『枕草子』かたはらいたきもの 現代語訳・品詞分解・解説|テスト予想問題付き

目次
  1. 原文の読み方
  2. 現代語訳・品詞分解・解説
  3. いたたまれないもの
  4. 見苦しいもの
  5. テスト予想問題

『枕草子(まくらのそうし)』「かたはらいたきもの」の現代語訳・品詞分解・解説です。

「かたはらいたし」は、そばで見たり聞いたりしていて、いたたまれない、見苦しいと感じる気持ちを表す語です。清少納言は、客の前で聞こえてくる内輪の話、親ばか、知ったかぶり、自作の歌の自慢など、思わず目をそむけたくなる場面を次々に挙げていきます。だれの動作かという主語の判別、「だに」の類推、前半と後半で「かたはらいたし」の意味がどう違うかがよく問われます。

原文の読み方

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現代語訳・品詞分解・解説

いたたまれないもの

原文
かたはらいたきク連体もの。客人まろうどなど副助例示に格助対象会ひハ四連用て接助単純接続もの言ふハ四連体に接助単純接続、奥の格助体修方に格助場所うちとけごとなど副助例示言ふハ四連体を格助対象、え副は係助強意制せサ変未然で接助打消接続聞くカ四連体心地。

現代語訳いたたまれない気がするもの。来客などに会って話をしているときに、奥のほうで(家の者が)内輪の話などをしているのを、止めることもできずに聞いている気持ち。

かたはらいたし
(そばで見聞きして)いたたまれない。きまりが悪い。見苦しい。
客人(まろうど)
客。
うちとけごと
内輪の話。
え〜で
〜できないで。
解説

「もの言ふ」の主語は、客を迎えた人。「奥の方に…言ふ」の主語は、その家の家族や使用人。

奥から聞こえてくる話を止めようにも、客を残して席を立つわけにはいかないので、きまりが悪いのである。

原文
思ふハ四連体人の格助主格いたく副酔ひハ四連用て接助単純接続、同じシク連体ことしサ変連用たる存続連体。

現代語訳愛する人がひどく酔って、同じことをくり返しているの(もいたたまれない)。

思ふ人
愛する人。
いたく
ひどく。
解説

ほかの人なら気にならないことでも、愛する人だからこそ、その見苦しい姿を見るのがいたたまれないのである。

原文
聞きカ四連用ゐ補・ワ上一連用たり存続連用ける過去連体を格助対象知らラ四未然で接助打消接続、人の格助体修上うえ言ひハ四連用たる存続連体。

現代語訳(本人が)そばにいて聞いていたことに気づかずに、その人についてのうわさ話をしているの。

人の上
人のうわさ。
解説

「聞きゐたりける」の主語は、うわさされている本人。「知らで」「言ひたる」の主語は、うわさをしている人。

原文
それ代名は係助区別何なに代名ばかり副助程度なら断定未然ね打消已然ど接助逆接確定、使ふハ四連体人など副助例示だに副助類推いと副かたはらいたしク終止。

現代語訳(うわさをしているのが)それほどの身分の者でなくても、たとえば召使いなどであっても、ひどくいたたまれない。

何ばかり
(下に打消の語を伴って)たいした。それほどの。
使ふ人
召使い。
解説

「それ」は、うわさをしている人。

「だに」は類推(〜さえ)。召使いのような身分の低い者でさえいたたまれないのだから、まして身分の高い人の場合はなおさらだ、ということ。

見苦しいもの

原文
旅立ちタ四連用たる存続連体所にて格助場所、下衆げすどもの格助主格戯たわぶれラ下二連用ゐ補・ワ上一連用たる存続連体。

現代語訳外出して泊まっている先で、身分の低い召使いたちがふざけ合っているの(は見苦しい)。

旅立つ
(家を離れて)よそへ出かける。
下衆(げす)
身分の低い者。召使い。
戯(たわぶ)る
ふざける。
解説

あとに「さまもかたはらいたし」などが省略されている。ここから、他人の見苦しいふるまいを挙げていく。

原文
にくげなるナリ連体児ちごを格助対象、おの代名が格助体修心地の格助主格かなしきシク連体ままに格助状態、うつくしみマ四連用かなしがりラ四連用、

現代語訳かわいげもない子を、自分がかわいいと思う気持ちにまかせて、かわいがったりいとしがったりして、

にくげなり
かわいげがない。みにくい。
かなし
いとしい。かわいい。
うつくしむ
かわいがる。
かなしがる
いとしく思う。
解説

「おの」は、その子の親。他人にはかわいく見えない子を、自分の思いのままにかわいがる親の様子。

原文
これ代名が格助体修声の格助体修ままに格助状態、言ひハ四連用たる完了連体ことなど副助例示語りラ四連用たる存続連体。

現代語訳その子の声の調子をまねながら、(その子の)言った言葉などを(人に)語って聞かせているの。

解説

「これが声のままに」は、その子の声色をまねて、ということ。「これ」は「児」をさす。

「言ひたる」の主語は子、「語りたる」の主語は親。親ばかぶりを見苦しいものとしている。

原文
才ざえあるラ変連体人の格助体修前にて格助場所、才ざえなきク連体人の格助主格、もの覚え声おぼえごえに格助状態、人の格助体修名など副助例示言ひハ四連用たる存続連体。

現代語訳学識のある人の前で、学識のない人が、知ったかぶりの口ぶりで、(有名な)人の名前などを口にしているの。

才(ざえ)
学問。学識。
もの覚え声
知ったかぶりの口ぶり。
解説

学識のない人が、学識のある人の前で、知ったかぶりをして、有名な学者や昔の人物の名前などを口にするのは見苦しい、ということ。

原文
ことに副よしク終止と格助引用も係助強意覚おぼえヤ下二未然ぬ打消連体わ代名が格助体修歌を格助対象、人に格助対象語りラ四連用て接助単純接続、人の格助主格ほめマ下二連用など副助例示しサ変連用たる存続連体よし言ふハ四連体も係助強意、かたはらいたしク終止。

現代語訳とりたててよいとも思われない自分の歌を、人に話して聞かせて、人がほめたりしたことなどを言うのも、見苦しい。

ことに
とりわけ。
おぼゆ
(自然に)思われる。
よし
(〜した)ということ。事情。
解説

「覚えぬ」は、「覚えていない」ではなく「思われない」の意。

前半の「かたはらいたし」は、自分がその場にいて、いたたまれない・きまりが悪いという気持ち。後半は、他人のふるまいを、見苦しい・みっともないと批判する気持ちを表している。

『枕草子』のほかの章段:春はあけぼの / この草子、目に見え心に思ふことを / すさまじきもの① / 九月ばかり / 雪のいと高う降りたるを / 宮に初めて参りたるころ① / 中納言参りたまひて / 木の花は / 二月つごもりごろに / 頭の弁の、職に参り給ひて① / 大納言殿参り給ひて

テスト予想問題

A 読み・語句

  1. 次の語の読みを現代仮名遣いで答えよ。
    ①客人
    ②下衆
    ③戯れ
    ④児
    ⑤才

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    ①まろうど
    ②げす
    ③たわぶれ
    ④ちご
    ⑤ざえ

  2. 次の語の本文中での意味を答えよ。
    ①うちとけごと
    ②思ふ人
    ③いたく
    ④人の上
    ⑤戯る
    ⑥にくげなり
    ⑦うつくしむ
    ⑧才

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    ①内輪の話
    ②愛する人
    ③ひどく
    ④人のうわさ
    ⑤ふざける
    ⑥かわいげがない・みにくい
    ⑦かわいがる
    ⑧学問・学識

B 文法

  1. 次の傍線部を文法的に説明せよ。
    ①会ひてもの言ふ【に】
    ②えは制せ【で】聞く心地
    ③聞き【ゐ】たりけるを
    ④何ばかりなら【ね】ど
    ⑤言ひ【たる】こと

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    ①単純接続の接続助詞
    ②打消接続の接続助詞
    ③ワ行上一段活用の補助動詞「ゐる」の連用形
    ④打消の助動詞「ず」の已然形
    ⑤完了の助動詞「たり」の連体形

  2. 「使ふ人などだにいとかたはらいたし」について、①「だに」の意味を答えよ。②言外に表している内容がわかるように現代語訳せよ。

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    ①類推(〜さえ)。②召使いなどの身分の低い者の場合でさえ、とてもいたたまれないのだから、まして身分の高い人の場合はなおさらだ。

C 現代語訳・内容

  1. 「えは制せで聞く心地」を現代語訳せよ。また、制することができないのはなぜか、説明せよ。

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    訳=止めることもできずに聞いている気持ち。理由=内輪の話は奥のほうから聞こえてくるので、客を残して席を立ってまで止めに行くわけにはいかないから。

  2. 「思ふ人のいたく酔ひて、同じことしたる」について、①「思ふ人」とはどのような人か。②これが「かたはらいたきもの」なのはなぜか、説明せよ。

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    ①(自分が)愛する人。②ほかの人なら気にならないが、愛する人だからこそ、ひどく酔って同じことをくり返す見苦しい姿を見るのがいたたまれないから。

  3. 「聞きゐたりけるを知らで、人の上言ひたる」を、「聞きゐたり」と「知らで」の主語がわかるように現代語訳せよ。

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    うわさされている本人がそばで聞いていたのを、うわさをしている人は知らないで、その人のうわさをしていること。

  4. 「にくげなる児を…語りたる」の部分について、①「おの」とはだれか。②「これが声のままに」とはどういうことか。③「うつくしみ」「かなしがり」「言ひ」「語り」のうち、主語が一つだけ違うものを選び、その主語を答えよ。

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    ①その子の親。②その子の声色をまねて、ということ。③「言ひ」。主語は子(にくげなる児)。

  5. ①「才なき人の、もの覚え声に、人の名など言ひたる」は、具体的にはだれが、どんなふるまいをしていることをいうか。②「ことによしとも覚えぬわが歌」を現代語訳せよ。

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    ①学識のない人が、学識のある人の前で、知ったかぶりをして、有名な学者や昔の人物の名前などを口にすること。②とりたててよいとも思われない自分の歌。

  6. この段の前半と後半とで、「かたはらいたし」の表す意味はどのように違うか、説明せよ。

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    前半は、自分がその場にいて、いたたまれない、きまりが悪いという気持ちを表し、後半は、他人のふるまいを見苦しい、みっともないと批判する気持ちを表している。