思われる。
原文
さるは接、身に格助対象しむマ四終止ばかり副助程度思さサ四未然尊→紫の上る自発終止べき推量連体秋風なら断定未然ね打消已然ど接助逆接確定、露けきク連体折がちにナリ連用て接助単純接続過ぐしサ四連用給ふ補・ハ四終止尊→紫の上。

現代語訳といっても実は、身にしみるほど(の寂しさを)自然とお感じになるような秋風ではないのだけれど、涙にぬれることの多い日々をお過ごしになる。

さるは
といっても実は。
露けし
涙がちだ。
〜がち
〜が多い。
解説

「身にしむばかり思さるべき秋風」は、秋のしみじみとした寂しさが身にしみるほど、自然とお感じになるような秋風。

「露けき折がち」は、紫の上が自分の命のはかなさを思って、涙を流すことが多いということ。

中宮の見舞い

現代語訳中宮が宮中へお帰りになろうとするのを、(紫の上は)もうしばらくはここにいて(私を)見舞ってほしいとでも申し上げたいとお思いになるが、

参る
(宮中に)参上する。
御覧ず
「見る」の尊敬語。
解説

「参り」は謙譲語で作者から帝への敬意、「給ひ」は尊敬語で作者から中宮への敬意。

「なむ」は「な」+「む」。「な」は助動詞「ぬ」(強意)の未然形、「む」は助動詞「む」(意志)の終止形。

「いましばしは御覧ぜよ」は、中宮がもうしばらく(二条院にとどまって)紫の上を見舞ってほしいということ。「御覧ぜよ」は、紫の上から中宮への敬意。

「聞こえ」は作者から中宮への敬意、「思せ」は作者から紫の上への敬意。

原文
さかしきシク連体やうに比況連用も係助並列あり補・ラ変連用、内裏うちの格助体修御使ひの格助主格隙ひまなきク連体も係助並列わづらはしけれシク已然ば接助順接確定、

現代語訳さしでがましいようでもあり、宮中からの(帝の)お使いがひっきりなしに来るのもわずらわしいので、

さかし
さしでがましい。
内裏
宮中。
隙なし
絶え間がない。
わづらはし
面倒だ。気づかわしい。
解説

中宮が宮中に帰るのを引き止めるのはさしでがましいと、紫の上は遠慮している。

「内裏の御使ひ」は、中宮に帰参をうながす帝からの使者。

現代語訳(紫の上は)そのようにも申し上げなさらないのだが、(病が重く)ご自分から中宮のお部屋へ出向くこともおできにならないので、中宮のほうが(紫の上のもとへ)いらっしゃった。

あなた
あちら。ここでは中宮の部屋。
解説

「さ」は「いましばしは御覧ぜよ」を指す。「聞こえ」は作者から中宮への敬意、「給は」は作者から紫の上への敬意。

「え渡り給はねば」は、病が重い紫の上は、自分から中宮の部屋へ出向くこともおできにならないので、ということ。

※「ぞ」を受けて「ける」が連体形で結ぶ(係り結び)。

原文
かたはらいたけれク已然ど接助逆接確定、げに副見マ上一連用奉ら補・ラ四未然謙→中宮ぬ打消連体も係助強意かひなしク終止と格助引用て接助単純接続、こなたに格助場所御おほんしつらひを格助対象ことに副せサ変未然させ使役連用給ふ補・ハ四終止尊→紫の上。

現代語訳(中宮にお越しいただくのは)恐れ多いけれど、本当にお目にかからないのもかいがないということで、(紫の上は)こちらの部屋に(中宮の)お席を特別に用意させなさる。

かたはらいたし
恐縮だ。気がひける。
げに
本当に。
こなた
こちら。ここでは紫の上の部屋。
しつらひ
部屋の飾りつけ。ここでは、中宮のお席。
解説

中宮のほうから来ていただくのは恐縮だが、お目にかからないのもかいがないと、紫の上が思っている。

「見奉ら」は、紫の上の心の中の言葉にある謙譲語で、紫の上から中宮への敬意。

やせ細った紫の上

原文
こよなうク連用・音痩せ細りラ四連用給へ補・ハ四已然尊→紫の上れ存続已然ど接助逆接確定、かくて副こそ係助強意、あてにナリ連用なまめかしきシク連体ことの格助体修限りなさも係助強意まさりラ四連用て接助単純接続めでたかりク連用けれ詠嘆已然と格助引用、

現代語訳(紫の上は)すっかりやせ細っていらっしゃるけれど、こうしてこそ、気品があってみやびやかな美しさが限りなく、ますますすばらしくなるものなのだなあと、

こよなし
この上ない。格別だ。
あてなり
上品だ。
なまめかし
優美だ。
解説

「かくて」は、紫の上がすっかりやせ細っていること。やせ細っているからこそ、かえって上品で優美な美しさがまさって見える、ということ。

※「こそ」を受けて「けれ」が已然形で結ぶ(係り結び)。

原文
来し方きしかた、あまり副匂にほひ多くク連用、あざあざと副おはせサ変未然尊→紫の上し過去連体盛りは係助区別、なかなか副この世の格助体修花の格助体修香りに格助比較も係助強意よそへハ下二未然られ受身連用給ひ補・ハ四連用尊→紫の上し過去連体を接助逆接確定、

現代語訳これまで、あまりにつややかな美しさに満ち、はなやかでいらっしゃった女盛りのころには、むしろこの世の花の色香にもたとえられていらっしゃったのに、

来し方
過ぎ去った昔。
あざあざと
はなやかに。鮮やかに。
なかなか
かえって。
よそふ
たとえる。なぞらえる。
解説

女盛りのころの紫の上は、はなやかな美しさを、この世の花にたとえられていた。

原文
限りも係助強意なくク連用らうたげにナリ連用をかしげなるナリ連体御さまに断定連用て接助単純接続、いと副かりそめにナリ連用世を格助対象思ひハ四連用給へ補・ハ四已然尊→紫の上る存続連体気色けしき、

現代語訳(今は)この上もなくいじらしく美しいご様子で、この世をまったくかりそめのものと思っていらっしゃる様子は、

らうたげなり
いじらしい。かわいらしい。
かりそめなり
一時的だ。はかない。
解説

「限りもなくらうたげにをかしげなる御さま」は、病身となった今の紫の上の様子。

「いとかりそめに世を思ひ給へる気色」は、紫の上が、自分の命はもう残りわずかだと思っている様子。

原文
似るナ上一連体ものなくク連用心苦しくシク連用、すずろにナリ連用もの悲しシク終止。

現代語訳たとえようもなく痛々しく、(中宮は)わけもなくもの悲しい。

心苦し
痛々しい。気の毒だ。
すずろに
わけもなく。むやみに。
解説

「似るものなく」は、昔は花にたとえられたが、今はたとえようもない(美しさ)ということ。

「心苦しく、すずろにもの悲し」は、紫の上の様子を見ている中宮の気持ち。

続き:御法②

源氏物語のほかの場面:桐壺①「いづれの御時にか」 若紫①「北山の垣間見」 夕顔① 車争い① 須磨①

テスト予想問題

A 読み・語句

  1. 次の語の読みを現代仮名遣いで答えよ。
    ①内裏
    ②隙
    ③来し方

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    ①うち
    ②ひま
    ③きしかた

  2. 次の語の本文中での意味を答えよ。
    ①かごとがまし
    ②さるは
    ③さかしき
    ④かたはらいたけれ
    ⑤あてに
    ⑥あざあざと
    ⑦すずろに

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    ①恨みがましい
    ②といっても実は
    ③さしでがましい
    ④恐縮だ(けれど)
    ⑤上品で
    ⑥はなやかに
    ⑦わけもなく

B 文法・敬語

  1. 次の助動詞の意味を答えよ。
    ①身にしむばかり思さるべき
    ②秋風ならねど
    ③聞こえまほしう
    ④痩せ細り給へれど
    ⑤花の香りにもよそへられ給ひし

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    ①自発
    ②打消
    ③希望
    ④存続
    ⑤受身

  2. 「中宮は参り給ひなむとするを」の「なむ」を文法的に説明せよ。

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    「な」は助動詞「ぬ」(強意)の未然形、「む」は助動詞「む」(意志)の終止形。

  3. 次の敬語について、種類を答え、だれからだれへの敬意かを示せ。
    ①参り給ひなむ(参り)
    ②参り給ひなむ(給ひ)
    ③御覧ぜよ
    ④聞こえまほしう
    ⑤げに見奉らぬ

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    ①謙譲語。作者から帝へ。
    ②尊敬語。作者から中宮へ。
    ③尊敬語。紫の上から中宮へ。
    ④謙譲語。作者から中宮へ。
    ⑤謙譲語。紫の上から中宮へ。

C 現代語訳・内容

  1. 「身にしむばかり思さるべき秋風ならねど」を現代語訳せよ。

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    (秋の寂しさが)身にしみるほどに自然とお感じになるような秋風ではないけれど。

  2. 「さも聞こえ給はぬに」について、①「さ」の指す内容を本文から抜き出せ。②紫の上がそう申し上げなかったのはなぜか。本文の言葉に即して答えよ。

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    ①いましばしは御覧ぜよ
    ②(中宮の帰参を引き止めるのは)さしでがましいようでもあり、帝からの使者がひっきりなしに来るのも気づかわしかったから。

  3. 「あなたにもえ渡り給はねば」を、「あなた」の指す場所を明らかにして現代語訳せよ。

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    (病の重い紫の上は)ご自分から中宮のお部屋へ出向くこともおできにならないので。

  4. 「かたはらいたけれど、げに見奉らぬもかひなし」とは、だれのどのような気持ちか。

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    紫の上の、中宮のほうから来ていただくのは恐縮だが、お目にかからないのもかいがないので、お会いしようという気持ち。

  5. 「かくてこそ」の「かくて」は、どのようなことを指しているか。

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    紫の上が、すっかりやせ細っていること。

  6. 「この世の花の香りにもよそへられ給ひし」とあるが、何を何にたとえていたのか。また、それと対照的に、今の紫の上の様子を表す部分を本文から抜き出せ。

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    女盛りのころの紫の上の美しさを、花にたとえていた。今の様子=限りもなくらうたげにをかしげなる御さま

  7. 「心苦しく、すずろにもの悲し」は、だれの心情か。

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    中宮